公益法人改革連続学習会・佐賀
どうなる?NPO法人制度の未来
~公益法人制度改革の有識者会議報告を受けて~
公益法人制度改革の連続学習会が、2月18日(金)、佐賀県で開催された。主催は、さが市民活動サポートセンター。以下、その学習会の概要を報告する。
1998年に施行されたNPO法、その成立に深く携わった松原明氏の講演はこれで3回目になる。
最近NPO法人が遂に2万団体を越えた。松原氏は「NPO法は日本での数少ない多産な法律の一つ」と、NPO法人の設立が増加していることを指摘。社会的信頼を得られることなどNPOのメリットを語った。
しかし現在、単なる行政の下請けとなり機能が低下する団体や、財政難や人手不足などから解散してしまう団体が増えてきている。重ねて、サービス面で企業と競争し、また事実企業を圧迫してしまう団体も出てきており、それに伴ってNPO法人への不信感や反発の声があがっている。こういったNPO法人の将来への不安が増してきている中で、松原氏はこの現状を踏まえ、NPO法見直しの時期が来ているとアピールした。
そんな中2002年から政府による公益法人制度改革が本格的に進められた。これは現在の公益法人を抜本的に見直そうと始まったもので、NPO法人と中間法人、公益法人を一本化、それらを大きく二つに分け、公益性のある法人に関しては、中央・地方に判断機関を設け、公益性の有無を判断できるものとした。
これに対してNPOは、「公益性を行政が判断することを排除すること」をNPO法の基本としていることと課税強化になることからこの案に反論、結局去年11月に提出された最終報告ではNPO法人はこの非営利法人制度の対象外となった。しかし対象外になったと言っても、公益法人等の収益事業に対する課税を進める動きがあることから、松原氏は「今から本格的に始まるこの動きに目を向け、また社会できちんと議論していけるかが課題だ。そういった意味でNPOは今、大きな曲がり角にさしかかっている」と話す。
次に松原氏は、単にサービスを与えるだけでなく市民参加を通じて企業との違いを主張するアメリカのYMCAを例に挙げ、企業との協働のあり方、フェアトレードやコミュニティビジネスの活用法、ボランティア・民間財源をどう使うかを考え、「NPOとは何か」、「社会のために何が必要なのか」に対する答えを用意するとともに、NPOならではの事業を行い、企業との違いを明白にしていくことが重要だと訴えた。
また財源についても、不安定でリスクの高い助成金や補助金に頼らず、自己財源と組み合わせて賢く経営すること、その中でも寄付金については「日本のNPOは積極的な態度で寄付金を集めていない」と指摘、“ASK(お願いする)”の必要性を語った。
終わりに行政との協働についてアメリカ・セントラルパークの事例を挙げ、「行政がリソースを与え、NPOがそれをどう使うか」を考えていくことが重要だとくくり、講演会は幕を閉じた。
報告:さが市民活動サポートセンター 石崎方規
2005.03.18