認定NPO法人制度の改善を求める決起集会(神戸)
日時: 2002年11月16日18:00~20:15 会場: あすてっぷKOBE(神戸市男女共同参画センター) 主催: ひょうご市民活動協議会(HYOGON)
NPO/NGOに関する税・法人制度改革連絡会
認定NPO法人制度改正のための全国キャンペーンの一環として神戸での決起集会が開催された。パネリストの地元選出国会議員4名のほか、NPO団体スタッフ、一般市民の参加者の数は約100名に及んだ。
集会は、ひょうご市民活動協議会・野崎代表の挨拶の後、”連絡会”の松原氏による認定NPO法人制度の現状と展望についての報告、各議員からの決意表明、会場との質疑応答の順に進んだ。進行はひょうご市民活動協議会の実吉事務局長。
■認定NPO法人制度の現状と展望
松原明氏(NPO/NGOに関する税・法人制度改革連絡会)
資料に基づいてNPO税制の現状と問題について報告する。10月末現在で全国に約8,700のNPO法人がある。NPOを支えるための支援税制が2001年10月からスタートしたが、現在9法人しか認定されていない。0.1%というのは「惨状」である。客観的な基準があることはいい点であるが、認定要件が厳しい。役所は「もっと申請して」というが、アンケートによってわかったことは、申請しても無駄だということ。一方、7割以上の団体が改正されれば申請する気があると答えている。
最大の問題は日本版パブリックサポートテスト(以下、PST)。アメリカでは95%が通る、日本と逆。介護保険など事業をやればやるほど当てはまらない。委託事業、補助金、助成金が多いと不利。多くの会員に支えられればするほど不利。「認定を受けたいので会員にやめてもらおうと思う」という話が現場で起きている。広域要件に従えば、地域密着できめの細かいサービスも出来ない。また、国際協力団体は海外送金の手続きが煩雑。NPOの実態がわかっていない。
今から12月中旬にかけて税の季節。野党が参議院で14日から改正法案を審議中。
■議員からの決意表明
衆議院議員(公明党)赤羽一嘉氏
現在、超党派のNPO議連のメンバー。8年前の阪神淡路大震災で被災し、ボランティアの皆さんと活動を共にした。成熟社会において第三セクターとしてのNPOを日本社会に位置づけていかなければならない。2年前に税制にアリの一穴を開けたと思ったが実効性はなかった。党内に持ち帰って連立与党の中でもしっかり取り組んでいきたい。
衆議院議員(自由民主党)奥谷通氏
NPO法が出来て4年になる。8,700のうち9件しか認定を受けていない。ただのNPO法人は、何の特典もない。行政が把握するにはいいが、認定をとって初めて特典がある。一方で与党の立場ではモラルハザードを起こしたくないというのもある。経済活性化税政議員連盟を立ち上げ、党の税調の尻を叩いている。みなさんからのご要望をぶつけていきたい。
衆議院議員(保守党)小池百合子氏
経企庁、今の内閣府のNPOを認証する側にいた。政府から見るとNPOやNGOはAGOすなわちアンチ・ガバメント。まだまだ古い感覚の議員もたくさんいる。党内で闘わなければならない。10/21に衆議院本会議で代表質問した。首相からはNPO税制について検討していく旨回答を得た。超党派NPO議連の幹事として与党での税制についてまとめ、来週22日に首相のところへ行く。
衆議院議員(民主党)土肥隆一氏
こんな調子でNPO税制は通るのかと思う。やらないのではないか。そんな勢いは政府に感じられない。NPO文化が育たないのは寄付文化が育たないからだ。日本でNPOをやろうと思ったら至難の技。NPOが税金を払うほどに活発化すればメデタイこと。NPOはしばらく無税にすべき。
■会場からの質問・アピール
- 移送サービス団体
国土交通省ガイドラインでは会員制にしないとできないのに、その反面この税制では会員はダメとなっている。縦割りでない連絡調整もしてほしい。 - 福祉系団体
