行政 : NPOと連携した水利用・再生ネットワーク
6月19日、国土交通省の下水道政策研究委員会・流域管理小委員会は、雨水・再生水の活用による水利用・再生ネットワークを図るための施策をとりまとめ、中間報告として発表。関係行政機関や地域住民・NPO等多様な主体が連携して、協議会等の「場」を設置し、役割分担を明確化して、雨水などを活用しやすいまちづくりを計画的に推進すべきだと提言している。
下水道政策研究委員会は、国土交通省都市・地域整備局下水道部と(社)日本下水道協会が共同で平成11年に設置した委員会。
下水道政策研究委員会では、「今後、国民から期待される下水道の役割とは何か。また、その役割を実現するための整備・管理はどのように行なわれることが適切か。」について審議を行っている。
下水道政策研究委員会・下水道中長期ビジョン小委員会が平成17年に策定した「下水道ビジョン2100」では、河川水の減少や水辺空間の喪失、災害時の浸水被害の深刻化が進む中、健全な水循環系の再構築、良好な水環境の創出が今後の課題であると指摘。雨水・下水再生水の活用による水利用・再生ネットワークを図る「水のみち」を目指すことを提言した。
国土交通省は、この「水のみち」の実現に向け、今後20~30年間の水循環・水行政の将来像プロジェクトについて検討することを目的として、今年1月に、下水道政策研究委員会の下に流域管理小委員会を設置。
6月19日、流域管理小委員会は、雨水・再生水の活用による水利用・再生ネットワークを図るための施策をとりまとめ、中間報告として発表した。
中間報告では、取水から排水まで流域管理に必要なアプローチとして、水質改善や、総合的な浸水対策のように、流域が一体となって取り組む必要のある場合には、流域内の関係行政機関や関連団体、NPO等の多様な主体からなる協議会等の「場」を設置し、流域の最も望ましい姿、「最適解」を求めるための協議、調整を行う必要があると提言している。
また、地域の最適解を求めるプロセスにおいても、住民・NPO等が計画段階からプロジェクトに参画する仕組みを構築することが重要であると指摘している。
そして、住民・NPO等が、計画段階から参画することにより、関係行政機関とのビジョンや目標の共有が可能となり、水路などの関連施設に対する愛着が生まれ、整備だけでなく、維持管理も含めて、住民・NPO等の問題意識や責任感が高まり、役割分担に基づく活動が促進されることになると結論付けている。
さらに、このような流域の関係者の一体的な取り組みを推進するための施策として、中間支援組織として流域単位で活動しているNPOなどと行政機関が連携してコーディネーターとしての役割を果たすことが望ましいとしている。
加えて、下水道に関する環境学習の推進に向けて、学校教育に限らず、環境問題に関心の高い市民などとの連携により、流域管理における下水道の役割について市民が学べる機会を増やすべきだとしている。
この中間報告は、国土交通省・下水道政策研究委員会サイト内、下記に掲載されている。
http://www.mlit.go.jp/crd/city/sewerage/gyosei/seiken.html