その他 : 公法協、公益認定に関する要望を提出
8月7日、財団法人公益法人協会と公益法人税制対策委員会は、内閣府公益認定等委員会あてに、全14項目からなる「ガイドライン規定要望事項」を提出した。この「要望事項」では、公益法人認定法の第5条第4号に、営利事業を営む者に対して寄付等を行ってはならないという文言があることについて、NPO法人など、非営利法人で公益目的事業以外の事業(収益事業)を行っているものを、その対象に含まないことを確認、明示するように要望している。
昨年6月2日に公益法人制度改革関連3法が公布され、民法の公益法人に関する34条以下の規定が110年振りに改正された。
これによって、剰余金の分配を目的としない社団及び財団は、その行う事業の公益性の有無にかかわらず、準則主義(登記)により簡便に法人格を取得することができる「一般社団法人」及び「一般財団法人」となることになった。
そして、「一般社団法人」及び「一般財団法人」のうち、公益性が認定された法人については、「公益社団法人」、「公益財団法人」として適切な税制上の措置が講じられるとされている。
8月7日、財団法人公益法人協会と公益法人税制対策委員会(公益法人協会会員団体の役職員、公認会計士等からなる委員会)は、内閣府公益認定等委員会あてに、公益法人認定全14項目からなる「ガイドライン規定要望事項」を提出した。
この「ガイドライン規定要望事項」では、公益法人認定法中の「不特定かつ多数の者の利益」、「経理的基礎及び技術的能力」、「公益目的事業の実施に当たり、適正な費用を償う額を超える収入を得てはならない」、などの文言の解釈、また、公益目的事業財産の取り扱いなどについて要望を述べている。
また、公益法人認定法の第5条第4号に、営利事業を営む者に対して寄付等を行ってはならないという文言があることについて、NPO法人など、非営利法人で公益目的事業以外の事業(収益事業)を行っているものを、その対象に含まないことを確認、明示するように要望している。(当該部分は文末を参照のこと。)
「ガイドライン規定要望事項」は、公益法人協会サイトに掲載されている。
http://www.kohokyo.or.jp/non-profit/seidokaikaku/kohokyo/yobosho070807.pdf
4.公益法人認定法第5条第4号の「営利事業を営む者」「寄附その他の特別の利益」「公益法人」
(法文)
その事業を行うに当たり、株式会社その他の営利事業を営む者又は特定の個人若しくは団体の利益を図る活動を行うものとして政令で定める者に対し、寄附その他の特別の利益を与える行為を行わないものであること。ただし、公益法人に対し、当該公益法人が行う公益目的事業のために寄附その他の特別の利益を与える行為を行う場合は、この限りでない。
(要望事項)
(1)営利事業を営む者
事業による利益を構成員に分配する事業者という意味で、非営利法人で公益目的事業以外の事業(収益事業)を行っているものは含まないことを、確認、明示していただきたい。「営利事業」が「収益事業」という意味の場合、ただし書きは「収益事業を行う公益法人の公益目的事業に対する寄附その他の特別な利益の供与」を適用除外する趣旨と考えられるが、例えば、収益事業を行う社会福祉法人や特定非営利活動法人など広義の公益法人等の公益目的事業への寄附が適用除外されないこととなり問題である。これらも適用除外されるよう考慮していただきたい。
(2)寄附その他の特別の利益
法第5条第3号の「特別の利益」同様基本的には金銭的贈与、資産の無償(低廉)譲渡、給与・報酬を仮装した特別の給付など財産的利益を指すものであろうが、助成財団等が「株式会社その他の営利事業を営む者」に対して助成金、表彰金を交付することがしばしばある。例えば、企業の優れた社会貢献活動や技術開発に対し表彰金、助成金、記念品を提供する、営利法人形態の芸術文化団体に対し公演助成を行うなどの場合である。また、資金面で脆弱なベンチャー企業に対して助成金交付や債務保証を行う、ベンチャー育成目的の公益法人も存在する。このような場合は「寄附その他の特別の利益」に該当しないものとして取り扱うことを明示していただきたい。