「NPO支援税制改正に向けて」学習会報告(長野)
長野県NPOセンターでは、「NPO/NGOに関する税・法人制度改革連絡会」が展開する認定NPO法人制度改正のための全国キャンペーンの一環として、長野県内の約400のNPO法人に「認定NPO法人制度の改善に冠する要望書」への賛同を求める署名活動を呼びかけるとともに、「NPO支援税制改正に向けて」学習会を開催した。
学習会は、11月14日の10時から12時まで、松本市中央公民館(Mウイング)女性センターネットワーク室で開催。
当日は、自由民主党の宮下一郎衆議院議員(秘書が代理出席)、民主党の篠原孝衆議院議員(秘書が代理出席)が参加し、加えて、NPO関係者、長野県行政関係者など16名が参加した。
また、小阪憲次参議院議員(自由民主党)、宮下一郎衆議院議員(自由民主党)、若林正俊参議院議員(自由民主党)、篠原孝衆議院議員(民主党)からは激励の電報が届いた。
■ 学習会の内容
学習会では、講師の松原明シーズ事務局長から、認定制度についての解説、今回のキャンペーンの経過などが報告された後に、次のような意見交換が行われた。
参加者:この制度が、アメリカ並みの制度に改正されるのには、まだ時間がかかるのか。
松原:いきなり変わることはない。ステップバイステップである。2年前にも大幅に改正されてはいあるが、不十分であり、実態に合っておらず、NPO側の意見が反映されていない。今年、どう改正されるかが、勝負だと思う。
参加者:環境問題に取り組むNPO法人である。寄付金はほとんどなく、補助金が主な収入である。補助金は、サポート・テストの算式の分母から差し引くことができるので、もう少しがんばって寄付金を集められれば、認定を受けられるという考え方でよいか。
松原:そういうことだ。2年前の改正で、補助金は分母から差し引くことができるようになり、そのおかげで認定される団体が増えた。
参加者:私が携わる団体では、NPO法人に対して融資を実行している。
松原:融資は収入ではないので、算式の分子にも分母にも入らない。
参加者:融資先には、NPO法人の会員になってもらっているが、そうすると、共益団体に該当するのか。
松原:まさに該当します。共益団体が該当しないことについては問題であるので、要望はしている。この問題は、今年の改正の目玉である。
参加者:個人的な感想であるが、今日の報告を聞いていて、制度はあるが、使わせたくないという意思を感じてしまうのだが。
松原:制度の設計ミスであり、国の担当者には悪意はないと思っている。国税庁では、この制度への対応のため2001年に60人の担当者を配置している。多数の相談者が来ると思っていたためであり、現在も60人体制はそのままである。
学習会後に回収した参加者からのアンケートには、「がんばれば認定されるチャンスがあることがわかった。」、「現行制度の使いにくさが事例として詳しく聞けて良かった。」、「もっと時間があっても良かったか。」といった意見が寄せられていた。
長野県には、まだ認定NPO法人が誕生していないという現状もあり、当のNPO法人が制度を必ずしも十分理解しているとは言えない状況だが、講師の報告を聴いた参加者は、制度に関する理解を深め、制度改正の必要性を強く感じることができ、有意義な学習会となった。
長野県NPOセンターとしては、今後も連絡会と協力しこの課題に取り組んでいきたい。
報告:特定非営利活動法人長野県NPOセンター
2004.12.10