「特定非営利活動」とはどのようなものですか。
「NPO法第2条の別表に掲げる17の分野に該当する活動で、不特定かつ多数のものの利益の増進に寄与することを目的とするもの」をNPO法は特定非営利活動と定義しています。
別表に記載されている17の分野とは以下のものです。
・保健、医療又は福祉の増進を図る活動
・社会教育の推進を図る活動
・まちづくりの推進を図る活動
・学術、文化、芸術又はスポーツの振興を図る活動
・環境の保全を図る活動
・災害救援活動
・地域安全活動
・人権の擁護又は平和の推進を図る活動
・国際協力の活動
・男女共同参画社会の形成の促進を図る活動
・子どもの健全育成を図る活動
・情報化社会の発展を図る活動
・科学技術の振興を図る活動
・経済活動の活性化を図る活動
・職業能力の開発又は雇用機会の拡充を支援する活動
・消費者の保護を図る活動
・前各号に掲げる活動を行う団体の運営又は活動に関する連絡、助言又は援助の活動
この17の分野は、2002年12月の改正(2003年5月1日施行)で、従来12分野であったものに新たに5項目を加えたものです。12号から16号が新しく加わった分野です。また、4号も、「文化、芸術又はスポーツの振興を図る活動」だったものが「学術、文化、芸術又はスポーツの振興を図る活動」に改正されています。
改正前の12分野のときにも、立法当時の附帯決議(衆議院内閣委員会)において「別表12項目に関しては、多様な特定非営利活動を含むように広く運用するよう努めること」とされ、市民活動の大半は12分野のどれかに該当すると解釈されていたわけですが、このたびの改正では、「特定非営利活動の一層の発展を図るため、その活動の種類を追加」したということです。(法案提出理由より)
「特定非営利活動」を定義するもうひとつの要件は、「不特定かつ多数のものの利益の増進に寄与することを目的とするもの」であることです。この「不特定かつ多数のものの利益」とは、いわゆる「公益」と同義であり、社会全体の利益を指すと解釈されます。しかし、「公益」という行政の判断がより問われる概念を立法過程で排し、この「不特定かつ多数のものの利益」という表現を採用したということは、行政がより形式的・準則的に認証をすることを示しています。
この場合、「不特定かつ多数のものの利益の増進に寄与することを目的とする」とは、構成員の加入脱退の自由が認められているだけでなく、当該団体の活動の受益者があらかじめ特定されていてはならないことまで意味していると考えられます。より端的にいえば、「共益(=構成員相互の利益)」を目的とする活動(=受益者があらかじめ特定されている活動)は除かれるということです。