その他 : 分権委、認証業務の権限移譲を勧告
5月22日、政府の地方分権改革推進委員会(委員長・丹羽宇一郎伊藤忠商事会長)は、第48回委員会において、「第1次勧告(原案)」をとりまとめ、28日に予定する第1次勧告とすることを決めた。「第1次勧告」には、NPO法の認証業務を政令指定都市に移譲することが盛り込まれている。
地方分権改革推進委員会は、地方分権改革の推進に関する基本的事項について調査審議するため、平成19年4月に地方分権改革推進法に基づき内閣府に設置された機関。
この委員会は、内閣総理大臣から任命された7名の委員で組織され、内閣総理大臣に対し、地方分権改革推進計画の作成のための具体的な指針を勧告すること及び必要に応じて地方分権改革の推進に関する重要事項について意見を述べるという2つの役割を担っている。
5月22日、 地方分権改革推進委員会は主としては基礎自治体である市町村の自治権の拡充を図る諸方策について、「第1次勧告」(原案)としてとりまとめ公表した。
第1次勧告(原案)の第1章では、「役割分担の基本」として、以下が示されている。
・中央政府・地方政府が対等・協力の関係に立ちそれぞれの役割を果たすには、国と地方の行政の重複を排除し、国と地方の明快な役割分担を確立することが必要。
・外交、防衛など国家としての存立にかかわる事務を始めとする国が本来果たすべき役割を重点的に担うように中央政府の役割を限定し、住民に身近な行政は地方自治体に移譲し地方の裁量と責任の中で実施することが基本。
第3章では、「基礎自治体への権限移譲の推進と自由度の拡大」の項で、「都道府県から市町村への権限移譲にあたっては、移譲に伴う必要な財源措置を地方税、地方交付税等を通じて確実に講ずるとともに、移譲される権限にあわせた人的支援についても適切に対応することが不可欠である。」とされている。
また、この勧告(原案)では、「別紙1 基礎自治体への権限移譲を行うべき事務」において、分野別に権限移譲すべき項目が「法律・条項リスト」としてあげられている。
そのなかに、「特定非営利活動促進法」(NPO法)の以下について、政令指定都市への移譲が盛り込まれている。
10条1項: 法人設立の認証
25条3項: 定款変更の認証
29条1項: 事業報告書の受理等
31条2項: 法人解散の認定
34条3項: 法人合併の認証
41条1項: 報告徴収及び立入検査
42条:改善命令
43条1項: 法人認証の取り消し
NPO法では、NPO法人の所轄庁は、その事務所が所在する都道府県の知事であるとされ(NPO法第9条第1項)、例外的に、二つ以上の都道府県の区域内に事務所を設置するNPO法人の所轄庁は、内閣総理大臣とされている。(同条第2項)
昨今、地方分権化、市町村合併による市町村の規模拡大の動きの中で、住民サービスの向上、行政効率の向上、地域の実情に即した市町村行政の推進に向けて、知事の権限に属する事務の市町村への移譲が進んできている。
その動きに即して、NPO法人の所轄庁の事務権限については、平成17年4月に静岡県が静岡市へ移譲。平成18年4月には岩手県が一関市に、同年6月には佐賀県が唐津市、鳥栖市、伊万里市、鹿島市の4市に権限を移譲している。
さらに、平成19年4月1日には、鹿児島県、栃木県、新潟県、宮崎県においても権限が移譲された。具体的には、鹿児島県では、県内の鹿屋、霧島、薩摩川内3市に対して移譲。栃木県では、栃木市、日光市、茂木町、大平町、藤岡町、岩舟町及び那須町に移譲。新潟県では新潟市に、宮崎県は宮崎市と都城市に対して、NPO法に係る事務の権限移譲が行われた。
なお、内閣府では、NPO法における権限移譲は、あくまでもNPO法に係る「事務権限の移譲」であり、認証書が市長名や町長名で発行されていても、その「所轄庁」は、これまで通り各々の都道府県知事であることに変わりはないとしている。