その他 : 福田新首相、NPOに触れず
10月1日、福田康夫首相は、開催中の第168回国会の衆・参両院本会議で所信表明演説を行った。今後の施策を進める理念として「自立と共生」が掲げられたが、「NPO」、「NGO」に関する具体的な言及はなかった。
10月1日、福田康夫首相は、開催中の第168回国会の衆・参両院本会議で、所信表明演説を行った。
所信表明演説とは、首相が臨時国会の冒頭などで行う演説のこと。衆議院と参議院の本会議で国政全般について当面の方針や重点課題を説明する。
通常国会の冒頭で行われる首相による「施政方針演説」が、主に内閣全体としての基本方針を述べるのとは異なり、所信表明演説では、首相個人の政治姿勢などが述べられる。
福田首相の所信表明演説では、「政治と行政に対する信頼を取り戻すことが喫緊の課題」としたうえで、小泉・安倍両内閣による構造改革路線について「方向性は変えない」としながらも、格差の「実態から決して目をそらさない」とも説明。今後の施策を進める理念として「自立と共生」を掲げ、「希望と安心」の国づくりを目標として打ち出した。
しかしながら、今回の首相所信表明演説では、「NPO」、「NGO」に関する具体的な言及はなかった。
ちなみに、小泉元首相は、首相就任後の平成13年5月7日の所信表明演説で、「社会の構造改革―生きがいを持って、安心して暮らすことができる社会―」の項で、「広く地域住民やNPO等のボランティアの参加を呼びかけ、介護や子育て等を皆で支え合う「共助」の社会を築いてまいります。」と述べている。
また、安倍前首相は、昨年9月26日、首相就任後の国会で所信表明演説を行い、NPOに関しては、「活力に満ちたオープンな経済社会の構築」とした章の中で、「NPOなど『公』の担い手を支援し、官と民との新たなパートナーシップを確立します。」と述べた。
さらに、安倍前首相は、今年の1月26日の第166回国会における施政方針演説では、「障害者、高齢者、女性などの再チャレンジを支援する民間企業等への寄附金について、税制上の優遇措置を講じます。」と延べ、寄附税制拡大に向けた姿勢を示している。
福田首相が理念とする「自立と共生」には、NPOの果たす役割も大きいと思われるなか、NPO支援や官民パートナーシップをどのような政策課題として捉えているのか、今後の政策展開を注目していく必要がある。
なお、全文は、首相官邸のホームページ( http://www.kantei.go.jp/ )で読むことができる。