その他 : 自民党NPO特委の要望出る
11月27日、自民党は税制調査会を開き、各部会や委員会から来年度税制改正要望のヒアリングを実施した。NPO特別委員会(委員長:三原朝彦衆議院議員)は、「認定の有効期間を2年から5年に延長する」「社員・役員の親族・団体要件の撤廃」などを要望した。
来年度の税制改正のスケジュールは、通常、自民党の各部会・委員会が、自民党税制調査会に11月下旬に、改正要望を提出。政府での検討と平行して、自民党税制調査会、そして、与党税制調査会で、検討され、12月中旬に、来年度の税制を定めた「税制改正大綱」が発表される。
11月27日より、自民党税制調査会は、各部会・委員会からの要望事項を聞く、ヒアリングを開始した。
NPO特別委員会(委員長:三原朝彦衆議院議員)では、認定NPO法人制度の要件緩和や、寄付税制の優遇措置の拡大をめざして、24項目の改正要望を提出した。
今後は、この要望項目に沿って、検討が進められることになる。
NPO特別委員会の要望事項は以下の通り。
平成20年度税制改正要望事項
自由民主党
非営利組織(NPO)に関する特別委員会
第一 認定NPO法人制度に係る特例措置(所得税、法人税、相続税、法人住民税、法人事業税)
1.認定要件の緩和について
(1)パブリック・サポート・テスト(以下、PST)の要件緩和 ※注1)
1)基準値の引下げ(1/3⇒1/5)に係る時限措置を3年間延長する等、実態に合わせて再検討する。
2)小規模法人の特例に係る時限措置を3年間延長する。また、小規模法人向けPSTの基準値を1/3から1/5に引き下げる。 ※注2)
3)PSTの計算において、一者あたりの寄附金基準限度額(現行5%)を10%まで引き上げる。 ※注3)
4)PSTの計算において、独立行政法人、地方独立行政法人、国立大学、大学共同利用機関法人、特殊法人(株式会社は除く)からの委託事業は、行政からの補助金・委託費と同等に扱えるようにする。 ※注4)
5)特定非営利活動に係る事業収入のうち実費相当額をPSTの分母から除外できることとする。
6)任意団体からNPO法人化した際の、任意団体からの引き継ぎ資産は、PSTの計算においては分母分子に含めないこととする。
(2)運営組織及び経理の適正性に係る要件の緩和
1)親族等や特定の法人の従業員等の社員に占める割合に関する要件を撤廃する。
2)将来の施設購入や緊急災害時などのために、基金を積み立てる場合は、届出をすることで、寄附金を特定非営利活動に支出したこととし、取り崩した場合には、その金額および使途について年度終了後に税務署に届け出ることとする。
(3)共益的な活動の制限に係る要件の明確化
1)「単なる顧客」として会員等の範囲から除かれる「当該法人の運営又は業務の執行に関係しない者」、「当該資産の譲渡等以外の当該法人の活動に関係しない者」の範囲を明確化する。
2.申請手続きの負担軽減・簡素化
(1)認定有効期間の廃止等
1)認定の有効期間を延長(現行2年⇒5年)する。
2)再認定に際してPSTに係る要件は、再認定申請時の直前5事業年度のPSTの値が平均で10分の1以上、かつ、直前2事業年度のPSTの値が平均で5分の1以上とする。
3)認定にかかる審査期間を4ヶ月以内と明確に定める。
(2)その他
1)役員の状況、社員の状況、賃金に関する情報、従業員の給与などの提出書類を廃止し、申請書類をより一層○×式等で解答できるようなものとする。
2)申請書類を明確に限定し、申請書類以外の書類に関しては、原則的に提出しないでよいこととする。
3.閲覧情報範囲の見直し
(1)社員名簿の閲覧対象からの除外
1)社員全員の氏名、住所、職名、続柄等を記した「社員の状況」に係る書面は閲覧情報の範囲から除外する。
第二 公益法人を含む非営利組織(NPO)全般の活動を支援するための税制の改善(所得税、法人税、相続税、個人住民税、法人住民税、法人事業税)
1.認定NPO法人及び特定公益増進法人に対する寄附金等への特例措置の拡大
(1)みなし寄附金制度の控除枠の拡大
1)現在、所得金額の20%を限度としているみなし寄附金制度の控除限度額を50%に引き上げる。
(2)国税における寄附控除枠の拡大等
1)個人が寄附をした場合の寄附金に関しては、控除対象額の計算において5千円の足切りを撤廃する。
2)法人寄附者については、寄附金の損金算入限度額を所得の5%にまで拡大する。
3)個人、法人とも、寄附金控除限度額を超えた寄附金額に関しては、5年間にわたって繰り越し控除ができるようにする。
4)企業が消耗品や棚卸し資産を寄附した場合には、全額損金算入できるようにする。
5)相続財産および資産の寄附に関して、2年以内に公益事業に使用しなければならないとする期間を延長するとともに、非課税措置取り消しの場合でも寄附者に課税しないこととする。
6)個人の物(現物)の寄附を所得控除の対象にする。
(3)地方税における寄附金控除制度の適用
1)個人住民税の課税所得の計算において、寄附金を国税と連動して控除できるようにする。
2)地方税における寄附金控除の10万円の足切りを撤廃する。
※注1)
(参考)パブリック・サポート・テスト(「PST」)
NPO法人が広く一般から支持(寄附)を受けているかを測る指標として、パブリックサポートテストが設けられている。
<パブリックサポートテスト(PST)のイメージ>
PST=
寄附金等収入金額(寄附金や社員からの会費)
―――――――――――――――――――――――――――――――――
経常収入金額(総収入から行政からの補助金・委託事業費などを除いた金額)
≧基準値
※注2)
(参考)<小規模法人の特例>
収入規模が800万円未満の法人で、50人以上の寄附者から、一者につき3000円以上の寄附金を受け入れている法人に対して、簡易なPST算定式(※1)による判定を可能とする。
(※1)小額寄附や匿名寄附の控除計算等を省略。2事業年度の合計額のみで判定(年度毎の判定の省略)。
※注3)
(参考)「一者あたり寄附金基準限度額」
同一の者からの寄附金のうち、PST分子への算入可能額は受入寄附金総額の5%まで。
※注4)
(参考)
現行では、国、地方公共団体、国際機関からの補助金及び委託事業費のみが、PSTの分母からの全額控除、もしくは、一定の条件の下でPSTの分子に算入される。