パートナーシップ(0)
ここ数年、NPOと自治体のパートナーシップに注目が集まっています。
首長の発言や施政方針などにも、「NPO花盛り」、「NPO立県」、「NPO日本一」、「NPO元年」といったキャッチフレーズとともに、NPOという言葉が登場する機会が増えてきました。
その背景には、自治体の財政難や、地域課題の複雑化・深刻化に伴って自治体が十分な対応ができなくなっていることがあるようです。
数年前から各自治体では、NPO支援策がさまざまに進められてきました。具体的には、条例・基本方針の制定、NPO支援センターの設置、補助、基金および公益信託、融資制度、地方税の減免措置などがあげられます。最近では、自治体とNPOとの関係のあり方について方向性を示した手引きやマニュアルが作成されています。
(各自治体の取り組みについては、千葉県とシーズが行った『地方自治体におけるNPO支援策等に関する調査報告書』(2003年3月)をご参照ください)
しかしながら、こうした施策の中でNPOは、たいへん理想的なものとして描かれていたり、単なる下請け的な存在として紹介されていたりと、実態とはかけ離れたものとしてとらえられていることが少なくないようです。
その一方で、NPO側も自らの財政的な基盤が築けないことから、行政の委託事業に過度に依存する傾向があったり、NPOが自治体とは異なる立場で地域課題に取り組む主体としての役割を担っているとは言い難い存在であることも指摘できます。こうしたことがNPO関連施策に携わる自治体の担当者の大きな悩みにつながっています。
今、必要なことは、NPOの社会的な役割は何か、なぜ地域課題の解決のためにNPOが必要なのか、NPOに求められているものは何か、ということがきちんと議論されることではないでしょうか。
このコーナーでは、NPOが実際に取り組んでいる地域課題を通して、NPOと自治体のパートナーシップがどうあるべきかについて考えていきたいと思っています。
子どもの虐待防止、障害者や高齢者の生活支援、環境問題、DV被害者支援、まちづくりなどの分野で、地域課題の解決に取り組むNPOに焦点を当て、NPOが地域の課題解決のためにどんな事業を行っているのか、関係者を巻き込むためにどういう働きかけをしているのか、行政とどのように連携を図っているのかについて、明らかにしていきます。
活動の現場で実際に起きていることを通じて、NPOの限界、行政の限界がどういう点にあるのか、またそれぞれが果たすべき役割は何かについて、浮き彫りにしていきたいと考えています。
それでは、NPOと自治体のパートナーシップの事例をご紹介します。キーワードは、「難問解決! ご近所の底力」ならぬ、「NPOの底力!」です。