その他 : 東商、認定要件の緩和を要望
9月13日、東京商工会議所は、「平成20年度税制改正に関する要望」を発表した。要望には、認定NPO法人の認定要件の緩和および認定期間の延長が盛り込まれている。
東京商工会議所(山口信夫会頭)は、9月13日開催の第585回常議員会で、税制委員会(委員長:池田守男副会頭、資生堂相談役)と事業承継問題委員会(委員長:神谷一雄特別顧問、松久社長)がとりまとめた「平成20年度税制改正に関する要望」を決議し、発表した。
要望書では、その基本的な考え方のなかで、「わが国の厳しい財政状況を考えると、政府(国や地方自治体)の役割を引き続き拡大していくことは困難である。さらに政府の画一的なサービスでは多様化するニーズに対応することは難しい。これまでの政府の役割を見直すとともに、国や地方が提供する公的サービスを民間の自発的な取り組みにより補完していく必要がある。」と分析。
その上で、「その担い手として期待される非営利法人の設立や運営が円滑に進むよう来年施行される新たな公益法人制度の税制面を整備するとともに、わが国において寄附文化を根付かせる観点から、寄附金税制を見直す必要がある。」と提言している。
認定NPO法人制度に関しては、認定要件の緩和と、認定期間の延長(3年以上)を要望している。
また、寄附文化を根付かせるために、特定公益増進法人、認定NPO法人、公益社団法人・公益財団法人に対して寄附を行った法人の損金算入限度額(現行:所得金額の1.25%+資本等の金額の0.125%)を大幅に引き上げることを要望。
さらに、個人住民税の所得控除に関しても、
・その適用下限限度額(現行:10万円)を5,000円に引き下げる、
・控除限度額(現行:総所得の25%)を40%に引き上げる、
・住民税に関する所得控除が認められる寄附の対象として、納税義務者の住所地に所在する公益性の高い非営利法人(公益財団・公益社団法人、特定公益増進法人、認定NPO法人)を加える、
べきだとしている。
東京商工会議所が発表した、「平成20年度税制改正に関する要望」は下記に掲載されている。
http://www.tokyo-cci.or.jp/kaito/teigen/2007/190914.html
なお、「平成20年度税制改正に関する要望」の、「寄附金に関する税制の拡充」に関する部分は下記の通り。
平成20年度税制改正に関する要望事項
<2.寄附金に関する税制の拡充>
(1)公益法人制度改革に伴う税制
1.公益社団法人・公益財団法人に対する課税のあり方
公益法人制度改革により、新たな非営利法人制度が平成20年12月までに施行される。新制度の下で第三者機関により公益性を認定された社団法人及び財団法人(以下、公益社団法人・公益財団法人とする)への課税について以下のとおり要望する。
イ.法人課税
各事業年度の所得のうち収益事業から生じた所得以外の所得及び清算所得に対して法人税を課さないとする現行の公益法人の取り扱いを適用するとともに、収益事業課税が公益活動の支障とならないよう、現行のみなし寄附金制度を大幅に拡充し、収益事業からの収益を本来の公益目的事業に繰入れた場合の損金算入枠(現行:所得金額の20%)を、大幅に拡大すべきである。
ロ.金融資産収益に対する課税
金融資産から生ずる利子・配当等の収益は、公益活動を支える重要な財源であり、非課税とすべきである。
2.公益社団法人・公益財団法人に対する寄附金税制のあり方
公益社団法人・公益財団法人は、税制上、寄附金優遇の対象法人として取り扱うこととし、それに対して寄附を行った個人や法人に対して、少なくとも特定公益増進法人、認定NPO法人と同様の寄附金優遇を認めるべきである。
3.公益信託等、他の公益制度との均衡
公益社団法人・公益財団法人への課税や寄附金税制の制度設計にあたっては公益信託等、民間資金を活用して公益活動を行う他の制度とのバランスを勘案しながら進めるべきである。
4.一般社団法人・一般財団法人に対する課税のあり方
新制度の下で第三者機関による公益性の認定を受けない社団法人及び財団法人(以下、一般社団法人・一般財団法人とする)への課税について以下のとおり要望する。
イ.公益活動の担い手を確保・育成する観点から、一般社団法人・一般財団法人に対して営利法人と同等の課税とするのではなく、人格なき社団等と同等の税制優遇措置は維持するべきである。
ロ.一般社団法人・一般財団法人のうち、「専ら会員のための共益的事業活動を行う非営利法人」については、会費だけでなく、寄附金、補助金、助成金等も非課税とすべきである。
(2)法人や個人による寄附を促す税制措置の拡充
1.法人税の損金算入限度額の拡充
特定公益増進法人、認定NPO法人、公益社団法人・公益財団法人に対して寄附を行った法人の損金算入限度額(現行:所得金額の1.25%+資本等の金額の0.125%)を大幅に引き上げるべき。
2.控除限度超過額の繰越制度の導入
法人税の損金算入限度額および所得税の所得控除限度額について、アメリカやフランスと同様に、それぞれ繰越制度(5年程度)を導入するべき。
3.個人住民税に係る寄附金税制の拡充
今年実施された税源移譲により、個人にとって住民税の負担は従来よりも高くなっていることから、個人住民税に係る寄附金税制を次のとおり拡充すべきである。
イ.所得控除の適用下限限度額(現行:10万円)を5,000円に引き下げるとともに、控除限度額(現行:総所得の25%)を40%に引き上げるべき。
ロ.所得控除が認められる寄附の対象団体として、納税義務者の住所地に所在する公益性の高い非営利法人(公益財団・公益社団法人、特定公益増進法人、認定NPO法人)を加えるべき。
(3)認定NPO法人の認定要件の緩和および認定期間の延長
1.認定要件の緩和
NPO法人は、現在3万超設立されているが、寄附金優遇措置のある認定NPO法人については、まだ70程度しか認められていない。認定要件を緩和し、認定NPO法人数を増加するべき。
2.認定期間の延長
現在2年に一度である認定の見直しについて、本来活動に専念できるよう、認定期間を3年以上に延長すべき。