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2007年11月22日 10:00

行政 : 【速報】税制調査会が答申

 11月20日、政府税制調査会は、平成20年度の税制改正に向けた答申「抜本的な税制改革に向けた基本的考え方」を公表した。答申では、「民間が担う公益活動への支援の重要性を踏まえ、公益法人制度改革に対応した税制の整備や寄附金税制の改革を行っていく必要がある。」としている。

 

 政府税制調査会は、税制についての基本事項を調査、審議するために設置された内閣総理大臣の諮問機関。

 委員は学者、経営者、労働組合幹部、地方自治体首長、マスコミ関係者らの学識経験者で構成され、中長期的な観点から税制を検討し毎年度の税制改正について答申する。委員の任期は3年。通常の委員のほかに、必要に応じて専門委員や特別委員を置くこともできる。

 政府税制調査会の答申は、税制改革のための基本的な方向を打ち出すもので、その後の税制改正における議論の下敷きとなる。

 11月20日に公表された同調査会の答申の題名は、「抜本的な税制改革に向けた基本的考え方」。

 平成18年11月の諮問に基づき、「中長期的視点から、あるべき税制の全体像について基本的な考え方を示したもの」と位置づけられている。

 今回の答申は、「総論」と「各論」の2部構成。

 「総論」内の「II 抜本的な税制改革の視点とその具体的な方向性」の項では、抜本的な税制改革に必要な視点として、以下の3点をあげている。

 1.国民の安心を支える税制
 2.経済・社会・地域の活力を高める税制
 3.国民・納税者の信頼を得る公正な税制

 このうち、「2.経済・社会・地域の活力を高める税制」において、寄付税制に関して、「『民間が担う公益活動』への支援の重要性を踏まえ、公益法人制度改革に対応した税制の整備や寄附金税制の改革を行っていく必要がある。」と言及している。

 さらに、「各論」においては、「1.個人所得課税>(8)個人住民税」の中で、「地域に密着した民間の非営利活動の促進は、地方公共団体の行政サービスとの協働という観点からも重要な課題」とした上で、「新たな公益法人制度の導入等も踏まえ、個人住民税における寄附金税制のあり方について検討することが必要である。」と述べている。

 また、寄付金税制の仕組みについては、以下のような考えを示している。

 「地域社会の会費」としての個人住民税の性格や地方分権の観点も踏まえ、寄附金税制の仕組みは、基本的に条例などにより地方公共団体によって独自に構築されるべきと考えられる。なお、控除方式については、納税者にとっての効果の分かりやすさという観点などから、現行の所得控除方式を税額控除方式とすることについて検討する必要がある。現行10万円の適用下限額については、大幅に引き下げることが適当である。」

 「各論」では、来年12月1日に公益法人制度改革関連3法の施行されることを受けて、公益法人税制に関する答申も盛り込まれている。

 答申では、公益法人税制については、税制調査会では、平成17年6月に基礎問題小委員会・非営利法人課税ワーキンググループにおいて「新たな非営利法人に関する課税及び寄附金税制についての基本的考え方」をまとめており、そこで示された考え方に即して税制上の措置が講じられるべきであるとの前提を示している。

 その上で、改めて以下の5点を指摘している。

1)新たに創設される公益社団法人・公益財団法人については、第三者委員会の認定を受けて公益を目的とした事業を担い、公益目的事業財産という新たな概念に基づき、公益目的事業の遂行等が求められる法人であり、公益目的事業から生ずる所得の取扱いなどに関して、公益目的事業の実施をサポートする措置を講じるべきである。

2)新たに創設される一般社団法人・一般財団法人については、準則主義により設立可能であり、多様な態様のものが現れることが予想されるところである。このため、一律の取扱いとすることは適当ではなく、他の法人等に対する課税とのバランスにも留意しつつ、態様に応じた措置を講じるべきである。

3)民間が担う公益活動を資金面で支えるうえで寄附の役割は重要である。このため、特定公益増進法人の中に公益社団法人・公益財団法人を位置付けることにより、寄附を行った個人・法人が寄附金控除等を受けることができるようにするとともに、個人による現物の寄附に配慮するなど、寄附を行うための環境整備を進めるべきである。なお、個人住民税における寄附金税制のあり方については、前述した方向性も踏まえ、検討を進めるべきである。

4)新たに創設される法人が租税回避に濫用されないよう、現行の公益法人等に関する租税回避の防止措置をも考慮し、適切な措置を講じるべきである。

5)現行の社団法人・財団法人が一般社団法人・一般財団法人に移行する際に公益を目的とした事業の継続が求められる場合があり、そうしたケースをどう取り扱うかについての検討が必要である。

 来年度の税制改正に関しては、税制調査会の答申を受けて、今から与党税制調査会が審議を始めることとなる。

 与党税制調査会が12月中旬に、税制改正大綱を発表。この後、財務省が税制改正の大綱を決定。

 来年の通常国会に、政府が予算法案とセットで税制改正案を提出。衆議院、参議院と審議され、国会成立は来年3月末頃となる見込み。

 政府税制調査会が公表した「抜本的な税制改革に向けた基本的考え方」は、内閣府サイト内、下記に掲載されている。
 http://www.cao.go.jp/zeicho/tosin/top.html

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