PSTをうちの決算でチェックしてみたが、クリアしない。もう一つ、共益性の問題。定款に「地域密着性」を謳っているから他区へはサービス提供しない。現実をご存じないのでは。事実をつかんでいただきたい。法律が出来たのに育っていかない。NPOは何者かを認識して欲しい。 - NPOネットワーク団体
神戸は外国人住民が多い。東京から来て、国際都市に期待していたが全然出来ていなかった。震災から8年。緊急時には日本人も寄付するが、活動を続けていくためには安定した財源が必要。自分たちで事業を行ったり助成金・補助金を集めて工夫している。阪神淡路大震災をきっかけにNPOの夜明けを作ってきたものの一人として、国会の場で伝えていただきたい。 - NPO支援センター
PSTというアメリカ方式が日本に入ってきた時、どうして変わってしまったのか。情報公開して頂きたい。NPOは会員に重きがある。会員制だと認められないのはなぜか。 - 災害救援団体
モラルハザードというのは認定の壁を厚くすることで防げるのか?条件がある程それをくぐり抜けようとモラルハザードが起きるのではないか。既存のシステムが壊れた震災時には市民が自ら行動し寄附というものを選択した。税金とは違う寄付のシステムを支えるという視点で制度を作っていただきたい。 - NPO支援センター
手続きとして大変な書類を作成しなければならず、NPOはあまり事務的な事に時間をとられたくないと思っている。手続きを簡素に。 - NPOネットワーク団体
税制の問題をNPOを助けて欲しいという論点でばかり論じるのはおかしいのではないか。今は自分たちで自分たちを支えていきたいという機運も高まっている。寄付も参加の仕方。一般の人達が寄付という形で参加できるという事を強調して運動してはどうか。
■議員からの返答・表明
衆議院議員(民主党)土肥隆一氏
私もNPO推進議連のひとりだが、議連は動いていない。野党4党の合意もできているが、なかなか難しい。認定機関を市民の中から選ぶべき。第三者機関を持ってNPOを審査する。役所がやると書類が積み上がっていく。NPOが生き残って行くには事業型にならざるを得ない。ただ事業を行うと税金がかかる。税金がかからない方向に導いていかないとと考えている。
衆議院議員(保守党)小池百合子氏
先ほど事務手続きが大変だという話があった。私も地域の国際協力に関するNPOを立ち上げたが、書類ばかり書いている。根本的な発想の転換が必要。現実に即した改正案を小泉首相のところに持っていく。与党の税制協議会では議論が進むのに、ある党ではシーラカンスが決定権を持っている。署名、アンケート、大きな声を上げてくれれば議員にとってもやりやすい。
衆議院議員(自由民主党)奥谷通氏
誤解を恐れずにモラルハザードと言ってみた。まさに議論の対象となる。財務省のこだわりは民間だけでお金が動くことへの危機感。国の方も成熟社会の中で民間を信頼していかなければならない。NPOは最近のものではなく16世紀からあった。しかし一度なくなり、福祉は全部国がやるという事になったが、成功している国はない。NPOが頑張らないとこれからの社会はもたない。
衆議院議員(公明党)赤羽一嘉氏
生の声が聞けたことに感謝する。お上意識に対してどう成熟していくか。役所の意識との闘いといってもいい。助けてくれ、では財務省は相手にしない。理屈には理屈で対抗。法の矛盾をつく作戦を考えるべき。寄付は少ないが、国民には納税者意識がないことがまず問題。使われ方に意識が行けば変わってくる。そこを啓蒙していかないと。道理があるなら頑張れる。
■署名運動の報告
李凡氏(日本NPOセンター)
連絡会として要望書への賛同の署名を集めた。6月末までに認証を受けた7,314法人うち4割ほど回収。兵庫県では280法人のうち116法人から署名を得た。
まとめたものを昨日内閣府に提出した。NPOの要望の有力な証拠となる。
松原明氏
国会議員に知ってもらって、国会の中で広げてもらう。来週18日の東京集会で改めて現場の声を伝えていく。それを受けて議員には税調の議論に臨んでいただく。
今日来てくれたようなNPOのために頑張ってくれている議員さんへのバックアップをお願いしたい。
報告:ひょうご市民活動協議会 山根(KEC)
2002年11月21日