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2002年の報告

2007年08月29日 12:52

NPO支援税制改正・九州キャンペーン(福岡)

今こそ変えよう!認定NPO法人制度

 2002年11月8日(金)午後7時より、(特活)NPOふくおかと(特活)ステーションの共同主催で、シーズ=市民活動を支える制度をつくる会事務局長・松原明氏を迎えて、「今こそ変えよう!認定NPO法人制度 NPO支援税制改正・九州キャンペーン」を開催した。(トヨタ財団助成)

 会場の福岡市NPO・ボランティア交流センターには、熱気あふれる35人の参加があり、遠くは長崎や沖縄からの参加者もいて、九州ブロックの関心の高さをうかがわせた。

 このキャンペーンは「NPO/NGОに関する税・法人制度改革連絡会」が、認定NPO法人制度の改正を図るために全国16ヶ所で展開した全国キャンペーンの一環で、福岡は中盤折り返し点となる開催となった。進行は (特活)NPOふくおかの加留部貴行事務局長が務めた。

 はじめに、松原明氏より、資料に基づいたNPO税制の現状と問題について状況報告があった。

 2002年10月31日現在、全国約8700の団体がNPO法人の認証を受けている。経済産業省の調査によればNPO法人の約6割が年間収入1000万円以下という脆弱な財政基盤の中、その財政面を支えるために、2001年10月1日より、一定の要件を満たしていると国税庁長官が認定する「認定NPO法人制度」がスタートした。これは、認定NPO法人への寄付者(個人・団体)に対して、一定金額まで寄付金が課税所得から控除されるという制度である。

 しかし、1年が経過した11月8日の時点で認定を受けている団体は全国でわずか9法人、全体の約0.1%に過ぎないのが現状である。その原因は、厳しい認定要件にあり、さらに、複雑な申請書類や2年ごとの更新など、手続きの煩雑さも認定申請の阻害要因となっている。なかでも最大の問題は、「総収入金額に占める受入寄附金総額の割合が3分の1以上でなければならない」という要件である日本版パブリックサポートテスト(以下、PST)。シーズの調査によると、96%超のNPO法人がこのテストをパスできないのが現状だ。多くの正会員を抱える団体や、委託事業や自主事業などで事業を広く展開している団体、補助金や民間助成金を受けている団体には不利にはたらく設計となっており、NPOの財源に見合った制度設計になっていないといえる。

 さらに、シーズの調査データをもとにしたシミュレーションによれば、PSTの右辺の3分の1を、ただ単に5分の1に緩和しても、認定率はほとんど変わらない。10分の1にしても満足いく率にはならない。つまり、PSTの左辺の分母(=総収入)と分子(=寄付金等)の内容に踏み込んだ改正を行わないことには、小手先の改正となってしまう恐れがあるのである。

 日本版PSTがお手本としたはずのアメリカのPSTでの認定要件は日本のものよりもはるかに緩く、日本と逆の95%超がパスする。仮認定制度の導入などNPОの立上げを支援する思想などがはっきりしていて、門戸が広くなっている制度である。

 認定要件は、日本版PSTの他に、ひとつの市区町村での活動が8割を超えていなければならない「広域性要件」や、NGОの海外送金手続きの煩雑さなど、NPOの実態がわかっていない要件ばかりであるのが現状。しかし、シーズの調査によれば、NPO側が望む緩和条件が全面的に実行されれば、半数近くのNPO法人が認定されるというシュミレーション結果が出た。くわえて、認定要件が緩和されれば、NPOの申請意欲も増していくと思われる。これからのNPOの社会的な活動をさらに促進していくためにも、認定NPO法人制度の改正はより実効性のあるものでなければならない。

 続いて、会場からの質疑を受けた。シーズのホームページ内「なんでも質問箱」回答者でもある赤塚和俊氏にも回答に加わってもらった。

■ おもな質疑内容

1.認定をうけない法人への寄付は寄付先に一切の優遇措置はないのだろうか。

赤塚和俊氏(公認会計士・シーズ「なんでも質問箱」回答者): 個人が寄付したものに関してはなんの税制の措置もない。企業が寄付した場合には、企業会計、税法で損金算入限度額の範囲内であれば経費になる部分もある。

