2003年3月に内閣府が発表したNPO法の運用方針には、本来事業に使う支出が、初年度および翌事業年度ともに、総支出の半分以上でなければならないなど、厳しい要件がたくさん含まれているようです。どのように理解すればいいでしょうか。
2003年3月、内閣府は「NPO法の運用方針」を発表し、同年12月にさらに改定しています。その全文は内閣府の次のWebサイトでご覧になれます。
http://www.npo-homepage.go.jp/about/program_151218.html
他の所轄庁(都道府県)の一部も、これを基準とした「運用方針」を発表しているようですが、その運用状況はまだはっきりわかっていません。
内閣府によると、この運用方針の趣旨は、NPO法の「認証基準」を満たしているかどうか、申請者にとって容易に判断できない場合があるため、その基準のうち、特に重要な事項である団体の「主たる目的性」と「非営利性」をさらに明確化することが目的なのだそうです。
つまり、この「運営方針」は、法律でもなければ政令でもありません。どっちかと言うと「一種の解説」に近いものです。
この「運営方針」では、例えば、本来事業の支出が総支出の半分以上でなければならないとされていますが、シーズでは支出だけでは団体活動の「非営利性」は計りえないと考えます。支出の金額だけで計るのと、ボランティアなども含めた活動時間で計るのとでは、別の結果の数字が出てくるはずです。本来事業の活動時間の方が圧倒的に多いけれど、それを担っているのが無報酬のボランティアだった場合、支出面だけに着目すると、本来事業以外の支出の方が多くなってしまう場合も有りえます。
そのため、シーズではこの「運営方針」は、法律を超えた行政の恣意的な指導だと考えます。この「運営方針」に従うか否かはそれぞれの団体の判断に委ねられます。
団体それぞれの状況によって、NPO法の趣旨と条文をよく理解した上で定款をさだめ、事業計画を立てたほうがよいでしょう。