行政 : 大阪府の能勢町、過疎地有償運送開始
大阪府豊能郡能勢町が、平成19年度から過疎地有償運送を開始する。同町は11月に、この有償運送を担うNPO法人などを募集。12月12日には第1回「能勢町過疎地有償運送運営協議会」を開催して応募団体の審査を開始し、審査に通った団体が来年4月から運行を始める予定。
平成16年3月に国土交通省の通達、「福祉有償運送及び過疎地有償運送に係る道路運送法第80条第1項による許可の取扱いについて(平成16年3月16日付け国自旅第240号)」が出る以前、NPO法人などによる移動制約者(高齢者や障害者)や過疎地住民の有償運送については、一部の構造改革特区においてのみ、国土交通大臣が「公共の福祉のためにやむを得ない場合」とみなすことで、許可を受け実施されていた。
しかしながら、特区以外の地域に関しては、自治体によってタクシー事業の許可が必要か否かの見解もまちまちで、現場で混乱が続いていた。そこで、政府は、平成16年3月に、「福祉有償運送及び過疎地有償運送に係る道路運送法第80条第1項による許可の取扱いについて(平成16年3月16日付け国自旅第240号)」を出した。
この通達により、地方公共団体と地域の関係者で構成された「有償運送運営協議会」の議を経ることで、NPO法人などが道路運送法の許可を取得して移動制約者(高齢者や障害者)や過疎地住民の有償運送を行えるようになった。
これを受けて、来年4月から大阪府豊能郡能勢町でも「過疎地有償運送」を始めることとなったもの。
同町は人口が1万3200人。町内では公共交通機関が発達しておらず、便数の少ない路線バスとタクシーのみ。過疎化と高齢化が進む中で、自家用車を持たない地域住民の移送手段が乏しく、その解決が求められていた。
そこで、同町は、「能勢町過疎地有償運送運営協議会設置要項」を作成し、能勢町と過疎地有償運送の運送主体が協議する際に必要となる「指針・基準」も併せて作成。平成19年4月からの過疎地有償運送の運行開始をめざし、「能勢町過疎地有償運送運営協議会」を立ち上げ、11月1日から11月30日まで、NPO法人などの運送主体からの申請受付を行った。
12月には学識経験者や地域住民らで構成する「能勢町過疎地有償運送運営協議会」を発足させ、12月12日から応募団体の審査を始める。審査に通った団体が、来年4月から運行を始める予定。
同町では、運送主体に属する有償ボランティアが自家用車を使って、事前に会員登録した住民などからタクシーの半額程度の対価を収受して運行する形態を想定しているとのこと。
能勢町の「過疎地有償運送」については、同町サイト内、下記を参照のこと。
http://www.town.nose.osaka.jp/subpage/subpage.php?p=6404&t=1164177920
なお、国土交通省が発表した「各県等運営協議会設置状況」(2005年7月31日現在)によれば、全国で47の福祉有償運送運営協議会、14の過疎地有償運送運営協議会が設置されている。市区町村合同で設置されたものを考慮に入れると、福祉有償運送運営協議会は173の市区町村に設置されていることになる。他方、過疎地有償運送運営協議会は、市区町村合同で設置されたものを考慮に入れても、15の市区町村に設置されているだけだ。
このように、福祉有償運送サービスが普及する一方で、過疎地有償運送の普及が遅れている背景には、過疎地域では交通需要自体が少ないため、移送サービスを構築する際の車両購入費用、維持管理費用を確保することが大きな負担になっていること、また、地域内に運転の担い手となる様な事業者・団体が少なく運転者の確保が難しいという事情があるという。