行政 : 東京都、都立高で「奉仕」を必修化
東京都は平成19年度より、全日制、定時制、通信制を含む全282の都立高校において、奉仕体験活動を必修化する。1月11日、都の教育庁は授業計画の概要を発表。履修内容は、学校近隣の地域清掃、福祉施設での奉仕体験活動、地域で開催されるイベントへの参画などが予定されている。
東京都は平成14年に、都立高校改革推進計画「新たな実施計画」を策定。その中では、「人権尊重の精神と社会貢献の精神を育成する教育の推進」の一環として、ボランティア活動等の推進が謳われていた。この「新たな実施計画」に基づき、平成15年度に「ボランティアの日」が設置され、すべての都立高校で、これまで3か年度において、11月1日から8日までに「ボランティアの日」が設置されていた。
さらに、東京都は平成19年度からすべての都立高校で、「奉仕」を必修化することにし、平成17年から、東京都教育委員会に「奉仕カリキュラム開発委員会」を設置して「奉仕」のカリキュラムとテキストを検討するなど準備を進めていた。
1月11日、都は、各都立高校の教科「奉仕」の19年度の授業計画を取りまとめて公表した。
公表された計画によれば、「奉仕」の必修化は、全日制課程183校、および定時制・通信制課程99校の計282校、すべての都立高校で実施される。
「奉仕」の授業の教育課程上の位置付けは、144校(51.0%)では「学校設定教科・科目」、128校(45.4%)では「総合的な学習の時間による代替」。残る10校(3.6%)は、平成19年度に開校または閉校する学校の中で、特別活動等で奉仕体験活動を行う学校である。
このうち、「学校設定教科・科目」とは、文部科学省の学習指導要項で各校が、独自に設けることができるもの。「学校設定教科・科目」として教育課程上に位置付ける場合の科目名については、144校のうち118校が「奉仕」。その他は、「おもいやり」、「社会参加」、「まちおこし体験活動」、「社会活動」、「地域奉仕」、「ふれあい」、「地域交流」などの科目名を予定している。
奉仕体験活動を行う時期は、「授業日」が182校、「長期休業中」が23校、「授業日と長期休業中」が77校。
奉仕体験活動の内容は、学校近隣の地域清掃、福祉施設での奉仕体験活動、地域で開催されるイベントへの参画などを予定している高校が多いが、工業高校などの専門高校では、市民を対象にした講習会を開催する、福祉施設等の要望に応じて工業製品を作成し提供するなどなど、ものづくりの技術を生かした活動も予定されている。
都によれば、「奉仕」の授業は、1.事前学習、2.体験学習、3.事後学習の3つの内容で構成され、年35回の授業を受けると、1単位が取得できる。ただし、35時間のうち半分以上は「奉仕体験活動」に充てなければならない。また、評価は、担当教諭が文章記述によって行い、いわゆる「5段階評価」による評定はしないとのこと。
「平成19年度都立高等学校における教科『奉仕』の授業計画について」は、東京都サイト内、下記に掲載されている。
http://www.metro.tokyo.jp/INET/OSHIRASE/2007/01/20h1c200.htm
なお、昨年7月に発表された「奉仕」授業のカリキュラムとテキストの概要は、8月9日付け「NPOWEB」ニュースを参照のこと。
https://www.npoweb.jp/news/news_info.php?article_id=2551