その他 : ASK、飲酒運転の懲戒事例を分析
アルコール問題の予防に取り組むNPO法人ASK(アルコール薬物問題全国市民協会)は、今年4月から10月の7ヵ月間にYahoo/Googleのニュースに掲載された飲酒運転に関する報道から、「懲戒処分事例」113例を抽出し、飲酒運転に至った状況などを分析し、11月26日にその結果を公表した。
特定非営利活動法人ASK(アルコール薬物問題全国市民協会)は、アルコール問題の予防に取り組む任意団体として1983年に設立。2000年にNPO法人化。
ASKでは、「飲酒運転を防止するためには、アルコール依存症の早期発見・介入を視野に入れた総合的な予防対策が欠かせない」との認識のもと、2005年に飲酒運転対策特別委員会を発足。被害者遺族・専門家・関係機関と連携しつつ、予防と再発防止の両面から本格的な飲酒運転防止対策に取り組んでいる。
ASK今年4月から10月の7ヵ月間にYahoo/Googleのニュースに掲載された飲酒運転に関する報道から、「懲戒処分事例」113例を抽出し、飲酒運転に至った状況などを分析。11月26日にその結果を公表した。
「処分者のプロフィール」については、自治体職員・教師・消防・警察・自衛隊など公務員が9割を超えているのはニュース性が高いため。水面下には報道されないケースが膨大にあるものと思われるとのこと。
過半数の58例が「免職・解雇・解任」で、8月以降に半数を超え、10月には7割に至っている。
事故を起こしていない初犯の酒気帯び検挙で免職処分になったと見受けられる事例が12あり、福岡市職員による3児死亡事故から、自治体が職員への処罰を強化している実態がうかがえるとのこと。
年齢別に見ると、40歳以上の中年層が6割以上、50代が最多の35例。性別では、男性が109例、女性4例。
「飲酒運転に至った状況」については、飲酒状況について何らかの記述がある事例の中で目立つのは、飲酒後すぐではなく時間を置いたケースで41例。多いのは、「仮眠・休憩後に運転」、「代行などで一旦帰宅後に外出」、「翌朝酒気が残る」 といったケース。
ASKでは、「飲みすぎ」とアルコールについての「知識不足」が背景にあると考察している。
飲酒状況の異常さ(朝や勤務中、車中)・酒量の多さ(呼気濃度の高さ)・飲酒運転の常習性・再犯性・病気休暇中の酒気帯びなどの状況からみて26例をアルコール依存症が疑われるケースだと分析している。
また、目的地が至近距離のケースも13例。
自宅で飲んで運転に至ったケースが22例。車と飲酒の両方が定着した生活それ自体が落とし穴になっており、ASKでは、飲酒運転に結びつく日頃の飲酒習慣、生活の見直しが必要だとしている。
報告では、「根本的な対策」として下記の3点を提案している。
1.予防のためにまず、職員・社員への「アルコール教育」を行なう。
2.多量飲酒を奨励するような職場風土がある場合はあらためる。
3.酒気帯び検挙が起きた場合は、一発解雇ではなく、初回は停職などの処罰にとどめ、アルコール専門機関への受診を義務づける
ASKの「飲酒運転懲戒処分事例分析」は、ASKのホームページ内、下記に掲載されている。
http://www.ask.or.jp/ddd_case1.html