行政や企業がやってもいいと思われる事業をNPOがやっていたりしますが、なぜでしょうか。
確かにNPOの分野だけを見ると、まちづくり、地域安全活動、国際協力など、国や自治体、また企業でもできるものばかりに見えます。しかし、その事業内容を見ると、多くは行政や企業ではできない、NPOならではの事業を展開しています。
国や自治体の場合は、多くの人々に公平にサービスを提供するというのが基本です。例えば福祉の分野であれば、行政が障害を持つ子どもたちが通う学校を作って、皆にそこに通ってもらうようにしたりします。一方でNPOの場合は、例えば、障害をもっている人も、テニスをしたり、ヨットでパラリンピックを目指したり、もっと自由にやりたいことができるようになっても良いのではないか、と考えて実行したりします。
まちづくりの分野でも、行政だと、例えばこれまでのような商店街の活性化、などのような既存の範囲をでにくいかもしれませんし、また、地域振興の部署が担当だとすると、縦割りの弊害で、福祉、教育、芸術、環境などの視点などが落ちこぼれてしまうこともあるかもしれません。NPOの場合は、役所の縦割りの部署に惑わされることなく、ユニークな視点から取組むことが可能だと思います。
ちなみに、2000年にシーズが実施した調査では、NPOの特徴は何かという質問に対して、次のような答えがNPO側から挙げられています。
・柔軟に活動できる小回りのきく団体である
・市民参加型である
・社会変革を目指している
・企業・行政がまだ取り上げない新しい問題を先駆的に取り上げる
・ニーズの多様性に対応できる
・行政・企業ではできない隙間を担う
・企業や行政の下請でも、安価で便利で都合の良い肩代わり組織でもない
・企業・行政にもできないきめ細かなサービスを提供できる
・自発的な社会活動である
・枠にとらわれずに自由な発想で活動できる
・効率性重視ではなく、ニーズにあった質の高い活動ができる
・社会の多様な価値観を実現できる
・市民のニーズを、市民が担う活動である
とはいえ、現在「NPOが行政の下請けになってしまうのではないか」という懸念が生まれていたり、企業関係者がNPOを作っていたりなど、NPOと行政、そして企業との違いをどう考えるべきか、という議論も生まれ始めてきています。