行政 : 改正貸金業法、NPOバンク適用除外へ
12月13日、消費者金融をはじめとする貸金業者への規制を強化する改正貸金業規制法が参院本会議で可決、成立した。財産要件が引き上げられる等の改正によって非営利目的のNPOバンクの存続が危ぶまれていたが、改正資金業法の附帯決議では、今後、NPOバンクについては、施行後にも新規参入と存続が可能となるよう、法律本則に明記することなど必要な見直しを行うとし、適用除外の方向性が示された。
NPOバンクとは、主に市民からの出資を基に設立された非営利の市民金融組織のこと。
一般金融機関との違いは、NPOバンクが非営利であり、基本的に小規模で、物的担保をとらず、貸出金利が低いものが多い(2006年現在の年金利1~3%程度)こと。融資対象は、地域や社会の課題に取組んでいるNPOなどが中心。運営は専門家を含むボランティアスタッフによって低経費で賄っている。
非営利活動団体の融資事業にとっての法的な枠組みがないことから、NPOバンクは、営利目的の貸金事業に対する規制法である「貸金業規制法」の登録をしている状態にある。
貸金業規制法改正の議論が進む中、NPOバンク関係者の間では、改正後の規制強化、特に、貸金業者の最低純資産額が500万円から5000万円に引き上げられることによって、その存続が危ぶまれると懸念されていた。
そこで、9月1日には、全国NPOバンク連絡会等関係団体がNPOバンクに対する「貸金業規制法の適用除外を求める要請書」を金融庁に提出。サラ金被害による多重債務者問題の解決に向けた法改正自体は評価しているが、非営利目的で低金利の融資を行っているNPOバンクにも同じ規制を適用することは避けてもらいたいとして、NPOバンクを貸金業規制法から適用除外することを要望していた。
12月13日、消費者金融をはじめとする貸金業者への規制を強化する改正貸金業規制法が参院本会議で可決、成立した。
NPOバンクについては、衆議院、参議院ともに、法案成立に際して、下記の「附帯決議」を決議している。
一. 市民活動を支える新たな金融システムを構築する観点から、法施行後二年六月以内に行われる見直しに当たり、非営利で低利の貸付けを行う法人の参入と存続が可能となるよう、法律本則に明記することなど、必要な見直しを行う。
この附帯決議によって、今後、NPOバンクについては、貸金業法の規制適用除外の方向で法整備が進む見通し。
「貸金業の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案」の概要と衆議院での附帯決議は、衆議院サイト内を参照のこと。
なお、参議院における附帯決議は参議院サイト内に掲載されている。