「NPO/NGOに関する税・法人制度改革連絡会第1回総会」報告
[写真:司会をつとめた日本NPOセンター 李凡さん]
2002年4月12日(金)、東京都消費生活総合センターにて、NPO/NGOに関する税・法人制
度改革連絡会(以下「連絡会」)の第1回総会が開催された。
これは、1999年6月に発足した同名の会を引き継ぐもの。
全国各地のNPO支援センターが、NPO法やNPO支援税制に関して改正していく運動の全国的な展開や調整をはかるために、北は青森から、南は福岡・高知まで、全国・各分野から25団体37名が集まり、熱心な報告・討議がなされた。
総会では、各地のNPO支援センターから、支援税制への期待と認定要件の緩和が熱望されていることが報告された。今年度も、夏に法人の実態調査、秋に署名キャンペーンを行う予定で、各地の支援センターが中核となって運動を盛り上げていこうとの抱負が話された。
総会の内容は以下のとおり。
1 昨年度の報告
(1) 昨年の活動報告概観(日本NPOセンター 山岡)
[写真:日本NPOセンター 山岡義典さん]
昨年10月に開始した支援税制改正を求める署名キャンペーンは、約2千法人の署名を集め、各政党へ提出。その結果、支援税制の認定要件の一部が改正され、日本版パブリックサポートテストの分子に、役員および社員の寄付が算入できることになった(4月1日より施行)。小幅な改正ではあるが、署名運動の成果であると考える。
また、NPO法改正についても昨年が見直し期限に当たるため精力的に取り組んだ。
しかし、昨年の9.11テロ事件に加え年明けからの政局のため、いまだに実現せず現在にいたっている。
(2) 昨年の活動報告詳細(シーズ 松原)
[写真:シーズ 松原明]
昨年10月のNPO支援税制施行を受け、全国各地で学習会を開催。関心とニーズの高さを感じることができたが、同時に認定要件の厳しさが周知されることにもなった。そのため、申請も少なく、現在申請11件、うち認定されたのは3件にとどまっている。
また、12月の税制改正大綱に向けて、NPOの実態調査を行った。1,700法人にアンケートを配布、500法人の回答を得た。NPO法人の財務状況、課税の実態、寄付金収入などを調査。この調査は今年度も実施する予定。
署名キャンペーンについては前述。
NPO議連・幹事会で決定された特定非営利活動促進法の一部を改正する法律案は、連絡会の要望をかなりの部分で受け入れられたものとなっている。これは自民党では一応通っている。これをもとに各党で調整していただき、できれば今国会中に改正したい。
2 現状の把握と課題の確認
(1) 政府・政党の動き、法改正の行方(シーズ 松原)
今年にはいってから、NPO議連会長、自民党NPO特委委員長であった加藤氏、野党側で大きな役割を果たしてきた辻元氏が相次いで議員辞職。重要な調整役が不在となってしまった。
どこが主導権をにぎっているのか分からない状態である。NPO議連と、自民党NPO特委が残ることは確認できている。
このようなときこそ、運動側の協力の重要性が高まっている。
(2) 地方NPO、NGO関連の動きなど
以下のような報告がなされた。
[写真:NPO事業サポートセンター 田中尚輝さん]
- 国税当局が、ある福祉系団体の「たすけあい事業」を収益事業と認定し、課税するという問題が生じている。地域のささえあいに課税するということは、ボランタリーな地域社会を否定することにつながる。これは福祉系NPOだけの問題ではなく、世論を巻き起こす必要を感じている。
- 収益事業の認定を受けるということは、黒字の事業を赤字の事業で相殺することができるため、税金を払わなくてもよくなるともいえるのではないか。
- 一連のNGO問題を追い風と考えることもできるのではないか。活動が低迷していた国際協力NGO議員連盟を活性化したいと数名の議員から打診がくるなど、これを機に国会にくいこむ好機と考える。
- 子ども劇場では、三十数年間の運動で積み重ねてきたものを総括しているところ。我々の活動もいくつかが収益事業として課税されつつある。子ども自身がお金をだしあって支えているこの運動が収益事業であっていいはずがないというスタンスでいく。その意味で本来事業とその他事業になるのはありがたい。
- 連絡会としてロビー活動チームをつくる必要があるのではないか。
- 県議員と定期的に会合をもっている。そのなかから、支援税制の意見書を決議する動きをつくりだすことができた。今年も署名運動も含めがんばりたい。
- 支援税制には、あきらめムードがひろがってしまっている。ぜひとも改正にむけ、署名運動に協力したい。
- NPOと行政、NPOと企業との協働が大きなテーマになっているが、両者ともNPOを安い労働力とみなしているふしがある。このような状況を打開していきたい。
[写真:国際協力NGOセンター(JANIC) 伊藤道雄さん]
3 今後の運動展開、連絡会の今後の体制と経費負担の方法について
(1) 今後の運動展開(シーズ 松原)
連絡会は、各団体の活動を連絡・調整することが役割である。事業は各団体が主体となって行うことになる。NPO支援税制および法人税の軽減措置の実現のため、シーズと日本NPOセンターが中心となって、今年は以下の事業を実施する。
- NPO支援税制改正のためのNPO法人実態調査・分析・報告書配布(シーズ)
- シンポジウムおよび全国講演会(日本NPOセンター&シーズ)
- 署名キャンペーン(日本NPOセンター)
- NPO支援税制改正に関する小冊子の作成・配布(シーズ)
小冊子は、今までの運動から、行政や議員がNPOについて理解していないことを実感、具体的な事例を集め、分かりやすくまとめたものを作る必要性を感じたため作成する。
これらの事業を行うにあたり、多額の経費がかかるため、秋ぐらいにそれぞれの事業ごとに寄付のお願いをすることになろう。そのときはご協力いただきたい。
(2) 連絡会の今後の体制と経費負担の方法について(日本NPOセンター 山岡)
今回、遠方のメンバーが参加しやすいように、旅費をプールするという意味での会費を徴収することにしたい。全国的な集会としての総会を、秋や来年に開催していく必要があるからだ。そのため、連絡会の規約を作成した。会費に関しては各地で募金を集めてほしいという意味をこめている。
報告:安部嘉江
(2002-04-17)