NPO支援税制学習会(奈良)
10月16日(土)14:00から16:00、奈良でNPO支援税制学習会が開催された。
主催は奈良NPOセンター。会場は、奈良県経済倶楽部会議室。
講師は、大阪ボランティア協会事務局長の早瀬昇氏。
なお、この学習会は、奈良NPOセンターが主宰する「なら・NPOサロン」の10月例会を兼ねた集まりとして開催された。
2001年10月にNPO支援税制として施行された「認定NPO法人制度」は、NPOに寄附をした個人や企業のおさめる税金が軽減されるもので、資金調達に悩むNPOにとっては、寄附が集めやすくなる重要な制度。にもかかわらず、この認定をとるための要件が厳しく、全国のNPO法人が18000を突破する一方で、認定をとれたのは25法人にとどまっている。市民側の働きかけで、2003年4月には一部の認定要件が改正されたものの、これらが十分な効果をもたらさなかったことが大きな問題となっている。
奈良NPOセンターも加盟している「NPO/NGOに関する税・法人制度改革連絡会」(以下、「NPO連絡会」)は、全国のNPO支援センターのネットワーク組織。NPO連絡会は、10月4日、全国10,510のNPO法人に対して、「認定NPO法人制度の改善に関する要望書」への賛同を求める署名活動を開始した。
署名活動とともに、NPO連絡会では、認定NPO法人制度のどこが問題で、どのように改正すべきかなどについて問題意識の共有と、世論喚起を目的として全国約13カ所で集会・勉強会を開催する。
この認定NPO法人制度改正のための全国キャンペーンのトップを切って、奈良でNPO支援税制学習会が開催された。
はじめに、早瀬氏がNPOにとっての支援税制の重要性について解説した。
早瀬氏はアメリカのNPO税制についても触れ、日本では、事業目的に関係なく、税法上の収益事業に該当すれば課税されるのに対し、アメリカでは公益団体だけでなく共益団体も含めて、「本来事業収入」が非課税であることや、寄附金控除を受けられる団体が全米で約65万団体にのぼることを指摘。
基本的に公益目的のNPOを支える寄附を奨励することが前提の制度であるのに対して、日本では、いかに脱税を防ぐかを念頭に制度設計されているため、認定NPO法人の数が極端に少なくなっていると解説した。
また、認定のためのハードルとなっているパブリック・サポート・テストの算式によって、事業収入の多い、例えば介護保険関連の団体が認定NPO法人になることが極めて難しい実態も報告された。
会場では、参加者も交えて税制改正に向けた活発な議論が交わされ、認定NPO法人制度改正のための機運が高まった学習会となった。
報告:(特活)奈良NPOセンター 村上良雄