行政 : ACT、共済事業のNPO法人へ呼びかけ
昨年4月1日に施行された改正保険業法により、NPO法人が新たに「保険業」を行うことはできなくなったが、特例措置として、昨年4月1日時点で自主共済事業を行なっているNPO法人については、「少額短期保険事業」を実施することが認められている。「NPO法人アビリティクラブたすけあい(ACT)」では、少額短期保険事業者をめざす他のNPO法人と、疑問や課題について情報を共有して、問題解決を図って行きたいとして、7月2日に呼びかけを開始した。
共済とは、一定の地域または職域でつながる者が団体を構成し、将来発生するおそれのある病気や負傷などの事故に対して共同の基金を形成し、これらの事故の発生に際して一定の給付を行なう仕組み。
2006年4月1日に改正保険業法が施行される前、共済には根拠法を有する共済のほかに、根拠法のない自主共済(いわゆる「無認可共済」)があった。
根拠法を有する共済の代表的な例は、農業協同組合(JA:農業協同組合法)、全国労働者共済生活協同組合連合会(全労済:消費生活協同組合法)。これらは、保険業法の規制は受けないが、これに代わる法律による規制を受け、各々の主務官庁の監督を受けて事業を行なっている。
これに対し、NPO法人などが行ってきた根拠法のない共済とは、特定の者を対象としている限りは保険業に該当せず、免許を受けずに事業を行なっても保険業法違反にならないとされてきた。
しかし、監督官庁や法律がない根拠法のない共済については、販売方法や共済金支払いなどをめぐり、消費者センターなどに寄せられる苦情や相談が増加。そこで、2006年4月に消費者保護の観点から、改正保険業法が施行され、根拠法のない共済事業に保険業法の規定を適用されることになった。
改正保険業法により、2006年4月1日時点で契約者1,000人以上の規模の自主共済に取組んでいる団体は、同年9月30日までに「特定保険業」の届出をし、2008年3月31日迄に「少額短期保険業」の登録を行なわないと、2008年4月1日以降の事業継続ができない。
この「少額短期保険業」になるためには、相互会社か株式会社でなくてはならないため、NPO法人が新たに「保険業」を行うことはできなくなる。
ただし、改正保険業法では、特例措置として、2006年4月1日時点で自主共済事業を行なっているNPO法人については、特定保険業の届出と少額短期保険業者の登録を行なえば、NPO法人として他事業との兼業で少額短期保険事業を実施することが特別に認められた。
少額短期保険業者の登録の届出を済ませたNPO法人の名簿は公開されていないが、昨年9月30日の届出期日までに、10のNPO法人が届出を済ませたとのこと。
しかしながら、自主共済事業に取り組む「NPO法人アビリティクラブたすけあい(ACT)」によれば、少額短期保険業者になるための届出は済ませたものの、少額短期保険業者をめざすNPO法人にとっては、下記の2つの課題があるとしている。
1.保険業法では原則兼業を禁止しており、特例措置として兼業が認められても「収支相当の原則」により、少額短期保険業について他事業との厳格な区分経理が求められ、他事業からの資金転入も他事業への転用もできないことになること。
2.「収支相当の原則」では保険料収入による安定した事業を求められ、運動の趣旨に賛同して入会している会員からの年会費も本来事業の一つである少額短期保険業には充当できないことになり、NPO法人に特例措置として認められているはずの「兼業」が意味をなさないばかりか、強い規制によりNPO法人の運営に大きな支障が懸念されること。
そこで、「NPO法人アビリティクラブたすけあい(ACT)」では、少額短期保険事業者をめざす他のNPO法人と、疑問や課題について情報を共有して問題解決を図って行きたいとして、同じような立場にあるNPO法人への呼びかけを7月2日に開始。7月20日を目途に、同団体への連絡を待っている。
連絡先は下記のとおり。
NPO法人アビリティクラブたすけあい(ACT)
〒160-0021 新宿区歌舞伎町2-19-13 ASKビル7F
Tel 03-5155-0835 Fax 03-5155-0836
http://www4.ocn.ne.jp/~tokyoact/
メールアドレス:tokyoact@maple.ocn.ne.jp
担当:専務理事 加藤昌雄