その他 : 東京都、公益目的事業の判断基準(案)公表
東京都公益認定等審議会は、6月12日、都における地域特性や事業内容を踏まえて、公益認定を行うための「公益目的事業の判断基準(案)」を取りまとめて公表。同日より、この判断基準案について、意見募集を開始した。
平成18年6月、公益法人制度改革3法が成立。今年12月の施行が予定されている。
公益法人制度改革によって、今年12月1日からは、剰余金の分配を目的としない社団及び財団は、その行う事業の公益性の有無にかかわらず、準則主義(登記)により簡便に法人格を取得することができる「一般社団法人」及び「一般財団法人」となることになった。
そして、「一般社団法人」及び「一般財団法人」のうち、公益性が認定された法人については、「公益社団法人」、「公益財団法人」として税制上の優遇措置が講じられる。
この公益性の認定は、昨年4月1日に内閣府に設置された「公益認定等委員会」、または各都道府県に設置される「合議制の機関」が行うとされている。また、公益認定の基準については、国における政・省令が制定され、今年4月には、内閣府公益認定等委員会において「公益認定等に関する運用について(公益認定等ガイドライン)」が公表されている。
東京都では、昨年3月に東京都公益認定等審議会条例が制定され、今年1月に東京都公益認定等審議会(以下、「審議会」)が発足。この審議会が、法令に基づき、また国のガイドラインを参考にしながら公益性の判断を行うとされている。
東京都によれば、都が所管する法人には、住民に対して直接に事業やサービスを行うものが多いなど、国が所管する法人とは異なった性格や活動が見られるとのこと。そこで、審議会は、都における地域特性や事業内容を踏まえて公益認定を行うための「公益目的事業の判断基準(案)」を作成し、6月12日に公表した。
公表された「公益目的事業の判断基準(案)」では、その目的について、「この基準は、公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律(以下「認定法」という。)に基づき、東京都公益認定等審議会が公益認定を行うに当たり、その前提となる公益目的事業に関する判断基準を明らかにすること」としている。
また、その基本理念として、「公益目的事業の判断に当たっては、認定法第2条第4号の『別表各号に掲げる種類の事業であって、不特定かつ多数の者の利益の増進に寄与するもの』であるかを、以下の理念のもとに判断する。」として、下記の3つが掲げられている。
1)民間の団体(社団法人・財団法人)における自発的で多様な活動を促進するものであること。
2)公益の増進に寄与するものとして、都民からの支持や支援を得られるものであること。
3)公益法人制度の社会的信用を損なわないこと。
審議会は、6月12日から、この判断基準(案)について、都民からの意見募集を開始した。締め切りは6月30日。
審議会では、寄せられた意見を検討し、審議会の判断基準とするとともに、都知事に対して意見具申するとしている。
この「判断基準(案)」について、シーズ事務局長の松原は、「判断基準(案)はあいまいな表現が多く、行政の恣意的判断を許すのではないかと心配である。また、公益性のある事業として、対象地域が区市町村域以上であること、といった行政論理が表れている部分もある。市民がつくる公益活動の判断基準としては首をかしげたくなるような点であり、問題がある」と述べている。
東京都公益認定審議会の「公益目的事業の判断基準(案)」と意見募集は、東京都サイト内、下記を参照のこと。
http://www.seikatubunka.metro.tokyo.jp/index6files/ikenbosyuu.htm