行政 : ふるさと納税は、寄付金税制の創設で
総務省の「ふるさと納税研究会」は、10月5日、個人住民税(地方税)の1割を上限に税額を控除する寄付金制度の創設を柱とする報告書をまとめた。年末の政府・与党の税制調査会の論議を経て、早ければ来年度から新しい寄付金制度がスタートする。
今年5月に、当時の菅義偉総務相は、「故郷に恩返ししたい人のために」と、ふるさと納税制度の仕組みを有識者に検討させる考えを表明。
この「ふるさと納税」構想は、当初、現在は住民票のあるところへ納めることになっている住民税の一部を、自分の故郷など、別の自治体へ納めるシステムをつくろうという内容だった。
6月には、総務省に、「ふるさと納税研究会」(座長:島田晴雄千葉商科大学学長)が設置され、以後、検討が重ねられてきた。
10月5日、同研究会は最終報告書をまとめて、総務相に提出、その内容を公表した。
報告書では、「ふるさと納税」を、住民税を分割して別の自治体へ納めることを可能とする新たな税制度とすることは困難と結論付けた。
その理由は下記。
1)税は法律によって徴税当局に課税権が保障されるが、居住地以外の地方団体に強制性をともなう課税権を認めるのは難しい。
2)個人住民税は行政サービスを受けているものが負担すべきものという、「受益と負担の原則」に反する。
それに代わるものとして、研究会は、地方自治体に寄付をした場合に住民税を減額する寄付金制度の創設を提言している。
新しい制度のポイントは下記。
1)寄付先の自治体は出身地などに限定せず、すべての都道府県、市町村から選択できる。
2)控除対象となる寄付の上限は住民税課税額の一割とする。
3)寄付額のうち、5千円は控除の対象外とする。
4)寄付金の使途は自治体の判断に委ね、法律で義務付けない。
現在でも、自治体への寄付は、個人住民税における所得控除の対象となっているが、適応下限は10万円。これが新しい制度では5千円と大幅に引き下げられることになる。
報告書では、この新制度の導入によって、「納税者のふるさとへの思いの高まりや自治意識の進化つながり、わが国の各地域に活力が生まれることを期待する」としている。
今後は、年末の政府・与党の税制調査会の論議を経て、早ければ来年度から新しい寄付制度がスタートする。
ふるさと納税研究会の最終報告書は、総務省サイト内、下記に掲載されている。
http://www.soumu.go.jp/menu_03/shingi_kenkyu/kenkyu/furusato_tax/