行政 : 東京都、「生活保護を変える東京提言」
2月1日、東京都は、「生活保護を変える東京提言(仮称)」を公表し、意見募集を開始した。締め切りは2月28日。この提言は、被保護者の自立支援のための提案を中心にまとめられており、支援ノウハウを有するNPOなどとの連携の必要性も盛り込まれている。
東京都によれば、都内の生活保護世帯数は、バブル崩壊後の平成4年度を境に増加に転じ、平成14年度以降、保護世帯数の伸びは徐々に鈍化しているものの、平成17年度には約14万4千世帯(平成17年度月平均)となり、過去最高を更新し続けているとのこと。また、被保護人員数は19万人(平成17年度月平均)を超え、過去最高であった昭和30年代前半の数に近づきつつある。
こうしたなか、都では、東京における生活保護の実態分析を行いながら、「被保護者の自立支援のための仕組み構築」、「実施機関である福祉事務所の機能強化」、「各種扶助制度の見直し」、「ホームレス等の自立支援の促進」など、緊急に取り組むべき4つの課題について検討を行い、平成16年7月に「生活保護制度改善に向けた提言」をとりまとめ、自立支援を重視した取組みを強化するよう、国に対し提言を行った。
都によれば、平成16年の提言は、平成17年度からの自立支援プログラムの導入や高校進学経費の創設など、一部、国の制度見直しに反映されものの、未着手の課題も多いとのこと。そこで、都は「自立支援」に向けた実状と課題を踏まえ、さらに一歩進んだ提言を再度とりまとめることとした。
2月1日に公表された「生活保護を変える東京提言(仮称)」の副題は「自立を支える安心の仕組み」。
提言書では、「自立に向けた4つの提案」として、(1)就労自立促進の更なる強化、(2)保健・医療面での自立促進、(3)早期自立のための新たな仕組み、(4)自立を推進する体制の整備、の4項目をあげ、それぞれ具体的な方策を示している。
このうち、「(1)就労自立促進の更なる強化」の項では、阻害要因がないにも拘らず就労意欲が低い者に対する層は、「要支援度が高く自立困難を極める場合が多い」ことから、「こうした層に対する対策は、支援ノウハウを有する企業やNPOなどとの連携が必要である。」としている。
具体的には、プログラムの対象者の選定や、支援方針の決定は福祉事務所で行い、実際の個別的な支援については、ハローワーク等の労働部門の協力を得ながら、福祉事務所から直接支援ノウハウを有する企業やNPOなどへの委託により実施することを提案している。
また、自立後のアフターケアにも、「NPO等を活用して定着状況を確認する体制を確保することが必要である」としている。
東京都は、この「生活保護を変える東京提言(仮称)」に対して、意見募集を実施中。締め切りは2月28日。
「生活保護を変える東京提言(仮称)」の概要、本文、意見提出の方法などは、東京都サイト内、下記を参照のこと。
http://www.metro.tokyo.jp/INET/BOSHU/2007/02/22h25100.htm