まちづくり団体ですが、活動対象としている地域が限定されています。あまりに狭いとNPO法人になれないとも聞きますが、認証を受けるにはどこまで範囲を広げたらいいですか。
NPO法には、活動地域の広さに関わる規定はありません。実際に、全国を活動対象にしていたり、海外で活動していたりするNPO法人もたくさんありますし、反対にある一定の地域のまちづくりなどを目的としているNPO法人もあります。
ただし、NPO法の第2条では「特定非営利活動」の定義のひとつに、「不特定かつ多数のものの利益の増進に寄与すること」としています。ここで時々議論になるのが、「不特定かつ多数のものの利益」とは何かいうことです。
日本評論社から発行されている「NPO法コンメンタール」によれば、「いわゆる『公益』と同義語」で、原則的に「共益」ではないとされています。
そこで、NPO法人の活動対象が、ある一定の地域に限定されている場合、その限定がこの「不特定多数」という条件に沿っているかどうかが問題になります。あまり狭いと「特定の人」を対象とした活動になってしまうからです。
「NPO法コンメンタール」では、「まず、最小行政区画である区市町村の単位までならば、『不特定多数』の範囲に入ると考えられてよいだろう」と述べています。問題は、この最小行政区画より狭い範囲の対象者への活動の場合ですが、これは、その団体の目的や、行う事業の内容によって判断することとなります。
例えば、狭く限定された地域で活動している場合でも、「新宿区歌舞伎町の安全を守る会」のような場合は、さまざまな地域からの多くの人が行き来する街での活動なので「不特定かつ多数のものの利益」と考えることができるでしょう。
しかし、例えば「世田谷区○○1丁目を住み良くする会」のような場合は、その団体が「目的」において「不特定多数のものの利益」のための活動で、社会的利益につながるということを明確にしないと、そこに住んでいる人だけのためのいわゆる「共益」のための活動だと捉えられてしまうかもしれません。
以上のように、活動する物理的・地域的範囲が限定されるというよりも、その団体の活動が、どのように「不特定多数のものの利益に寄与」するかが問われているということです。