行政 : NPOで多重債務問題改善を
4月20日、政府の多重債務者対策本部(本部長・山本有二金融・再チャレンジ担当相)は、消費者金融などからの多額の借金を抱える人の救済を目的とする「多重債務問題改善プログラム」を決定。セーフティーネット貸し付けを必要とする多重債務者のための、NPOなどによる「日本版グラミン銀行」モデルの拡大も盛り込まれた。
国内の消費者金融の利用者は少なくとも1400万人、多重債務者は200万人超とされている。
昨年12月13日、消費者金融をはじめとする貸金業者への規制を強化する改正貸金業規制法が成立した。
改正貸金業法(上限金利の引下げ、総量規制の導入等)による貸し手への規制を通じて、新たな多重債務者の発生は抑制されたものの、その一方で、今後、改正法の完全施行に向けて、既存の借り手等を対象にした「借り手対策」が必要とされていた。
そこで、昨年12月22日、政府は多重債務者対策の円滑かつ効果的な推進を図るため、内閣に「多重債務者対策本部」を設置。
同対策本部は、「多重債務者対策本部有識者会議」を設置して、今年1月29日以降6回にわたって議論を重ね、4月9日には「多重債務問題の解決に向けた方策について(有識者会議による意見とりまとめ)」をとりまとめた。
政府の「多重債務者対策本部」は、有識者会議の「とりまとめ」に基づいて、直ちに取り組むべき具体的な施策を「多重債務問題改善プログラム」として策定。4月20日に多重債務者対策本部決定とした。
このプログラムは、以下の4つの柱からなる。
- 丁寧に事情を聞いてアドバイスを行う相談窓口の整備・強化
- 借りられなくなった人に対する顔の見えるセーフティネット貸付けの提供
- 多重債務者発生予防のための金融経済教育の強化
- ヤミ金の撲滅に向けた取締りの強化
このうち、「2.借りられなくなった人に対する顔の見えるセーフティネット貸付けの提供」において、消費者が貸金業者等からの債務の返済に窮した場合の対応策として、自己破産・個人再生等の債務整理とあわせて、セーフティネット貸付けの提供が必要であるとの認識が示された。
具体的には、丁寧な事情聴取、具体的な解決方法の相談、事後のモニタリングを前提として、返済能力が見込まれ、問題の解決に資する場合に限って低利の貸付けを行う、「日本版グラミン銀行」モデルを広げていくように関係省庁が取り組むとしている。
さらに、こうした貸付けを行う主体としては、きめ細かい相談対応が前提となることから、各地域に根付いた非営利機関(NPO、生活協同組合、中間法人等)や民間金融機関(労働金庫、信用金庫、信用組合等)が相応しいとしている。
「多重債務問題改善プログラム」の詳細は、首相官邸サイト内、下記を参照のこと。
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/saimu/