その他 : エネルギー消費量データ、8%が非開示
3月10日、気候ネットワークは、省エネ法に基づいて事業所が経済産業省に報告した2005年度分のエネルギー消費量について、同省に求めた情報の開示状況と、開示データから分析したCO2の排出量を発表した。発表によれば、大規模排出源である鉄鋼高炉事業所や石炭火力発電所を含む612事業所(8.2%)のデータが開示されなかったとのこと。
1979年に制定された「省エネ法」(「エネルギーの使用の合理化に関する法律」の略称)では、一定量以上のエネルギーを使用している工場は、その消費量を経済産業省に定期報告することが義務付けられている。
エネルギー消費量に一定の係数を掛けることによって二酸化炭素排出量を算出することができることから、この定期報告情報は温暖化対策の評価、見直し等を行うために不可欠な情報。にもかかわらず、この報告情報は公開されていない。
非開示の理由は、「製品当たりのエネルギーコストが類推され、競合他社の競争上の不利益や販売先事業者との価格交渉上の不利益が生じること等が想定される」というもの。
情報公開法では、行政機関にその保有する情報の原則公開を義務付けているが、製造方法等のいわゆる企業秘密については開示しなくて良いとされている。それに基づいた企業の開示拒否理由を経済産業省が認めた形で、大規模排出源である鉄鋼高炉事業所や石炭火力発電所の非開示が続いている。
NPO法人「気候ネットワーク」は、地球温暖化防止に取り組む全国の市民・市民団体のネットワーク組織。温暖化に関する情報発信や政策提言、温暖化国際交渉への働きかけなどの活動を続けている。
気候ネットワークは、省エネ法で報告が義務付けられている事業所のエネルギー使用量について情報公開請求を行い、開示された情報を分析している。また、不開示情報の開示のために、温暖化防止情報開示訴訟にも取り組んでいる。
3月10日、気候ネットワークは、省エネ法に基づいて事業所が経済産業省に報告した2005年度分のエネルギー消費量について、同省に求めた情報の開示状況と、開示データから分析したCO2の排出量を発表した。
発表によれば、今回の請求で、大半の事業所が開示に応じたとのこと。2003年度の開示請求途中で開示方針になったセメント製造業(窯業・土石製品製造業の一部)、石油精製業などは大半の工場が継続して開示している。
その一方で、鉄鋼高炉全事業所、2003年度開示請求(第一次)では開示に応じていた東京電力、関西電力など612事業所が開示を拒否した(非開示率8.2%)。
非開示事業所612の内訳を見ると、エネルギー多消費産業のうち鉄鋼業(非開示率35%)、化学工業(同20%)、電気業(同19%)、プラスチック製品製造業(同16%)、窯業・土石製品製造業(同13%)など、特定産業に集中。エネルギー多消費産業以外では印刷・同関連業では19%が非開示であった。
気候ネットワークでは、大半の業種・企業・事業所が排出量情報を開示してその成果を示す一方、特定の業種・企業では市場や市民に対し情報を隠す傾向が進んでいると分析している。
また、開示データの分析および他の公開統計からの推計により、全国のわずか150事業所で日本のCO2排出量の半分を占めることが明らかになった(2003年度では約180事業所で半分を占めた)。
都道府県別にみると、CO2排出量が最も多い県は千葉県(346事業所9,030万t-CO2)であり、一方で数10万t-CO2規模の県もいくつかある。発電所や製鉄所のある県に排出が集中し、自治体ごとの排出源の種別、量のバラツキが大きく、その取組みの重点も異なることがわかったとのこと。
「2005年度大規模排出事業所からの排出について」は、気候ネットワークサイト内、下記の掲載されている。
http://www.kikonet.org/theme/disclosure.html#2005