行政 : 与党税制大綱、寄附金控除枠を40%に拡大
与党は、12月14日、平成19年度税制改正大綱を決定した。認定NPO法人等への個人の寄附金控除の対象限度額を、現行の総所得金額等の30%から40%に引き上げることが決定された。
与党税制改正大綱は、毎年12月中旬に決定され、来年度の税制を定めるものとなる。
NPO関連では、今年4月に認定NPO法人制度が一定の改正を行ったこと、来年年末に公益法人制度改革に関連してNPO税制の見直しが予定されていることもあり、今年年末はNPOにかぎった税制改正は見送られた。
ただし、認定NPO法人に関連する税制改正として、「寄付金控除の控除対象限度額を総所得金額等の40%(現行30%)に引き上げる」ことが盛り込まれた。
この控除枠の拡大によって、恩恵を受ける対象となる団体は、認定NPO法人のほか、特定公益増進法人、国、地方公共団体、政党・政治資金団体で一定のもの、今回の税制改正で決まった「再チャレンジ支援寄附金税制」の対象企業などがある。
特定公益増進法人には以下のものが含まれている。
- 独立行政法人通則法第2条第1項に規定する独立行政法人
- 地方独立行政法人法第2条第1項に規定する地方独立行政法人で一定のもの
- 自動車安全運転センター、総合研究開発機構、日本赤十字などの法人
- 民法34条の規定により設立された法人で一定のもの
- 私立学校法第3条に規定する学校法人で一定のもの
- 社会福祉法第22条に規定する社会福祉法人
- 厚生保護事業法第2条第6項に規定する更生保護法人
また、来年度の改正では見送られたが、今後の検討項目として、NPO法人の含む公益法人税制に関しては、「公益法人制度改革については、制度の詳細設計を踏まえ、平成20年中に予定される新制度施行までの間に、それに対応した税制上の措置を講ずる」とされている。
さらに、認定NPO法人制度に関しては、「所要の検討を行う」とされている。
与党税制改正大綱のNPO関連部分は以下のとおり。
平成19年度税制改正大綱
平成18年12月14日
自由民主党
公明党
第一 経済・社会を安定的に支える税制に向けて
2 国民生活への配慮
(2) その他
民間による自発的な公益活動を更に促進するとの観点から、寄附金控除の控除対象限度額を30%から40%に引き上げる。また、国民ひとりひとりがその能力や持ち味を十分発揮し、努力した人が報われる公正な社会を構築するため、困難な状況に直面している人の再チャレンジを支援する民間企業等への寄附金について税制上の優遇措置を講ずる。
さらに、少子化対策の一環として、子育てを支援する企業の取組みを促進するため、事業所内託児施設の設置費用に係る割増償却制度を創設する。
第二 平成19年度税制改正の具体的内容
九 その他
(国税)
1 寄付金控除の控除対象限度額を総所得金額等の40%(現行30%)に引き上げる。
第三 検討事項
10 公益法人制度改革については、制度の詳細設計を踏まえ、平成20年中に予定される新制度施行までの間に、それに対応した税制上の措置を講ずる。
具体的には、新たな制度の下で公益性の認定を受ける法人の課税対象範囲、税率等について、公益的な事業活動が果たす役割の重要性に配慮しつつ適正な課税の確保を図る観点から、公益的な事業として行う事業の内容や営利競合の排除の必要性等を踏まえ、検討する。
また、公益性の認定を受ける法人やその寄附者等が寄附金税制の適用を受けるための要件、手続等のあり方を検討するとともに、認定NPO法人制度について、所要の検討を行う。