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2005年の報告

2007年08月29日 15:47

シーズ学習会「NPO法人の税務セミナー」(全2回)

 2005年6月20日と27日、シーズ主催の学習会「NPO法人税務セミナー」が開催された。シーズでは、毎年NPO法人の税務に関するセミナーを開催しており、今年が5回目。

 講師は、公認会計士で税理士の赤塚和俊氏。赤塚氏はNPO法人の税務に関する第一人者で、NPO法人「NPO会計税務専門家ネットワーク」の理事長。シーズのホームページNPOWEBの「なんでも質問箱」の回答者もつとめている。


第1回 NPO法人の税務

 6月20日の午後1時半から4時半まで、セミナー会場となった東京都消費生活総合センター会議室(飯田橋)で、参加者は3時間にわたって、NPO法人の法人税について、基本的な考え方から具体的な申告方法まで、赤塚氏の解説に熱心に耳を傾けた。

 赤塚氏によれば、NPO法人の税務において最も混乱するのが、NPO法人が行っている事業が課税対象となる収益事業に該当するか否かということ。

 NPO法人の場合、法人税法上の収益事業を行っていれば申告の義務があり、それが「特定非営利活動」であれ、「その他」事業であれ課税されるが、そもそも法人税法上の収益事業か否かという判断において、団体側でも、税務当局でも誤解しているケースがあるとのこと。それによって、納める必要の無い税金を納めている事例もあるそうだ。

 課税対象となる、法人税法上の「収益事業」の定義は、「政令で定める事業(33業種)」で、「継続して」かつ「事業場を設けて」営むものだが、NPO法人の多様な事業展開のなかで、その事業が33業種に入るのかどうかの判断について混乱が続いているそうだ。また、「継続して営む」ことの解釈にもグレーゾーンが広く、収益事業か否かについて、税務署の担当者によって判断が異なるケースがしばしば生じているのは大きな問題だと赤塚氏は指摘した。

 また、法人税は「所得(黒字)」に対して課税されるもので、赤字であれば税額はゼロ。赤字でも課税されるのは、法人税ではなくて法人住民税の均等割のことだが、ほとんどの自治体が、法人税法上の収益事業を行っていないことを免除の条件としていることから、この「収益事業」の定義は重要な意味を持つ。また、認定NPO法人となる場合の要件にも関わることなので、くれぐれも誤った解釈をしないようにと、赤塚氏は注意を促した。

 続いて、赤塚氏は税に関する事務処理について解説。課税所得の算出のために現金主義で作成した収支計算書を発生主義に作成しなおす場合の注意点、NPO法人に求められている区分経理(NPO法上の本来事業とその他事業に関する区分経理と、法人税法上で収益事業とそれ以外の事業を行っている場合の区分経理)に際して必要な按分計算書の作成方法、商品棚卸、減価償却などについて解説した。

 赤塚氏は、申告書の書き方についても設例をもとに具体的な説明を行い、参加者は熱心にメモを取りながら耳を傾けていた。

 後半に設けられた質疑応答の折には、自団体の税務に関する具体的な質問が続いた。終了後のアンケートによれば、多くの参加者は、このセミナーで実務に活かせる知識を得たことに満足したとのことだった。


第2回 NPO法人の消費税

 税務セミナー2回目は、6月27日の午後1時半から4時半まで、中野サンプラザ研修室で開催された。講師は第1回目と同じ赤塚和俊氏。

 昨年4月より消費税法が改正され、これまで3千万円だった免税点が1千万円に引き下げられたことで、あらたに対応が必要となったNPO法人も多くでてきている。また、課税事業者になるかどうかで税務・会計事務が大きく変わってくる。消費税に関してNPO法人の現場で関心が高まるなか、参加者は熱心に赤塚氏の解説を聞いていた。

 はじめに赤塚氏は、消費税の概要を説明した。「課税事業者」か「免税事業者」かは、課税期間の2年前の事業年度を「基準期間」として、その課税売上高で判定される。基準期間の課税売上が1千万円を超えたら「課税事業者」となる。納税額の算出にあたっては「本則課税」と「簡易課税」の2種があり、1千万超5千万以下の場合、簡易課税が有利であれば「簡易課税制度選択度届出書」を提出して簡易課税を選択することが出きて、5千万超だと自動的に本則課税の適用となる。以上のような消費税の基本的な仕組みを、赤塚氏は関連用語の解説を交えてわかりやすく説明した。

 次に「課税売上」の定義を解説。課税売上となる取引とは、財やサービスの対価のうち、消費税法で掲げられた非課税売上(13種類)以外のもので国内で事業者が行った取引だとされており、NPO法人の資金源である、会費、寄付金、補助金、助成金は課税売上とみなされないと説明した。ただし、NPO法人の場合、無償のサービス提供がある会費は対価性があるとして課税売上とみなされる場合があり、また、会費以外にも、エコツアーなどの実費相当額の料金や国内業務をともなう海外での事業など、NPO法人でよく問題になる事例をあげて、注意が必要だと述べた。

 後半、赤塚氏は消費税の算出方法について具体的に説明。簡易課税と本則課税のいずれが有利かを判定するためにはシミュレーションが必要になることから、計算モデルをいくつかあげながら詳細な解説が続いた。とりわけ、本則課税の場合には収支の内訳を厳密に区分する必要があり、しかも複雑な計算が求められることから、赤塚氏の解説に対して会場からの質問も相次いだ。

 終了後のアンケートでは、消費税は難解だが、消費税の額が選択する計算方法によって違ってくることがよくわかり、今後の税務において注意が必要だと思ったという意見が多かった。

報告:シーズ 徳永洋子
2005.07.11

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