区分経理とは何ですか? NPO法人は区分経理しなければならないのですか?
区分経理には2種類あります。NPO法上の本来事業と収益事業に関する区分経理と、法人税法上で収益事業とそれ以外の事業を行っている場合の区分経理です。NPO法と法人税法では収益事業の定義が違うために2×2の最大4通りの会計を設ける必要があります。(注:例えば、環境保護を目的としたNPO法人が、環境啓発の本を出版する場合、NPO法上は本来事業ですが、法人税法上は出版業として収益事業となることがあります。法人税法上の収益事業については「NPO法人と税務」のFAQをご参照ください)
NPO法人になれば必ず区分経理しなければならないというわけではありません。NPO法上の収益事業も法人税法上の収益事業も行っていないのであれば区分経理する必要はありません。あるいは、法人税法上はすべて収益事業でそれ以外の事業を行っていない場合も同様です。
また、区分経理をする場合でも、日常の帳簿を分ける必要はありません。決算書の上で区分してあればいいということです。この場合、所轄庁にはNPO法上の本来事業と収益事業を区分した決算書、税務署へは法人税法上の収益事業とその他の事業を区分した決算書を提出することになります。
なお、法人税法上の収益事業を行っていなければ税務署へ決算書を提出することもありません。ただし、この場合でも年間収入が8千万円を超える法人は決算期末から4ヶ月以内に収支計算書を税務署に提出することになっています。
さて、区分経理のやり方ですが、前述のように日常の帳簿は区別する必要はありません。NPO法人の場合は、同じ事務所で同じ人が両方の業務をこなしているのが普通ですから、帳簿上区分することなど不可能です。
そこで、決算を行うときには、まずそれぞれの収支について固有のものを抽出します。残るのは共通の収支です。通常は収入についてはどの区分の収入かはっきりしているはずですから、共通の費用だけが残ります。
共通費は一定の配賦基準(区分を振分ける基準のことです)を設けて按分計算します。配賦基準は収入割合、従事者の労働時間割合、事業所の占有面積割合等のうちの適切な基準を定めます。経費の種類ごとに配賦基準を変えても構いません。ただし、一度決めたらみだりに変更することは避けるべきです。