事業報告書、収支計算書などの決算書類の議決を理事会に委ね、総会へは報告のみとすることは可能でしょうか。
法律では事業報告書や決算書類等の議決について、「総会を経ること」とは規定していないので、確かに報告だけで可能なように見えます。しかし、NPO法は民法60条を準用しており、NPO法人は「少なくとも毎年一回の社員による通常総会を開くことを要す」と定められています。政府はこれを、毎年一回、会の重要事項について、社員の承認(議決)を得なければならないと解釈しているようです。さらに、政府の解釈では、そのような重要な議決とは、事業報告、決算報告であることとされています。
従って、この民法第60条の解釈という点からすると、社員総会で決算報告を報告のみで済ますというのは難しいと思われます。
ただし、過去の判例や、明示的な法律による禁止がないため、違う解釈もありうるでしょうが、いずれにせよ、所轄庁によって、定款が不認証となる可能性は高いと思いますので注意が必要です。