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新!特別連載コーナー

2007年08月23日 16:26

第六回 ファニー・メイ財団(Fannie Mae Foundation)

コーナーのご紹介:

 2002年5月、シーズは国際交流基金日米センターの助成を受けて米国を訪問し、米国の NPOや財団、そして企業は寄附をどのように捉えているのか、またNPOは募金のためにどのような努力をしているのかを調査してきました。

 この特別コーナーでは、10回にわたってこの調査旅行で出会ったNPOや財団の募金担当者(fundraiser)、また企業の社会貢献担当者のインタビューをご紹介します。米国ならではの考え方もありますが、日本のNPOが参考にできるところもたくさん見つかるはずです。

 この調査発表は、国際交流基金日米センターの助成事業です。


第六回 ファニー・メイ財団(Fannie Mae Foundation)

(2002年5月7日訪問)

 連載第6回目は、ファニー・メイ財団です。この財団は、いわゆる企業財団。

 親企業であるファニー・メイ法人は、米住宅金融最大手の連邦住宅抵当会社。第2住宅ローン市場といわれる部門だそうで、個人への住宅ローン貸出しではなく、顧客は銀行や不動産関係などだそうです。企業ミッションは、低中所得者層の人々が住宅購入できるようにすること。

 ファニー・メイ財団は、1996年に正式設立。低所得者層の人々の住宅取得を促進させるとともに、その他の住居関連の問題改善に取組んでいます。また、NPOなどに助成金を出す助成財団でもある。

 ファニー・メイ財団の基金はすべて、親企業のファニー・メイ法人から寄附されています。財団の活動は米国全土が対象ですが、本拠地のワシントンDC地域に特に力を入れています。年間予算は、約1億2千万ドル。そのうち約3,700万ドルをNPOなどの事業に助成しており、さらにその25%がワシントンDC地域の事業となっているとのことです。

 お会いしたのは、地域サービス部長のスザンヌ・ファヴレット・ピローンさんと、地域助成金課長のアイリーン・リフズィタウンズです。

 以下は、お二人のお話の内容をまとめたものです。

 ファニ・メイー財団のロビーにて。左から2番目がピローンさんで、その右隣がリフズィタウンズさん


 「私たちはファニー・メイという住宅ローン会社が設立した財団です。NPOとの関係としては、住居問題と地域発展、青少年と発育、ホームレスの人々へのサービス、芸術、市民活動などを行うNPOの事業に助成金を出しています。

 その他にも、助成金を出したNPOを対象として、組織強化のための追加助成を行ったりもしています。というのは、というのは、助成対象団体がしっかりとしていれば、それだけ地域に対して効果のある活動をすることができるからです。

 企業の方のファニー・メイは、良い企業市民でありたいと考えています。商売をしようとしれば、その地域に還元せざるをえないということもあります。米国では、消費者は社会的責任を果たしている企業の製品を購入する傾向があります。ですから、社会への還元は、会社の収支差にも直接影響するのです。

 助成先のNPOには、企業であるファニー・メイの社員、またファニー・メイ財団の職員をボランティアとして受け入れてくれるように求めています。ボランティアは、ファニー・メイのTシャツを来て活動しますから、地域での広報にもなるのです。

 また、助成をしているNPOには、新聞記事などで活動を紹介する時には、ファニー・メイとともに活動していることをできるだけ言ってほしいと思っています。

 企業の方のファニー・メイ社は、低中所得者層に住宅を供給することを目的にしていますが、NPOとパートナーを組むことで、これも可能になるのです。パートナーを組むと、地域の人たちのニーズもよく分かります。どのような住宅がこの地域に向いているのかなど、得るものも大きいのです。NPOが行う事業の恩恵を受けている地域の住民に会って話すこともありますし、プロジェクトの現場にも出かけていきます。

 先日は、2003年から2007年までの事業の戦略計画を立てる会議を行ったのですが、ここにワシントンDCの地域のリーダーにも集まってもらいました。私たちは、地域のために一方的に事業を進めているのではなく、フィードバックをもらいながら事業を進めている財団だということを理解して欲しいと思っています。

 財団がNPOに助成を決定する際には、次の9つの点を見ます。

  1. 団体の計画性

     事業を可能にするインフラがあるか、事業計画がしっかりしているかなど

  2. 団体の組織構成

     組織統治のしくみがしっかりしているか。役員や事務局長にはふさわしい人が就任しているかなど

  3. 資金の調達

     活動資金についての計画があるか。役員、職員、ボランティアが募金活動など、資金集めに関わっているか

  4. 広報戦略

     活動を一般の人にきちんと知らせようとしているか。そのための計画があるか

  5. 財政についての説明

     予算書、報告書がしっかりしているか。監査報告書の内容はどうか。つまり、財政的に安定しているか

  6. 過去の事業の評価

     過去に実施してきた事業から何を学び、何が成功し、何が課題として残っているか

  7. 柔軟性

     変わる地域ニーズに対応できているか

  8. 革新性

     新しく効果的な視点で取組んでいるか

  9. 成果

     事業により、何が変わるのか、どう地域に影響をあたえるのか

 それから、助成金を出す時には、目に見える変化、効果・見返りを求めます。ただし、目に見えるといっても、建物の建設から、ホームレスの人たちへの食事の提供など、助成事業はさまざまですから、何が成果なのかを計るにあたっては、適切な目を持たなくてはなりません。この課題は、財団内部で今、議論しているところです。」


 企業がNPOを支援したり、地域社会へ還元することが、企業の収支差にも現れてくるというのは、他の団体でも聞いたことです。支援を受けるNPOの方は、寄附や助成金を受けているからといって、その会社の商品を保証するようなことのないように気を付けているようですが、一方で、こうした企業や企業財団のニーズを組んで、新しいパートナーシップの形を築きつつあるようです。

 ファニー・メイ財団のホームページアドレスは、次のとおりです。

 http://www.fanniemaefoundation.org/

(2003.06.26)

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