認定NPO法人制度の改善を求める緊急集会・大阪
11月2日(火)19:00から21:00、大阪NPOプラザ(大阪市福島区)で「認定NPO法人制度の改善を求める緊急集会・大阪」が開催された。
主催は(社福)大阪ボランティア協会・NPO推進センター。
講師はシーズ=市民活動を支える制度をつくる会松原明事務局長と大阪ボランティア協会早瀬昇事務局長。
この緊急集会は、「NPO/NGOに関する税・法人制度改革連絡会」(以下「NPO連絡会」)が展開している、全国10510のNPO法人に対する「認定NPO法人制度の改善に関する要望書」への賛同を求める署名活動とあわせた、改正のための全国キャンペーンの第2弾である。
集会当日は64名の参加があり、席が不足してしまい、通路にイスを設置して対応するほどの盛況になり、この制度に対する関心の高さを窺わせた。
まず松原氏から制度解説があり、この制度がいかに現実にあっていないかが説明された。取得要件が極めて厳しく、加えて膨大な書類の量。相談件数、申請数は増えているが、認定数が増えていないのは、NPO側にチャレンジ精神が足りないのではなく、制度が非現実的なものに他ならないからと指摘。
この制度を現実的なものにするため、4つのポイントの見直しが挙げられた。1)日本版パブリックサポートテストの見直し、2)共益団体の排除に関する見直し、3)運営組織、経理に関する見直し、4)事業活動における単年度主義の見直しの4点。
これらを見直すことで、制度を現実的なものにしていき、この改革を実のあるものにしていきたいと述べた。
また早瀬事務局長からも日本版パブリックサポートテスト(公衆支援度審査)への指摘があり、算式を改善すると大きな効果が得られると解説があり、改革の必要性を訴えた。
参加者からの意見も活発に出された。「認定申請したら山のような書類を要求されたため、本来の活動ができない。」「年度末に余ったお金は次年度のために繰越しができず、使い切れという指導があり怒っている。」など認定制度がかえって活動の妨げになっていることを覗かせた。
また「個人情報の尊重に対して配慮が足りない。」など行政側の問題や「委託漬け、補助金漬けの団体が多いことが団体のマネジメントを弱くしている。」などNPOが抱える問題についても発言が及んだ。
加えて、集会では、「今後、NPOが発展し、健全な運営、経営をしていくためには、自己資金を確保することが必要不可欠である。会費、寄付金もその中の重要な要素である。」「大口だけでなく、小口寄付など含めて資金構成していくためにも、認定制度を現実に合致した使いやすい制度に変えていくことが望まれる。そうすることで、会費、寄付などの自己資金率が高まり、NPO活動の活発化につながっていく。」といった発言もあった。
この集会は、こういった認識を参加者全体で共有し、かつ制度に対する意識の向上が図られた点で、全国キャンペーンの第2弾として有意義な会になった。
最後に松原氏が「制度ができた当初は申請する団体も少なく、事例がなかったが、こうして実際に具体的な事例を出していただくと、この制度がいかにNPOの実態に即していないかということがわかる。制度改革にはこうした実態を伴った声をあげていくことが大変効果的だ。今後もこのような声をどんどん出していってほしい。」と締めくくった。
認定NPO法人制度改革を実現するため、今後も活発な集会が期待される。
報告:(社福)大阪ボランティア協会・NPO推進センター中島清孝
2004.11.19