行政 : NPOも「イノベーション立国」の担い手
政府の「イノベーション25戦略会議」は、5月25日に「長期戦略指針『イノベーション25』~未来をつくる、無限の可能性への挑戦~」を策定して公開。「イノベーション立国」に向けた社会環境づくりにNPOが果たす役割などが指摘されている。
イノベーション(innovation)の語源は、ラテン語の”innovare”(新たにする)とされている。
日本語では、よく技術革新や経営革新、あるいは単に革新、刷新などと言い換えられているが、イノベーションとは、これまでのモノ、仕組みなどに対して、全く新しい技術や考え方を取り入れて新たな価値を生み出し、社会的に大きな変化を起こすことを指すとのこと。
「イノベーション25」とは、安倍政権の所信表明演説に盛り込まれた公約の1つで、2025年までを視野に入れた成長に貢献するイノベーションの創造のための長期的戦略指針のこと。
政府は「イノベーション25」の策定を重点的に進めるため、イノベーション担当大臣を設置して、内閣府に「イノベーション25特命室」を開設。あわせて、産学の有識者からなる「イノベーション25戦略会議」を設置して、長期の戦略指針「イノベーション25」の策定に取り組んできた。
5月25日に「イノベーション25戦略会議」は、「長期戦略指針『イノベーション25』~未来をつくる、無限の可能性への挑戦~」を策定して公開した。
このなかには、NPOについての記述も盛り込まれている。
まず、「第1章基本的考え方-イノベーションでつくる日本の未来-」において、「イノベーションの本質が既存の仕組みを大きく変えるものであることから、その担い手についても、既存の組織、体制だけを前提として考えるのではなく、ベンチャー企業、中小企業、さらにはNPO(非営利団体)、社会起業家等のより多種多様な担い手がイノベーション創出に向けた活動を展開し、その創出により深く関わっていけるような社会にしていかねばならない。」としている。
さらに、「第5章「イノベーション立国」に向けた政策ロードマップ」のなかで、「イノベーション立国」に向けた社会環境づくりにNPOが果たす役割などが指摘されている。
具体的には、この長期戦略を実施するに際しての基本のひとつとして、「公共利益を目指すNPO活動や社会起業家の育成と支援」をあげている。
また、「イノベーションを誘発する新たな制度の構築」として、官と民との新たなパートナーシップの構築にむけて、事業者団体、消費者団体、労働組合、投資家、その他のNPOの代表、専門家及び行政により構成される「社会的責任の取組促進に向けたステークホルダー円卓会議(仮称)」を開催することを提言。
そのほか、都市緑化運動に関して、「NPO等による緑化活動の促進」が、起業家精神をもつ人材等の育成に間して、「NPO・企業等の民間主体の経験やアイデアの活用」が、盛り込まれている。
今後、政府は、この長期戦略指針に基づくイノベーション政策を推進するために、政府内に「イノベーション推進本部」を設置するとのこと。
「長期戦略指針『イノベーション25』~未来をつくる、無限の可能性への挑戦~」は、首相官邸ホームページ下記に掲載されている。
http://www.kantei.go.jp/jp/innovation/saishu/070525.html