第8回中央環境審議会総合政策部会
2002年10月24日(木)、13:30より、環境省の諮問機関である中央環境審議会・総合政策部会の第8回部会が、経済産業省別館にて開催された。総合政策部会では去る9月20日に、「地球環境力創造戦略(案)」を発表したところである。今回の部会は、NPO、自治体、企業から7人を招聘、「地球環境力創造戦略(案)」についての意見を聞くことを目的としたもの。NPO側からは、4人が意見を述べたが、そのうちのひとりとして、シーズ事務局長の松原が出席した。
意見発表者は以下の7人(発表順)。
- 特定非営利活動法人中部リサイクル運動市民の会代表 萩原 喜之氏
- 特定非営利活動法人グラウンドワーク三島理事 小松 幸子氏
- シーズ=市民活動を支える制度をつくる会事務局長 松原 明
- 羽根木プレーパーク世話人(環のくらし会議地域の取組分科会メンバー)首藤万千子氏
- 三重県環境部環境創造活動チームマネージャー 南 清氏
- 株式会社西友執行役員/環境推進室室長 小林 珠江氏
- 日本生活協同組合連合会専務理事 品川 尚志氏
「地球環境力創造戦略(案)」では、今後持続可能な環境・経済・社会を実現するためには、国民、事業者、民間団体、行政などのあらゆる主体が協力・連携を図りながら自発的に環境保全活動に取り組む必要があるとしており、具体的な方策として、人材の育成、情報交換の拠点づくり、NPO法人に対する税制優遇措置の拡充などによる資金面の支援、各主体が参画する全国評議会の設立などを提案している。
このような基本的理念のもと、人材面では、これまで国や地方公共団体で育成してきた環境カウンセラーや環境アドバイザー、拠点については地球環境パートナーシッププラザ(東京都)や地方環境対策調査官事務所(全国9箇所)など、既存の制度や施設を活用することを提案。さらに、これらに加えて民間団体などからの人材を登録、研修などを行い、また、各セクターから参加を募って、地域ごとに環境創造リーグ(仮称)を設置、広いパートナーシップの形成を目指す内容となっている。
このような内容に対しNPO側からは、基本的な考え方としては大歓迎するものの、実施手法がかなり古く、実効性はあるのか危惧する声が相次いだ。
特に、「国が一律に全国どの自治体でも」という手法は、地方分権がすすんでいる現代にあってはあまり機能しないだろうと指摘、全国評議会の設置についても必要性について疑問視する意見がだされた。
また、パートナーシップを形成することについては、公平性を重んじて仕事をする行政には仕方のない面もあるが、行政とNPOでは仕事のやり方に違いがあり、互いにかなりの忍耐を必要とするのではないかと、パートナーシップの実現可能性についても疑問が呈された。
パートナーシップというのは、各セクターが自立していなければ実現しないことであり、まず、自立を促すための環境整備こそ必要なのではないか。そのために、官→民への資金移動ではなく、民⇔民の関係を強化することが必要である。行政はそのために何ができるのか、という視点で戦略づくりをしてほしい、などの提案がなされた。
登録制についての疑問や、行政が育成する環境カウンセラーの資質などについても意見がだされた。
自治体や企業からは、それぞれの立場からの取組が紹介された。共通して提案されたことは、日々、従業員や消費者である市民と接している体験から、彼らの環境に対する意識が高まっており、社会貢献活動は今後一層力を注いでいく必要がある。そのような観点から、それぞれの活動を励まし、実効性のある仕組みと利用したいと思ったときにアクセスしやすい仕組みを、また、その仕組みにほころびがでてきたときに、改善していく仕組みも同時に組み込んだものをつくってほしいなどの要望がだされた。
このような意見を受け、森嶌本部長(財団法人地球環境戦略研究機関理事長)は、従来のような国からトップダウン式におろしていくようなかたちではなく、市民からの提案を国の施策に反映していくようなものをつくることが求められていることがよく分かったと述べ、今後の戦略づくりに活かしていくと挨拶し、閉会した。
なお、地球環境力創造戦略(案)については、当会の10月2日のニュースより、詳細をみることができる。
/2002/10/行政-環境省、地域環境力創造戦略案発表/
文責:安部嘉江
2002.10.18