行政 : 東京都、若者自立支援NPO調査
3月26日、東京都では、さまざまな要因によって、就労や就学などの自宅以外での生活の場が長期にわたって失われた、いわゆる「ひきこもり」の若者への支援の充実を図るために、都内で支援活動に取り組むNPO法人の実態調査の結果を公表。あわせて、東京都が今後実施する支援策を発表した。
東京都(青少年・治安対策本部)は、都内で、「ひきこもり等の若年者」への支援を含め、広く「若年者の自立支援に関する活動」を行っているNPO法人に対して、郵送による一次調査と、訪問による二次調査を行い、各団体の概要や支援内容、事業実施上の課題等について調査を行った。
一次調査(郵送調査)の対象は、都内で認証を受けている関係分野のNPO法人 5,851団体。調査期間は、平成19年6月4日から平成19年7月13日。
二次調査(訪問調査)は、郵送調査(一次調査)により、「現在、若年者の自立支援に関する活動を行っている」ことが把握できた142団体のうち、活動目的や主な対象者等から調査目的に適さない団体を除外し、さらに調査に対して協力を得ることのできた59団体に対して実施された。訪問調査期間は、平成19年8月8日から平成19年11月27日。
その結果、訪問調査を行った59団体のうち、主に「ひきこもり等(不登校・ニートを含む)の若年者」を対象としている団体は19団体だった。
3月26日、東京都は、主に「ひきこもり等の若年者」を対象とする19団体の現状と特徴に関する調査結果を公表した、
主な支援の内容については、「訪問相談(9団体・47.4%)」と「家族支援(10団体・52.6%)」。
支援活動の目的については、「就労・就学支援」を目的とする団体は12団体(63.2%)と最も多く、必ずしも就労・就学を前提としない「社会参加への準備支援(2団体・10.5%)」や、「自己肯定感・生きる力の醸成支援(5団体・26.3%)」を目的とする団体は、比較的少ない。
団体の運営状況については、比較的小規模な団体が多く、スタッフ数(※役員数と正規職員数の合計)が「5~9人」と答えた8団体(42.1%)と最も多かった。また、「1~4人」とあわせた9人以下の団体が11団体(57.9%)で、約6割を占める。
事業開始からの経過年数(※基準日:平成19年3月31日まで)は、10年未満の団体が12団体(63.2%)で、約6割を占める。このうち、5年未満の団体は7団体(36.9%)で、約4割を占める。
事業予算規模(※平成18年度)については、500万円未満の団体が8団体(42.1%)で、約4割。このうち、100万円未満の団体が5団体(26.3%)で、約3割を占める。
公的機関からの事業委託等の有無(※平成18年度実績)については、実績のある団体が6団体(31.6%)で、約3割を占めていた。
活動における課題、求められる支援については、「小規模な団体では、専門的な知識・技術を有する支援員の育成・確保が容易ではない。」、「各支援団体が体得したノウハウが、支援団体間で共有・活用されていない。」といった意見が多かったとのこと。
東京都は、これらの結果を参考に、今後、都が実施すべき支援プログラムの方向性を、家族への働きかけや、訪問相談等のアウトリーチから、社会参加の促進に至るまでの体系的・連続的な支援の確立(本人・家族支援)と、支援団体の組織体力の維持・向上を図るための支援の充実(支援者支援)の2点と考察。
具体的には以下の5つのプログラムを提示した。
<本人・家族支援プログラム>
1)訪問相談・支援:自宅等を訪問し、外出に向けた働きかけの実施。
2)自宅以外の居場所の提供:自宅以外の安心できる居場所の提供、自己肯定感を醸成するための活動の実施。
3)社会参加への準備支援:社会参加に向け、能力と自信を向上させるための社会体験活動の実施。
<支援者支援プログラム>
4)支援員・代表者への支援:ひきこもりへの支援を行う団体の組織力の維持・向上を図る。
5)支援団体間の交流促進支援
支援員及び代表者の交流促進を通じて、情報の共有・活用を図る。
さらに、3月28日には、こうした支援プログラムの実施に向けて、主に「ひきこもり等の若年者」への支援を行う団体との懇談会を開催し、意見交換を行ったとのこと。
「ひきこもり等の若者を支援する団体の実態調査結果と東京都が実施する支援プログラムについて」は、下記に掲載されている。
http://www.metro.tokyo.jp/INET/CHOUSA/2008/03/60i3q300.htm