2.任意団体がNPO法人に認証された場合、旧任意団体の残有財産を新しいNPO法人に移行する場合、寄付をする処理をすることが多いと思うが、この寄付金の取り扱いはどのようになるのか。

赤塚氏: はっきりとした指針は示されていないが、ひとつの寄付金として考えていいと思っている。しかし実際には今のところ、出資に準ずるということで寄付とはみなしていないようだと実際に認定を受けた法人の方から聞いた事がある。少しおかしいとは思う。

3.パブリックサポートテストの内容をうまくいっているアメリカ版と違うものにしたことについて、日本政府はどう考えているのだろうか。変更点についての意図について説明はあったのか。

松原氏: 一部には、補助金をもらうことは、NPOの自主自立の精神からおかしいのではないかという意見があるようだ。また、助成金については、企業財団というのは企業から貰ったも同じだと考えている。また、3,000円未満のお金は私たちではチェックできないし、匿名寄付も監督できないので、算入しないとしているようだ。正会員の会費は、身内でお金出して好きな事やってるんだから、そんなお金はカウントする必要ない、寄付じゃない。というように、ひとつひとつ見ていくと、こんな変なものになったという話だ。

4.インターネットで民法34条の改正も必要というような記事があったかと思うが、この税制と関係があるのだろうか。

松原氏: 将来的には関係が出てくるかもしれないが、今のところ関係ない。短期的には切り離して話が進んでいる。民法34条に関しては、2~3年後ぐらいをターゲットにしているので、再来年ぐらいには関係してくるのではないかと思う。

5.シーズの調査でパブリックサポートテストの右辺を1/3から1/10に引き下げてもほとんど効果がないということに正直驚いた。抜本的修正が必要だと感じた。ところで、認定を受けたNPO法人は、認定を受けたメリット、実際の寄付は増えたのだろうか。

松原氏: 一番最初の認定法人が出たのが去年の12月。そこで知っている認定法人に行って聞いてみたところ、予想したとおり寄付というのは認定を受けたからといってすぐにくるものではなく、じわじわときいているようだ。しかも認定の有効期間が今年の1月からで、税金のシーズンが年度末とか年末とかなので、実際上はまだ効果はないようだ。1年後か2年後に効果が出るのが普通というところなのに、認定期限が2年間というのは一体どういうことかと思っている。

■ 国会議員の皆様からお寄せいただいたメッセージ(メッセージ到着順)

衆議院議員 松本龍氏(民主党)

 今こそ変えよう!認定NPO法人制度NPO支援税制・九州キャンペーンのご盛会を祝します。日頃から認定NPO法人制度改正、税制改正への早期実現に向けてのご活躍に対し心より敬意を表します。本日のキャンペーンを契機に、より多くのNPO法人の皆様の益々のご活躍とご健勝を祈念致しております。 

衆議院議員 楢崎欣弥氏(民主党)

 国会のため出席できず申し訳ありません。真にNPO活動を支援する法制定にむけて私もがんばります。

衆議院議員 北橋健治氏(民主党/政調会長代理)

 「認定NPO法人制度改正のための全国キャンペーン」のご開催を心よりお慶び申し上げます。日頃の、皆様方の各分野においての献身的なご活躍に深く敬意を表します。この度、民主党は「経済再生プラン」をまとめ、NPO法人につきましては要件緩和と支援税制によって五00万人規模の雇用創出を強く求めております。本日は、出席できず誠に残念ですが、私も党の税制会長として二十一世紀にふさわしい市民社会づくりに向け、制度の更なる充実をはかってまいります。本会のご成功と、皆様の今後益々のご活躍を祈念申し上げメッセージといたします。

参議院議員 岩本つかさ氏(民主党)

 九州キャンペーンのご開催を心よりお慶び申し上げます。微力ですが私も「認定NPO法人制度」の具体的な見直し案の策定に向け全力を挙げて頑張ります。NPOふくおか今里理事長をはじめ皆様方の今後ますますのご活躍とご盛会をお祈りいたします。

 最後に、 (特活)ステーションの富山直美から謝辞があり、松原氏への激励の拍手をもって福岡会場のキャンペーンは終了した。

報告:(特活)NPOふくおか 佐野由希

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