行政 : 食育活動の推進、ボランティアに期待
10月30日、平成19年版食育白書が閣議決定された。白書では、約3割の人が食育の推進にかかわるボランティア活動に「参加してみたい」と考えていることから、ボランティアによる地域に根ざした食育活動がいっそう広がることが期待されるとしている。
平成17年6月に公布された食育基本法では、食育は生きる上での基本であって、教育の三本の柱である知育、徳育、体育の基礎となるべきものと位置づけている。その上で、様々な経験を通じて、「食」に関する知識と「食」を選択する力を習得し、健全な食生活を実践することができる人間を育てるために、食育の推進が求められるとされている。
10月30日に閣議決定された平成19年版食育白書(平成18年度食育推進施策)は、この食育基本法第15条が規定する「食育の推進に関して講じた施策に関する報告書」。
政府が毎年国会に提出しなければならないとされているもので、今回は2回目の発行となる。
平成19年版食育白書では、国民運動としての食育を一層推進するため、第1章においては、家族等での食育の重要性を踏まえ、様々な関連調査の結果を紹介しながら、現状の分析を行っている。また、第2章から第6章においては、平成18年度から平成19年度前半に講じた、学校、保育所、地域における食育推進施策の状況について解説するとともに、重要なテーマや新たな取組を紹介している。
白書の「第3章地域における食生活改善等のための取組の推進」の「第6節ボランティア活動による食育推進」では、今年3月に内閣府が公表した「食育に関する意識調査結果」が紹介されている。
この調査結果によると、食育の推進にかかわるボランティア活動に、「参加してみたい」と回答した人の割合は26.9%。性別にみると、「参加してみたい」者の割合は、男性で20.9%、女性で31.7%となっている。
また、「参加してみたい」と回答した人に、「どのような活動に参加してみたいと思うか」と聞いたところ、「生活習慣病予防などのための料理教室」をあげた者の割合が63.4%と最も高く、以下、「食生活の改善に関する活動」(49.8%)、「郷土料理、伝統料理等の食文化継承活動」(45.7%)、「食品の安全や表示に関する活動」(42.5%)などの順となっている。
白書では、食育にかかわるボランティアとして、全国で活躍している「食生活改善推進員」の活動が紹介されている。
この「食生活改善推進員」は、財団法人日本食生活協会が昭和30年代からの組織づくりを行ってきたところで、全国46道府県4市に連絡協議会を設けている。
平成16年4月には、全国食生活改善推進員団体連絡協議会が、いち早く「食育宣言」を表明し、食生活改善推進員全員が「食育アドバイザー」として積極的な食育活動を展開。現在、食生活改善推進員は全国で約19万4千人(平成18年4月1日現在)。1年間の活動回数は約310万回、延べ約1,874万人に対する普及啓発活動を実施している。
また、平成18年度からは、食育推進の活動を行う民間のボランティアの中核となり、地域の食育を推進していく「食育推進リーダー」の養成のため、研修会等を実施している。
具体的な活動としては、内閣府が設定した「毎月19日は食育の日」のキャンペーンへの協力、全国市町村の「郷土料理を使った食事バランスガイド」の作成と配布、各地での「おやこの食育教室」開催、「よい食生活をすすめるための料理講習会」の開催、スポーツ少年を対象とした「出前食育教室」催等の事例を紹介している。
こうしたボランティアを中心とした活動実績や食育ボランティア希望者が多いことを踏まえて、白書では、「食生活に関し豊かな知識や経験を有する食生活改善推進員等のボランティア活動が今後も地域に根ざした食育活動として広がっていくことが期待される。」とし、そのためには、「ボランティアの取組の活発化がなされるような環境の整備」が求められるとしている。
「平成19年版食育白書」は、内閣府の食育推進担当ホームページ内、下記に掲載されている。
http://www8.cao.go.jp/syokuiku/data/whitepaper/
また、製本版は、全国の政府刊行物サービス・センター・ステーション等で購入できる。