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2008年の報告

2008年08月12日 17:29

ファンドレイジングセミナー2008 第2回「ファンドレイジングに使えるホームページをつくろう!」

ファンドレイジングセミナー2008(全6回)
~より戦略的なファンドレイジングのために~

第2回 ファンドレイジングに使えるホームページをつくろう!

ファンドレイジングセミナー第2回の動画はこちら(ファンドレイジングネット)

【設立のご報告】
皆さまのご支援のおかげで、寄付文化の革新を目指す「日本ファンドレイジング協会」を、全国47都道府県の580人の発起人・360人の当日参加者の方と共に、2009年2月18日設立できました!
ご参加・ご支援ありがとうございました!

日本ファンドレイジング協会に関する今後の情報は、「日本ファンドレイジング協会オフィシャルブログ」をご覧ください!

日時:2008年8月5日 18時半から20時半
会場:日本財団ビル2階会議室

このセミナーは、シーズが日本財団の助成を受けて取り組んでいる、「NPO等のファンドレイズ推進ネットワーク構築事業」の一環。NPOがファンドレイジングを行ううえで重要な、「コミュニケーション」をテーマに全6回の連続セミナーとして企画された。

第2回目のセミナーの講師は、株式会社デジタルフォレストの杉山雅春氏。杉山氏は、国内最大手ECサイト内人気コンテンツのWebディレクターとして、マーケティング分析や顧客分析を踏まえたサイトの改善や企画運営、プロモーション業務などに携わり実績を上げ、その後、株式会社デジタルフォレストでは、多くのサイトの分析と、その分析結果に基づく戦略・戦術立案を担当。ネット上の様々なプロジェクトを成功に導いている。

今回のセミナーは、当初50名の定員で開催する予定が、事前告知への反響が大きく、申し込み多数により、定員150名(先着順)に拡大して開催。当日は、激しい雷雨のなか、140名の参加者を得た。

総合司会はシーズの徳永洋子。

【開会挨拶】

はじめに、シーズの徳永洋子が、
「シーズは1994年に発足し、NPO法の設立、NPO支援税制の創設と改正などに取り組んで参りました。1998年にNPO法がスタートして、今年で10年。3万4千を超えるNPO法人が誕生しました。その中でNPO法人自体が抱える問題というのも、だんだん明らかになってきました。とりわけ、資金開拓の問題、どうやって寄付を集めるか、多くのNPOが苦労を重ねています。そこでシーズは、NPOの資金開拓力を強化する取り組みをはじめました。今回もその一環です。今日のテーマは、ファンドレイジングに使えるホームページについて。講師の杉山雅春さんは、ホームページの分析と、その結果にもとづいた改善法の指導などを行っているスペシャリストです。きっと、皆様のお役に立つお話が伺えると思います。」
と、述べて、開会の挨拶とした。

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そして、第2回セミナーの講師、株式会社デジタルフォレストの杉山雅春氏が登壇して、以下の講演を行った。

【講演】「ファンドレイジングに使えるホームページをつくろう!」

今回のテーマは、「ファンドレイジングに使えるHPを作ろう」です。本セミナーのゴールは、NPOの方に、団体のウェブサイトを最大限に活用して資金調達を達成していただくことです。現状でウェブサイトをお持ちの方、これから立ち上げようと思われている方にもご活用いただけるセミナーにしたいと思います。

今回お話させていただく内容について、一部どうしても専門用語を使わざるを得ないので、はじめにご説明します。

まず、「コンバージョン」。これは、ウェブサイトのゴールとなるページにユーザーを到達させることです。ウェブマーケティングの世界においては、コンバージョンは重要な概念ですので覚えてください。

次に、「直帰率」。これも非常に重要な言葉です。1ページだけ閲覧して、そのまま他のページを見ずに、サイトの外に「離脱」することをいいます。ウェブサイトですので、そのなかの1ページだけみていただいて、それでユーザーに帰られてしまうと、他にも見てもらいたいページがあるのに、それらが目に触れず終わってしまいます。

もう1つは「遷移」。これは、あるページから他のページに移動することを指します。この3つの用語を、まず覚えていただければと思います。

では、本題に移らせていただきます。まず、実はあなたのサイトも危機的状況にあるのではないか、ということ。ホームページを持っている方は多いかと思いますが、ただ私どもがアクセス解析ツールをもって、そのページを実際に拝見して分析してみると、実は大きな問題点を抱えているページが少なくありません。運営しているほうでは気付いていないことが多いのですが、解析をしてみますと、ほとんどアクセスがない、肝心のコンテンツが見てもらえていない、興味・関心を持ってもらえていない、何もユーザーの行動につながっていない、といった問題を抱えているサイトが少なくありません。  

では、実際にどういう風に考えれば、サイトの難点をみつけることができるのか、考えてみましょう。

まずは、町にある「お店」を思い浮かべてください。売り場が整理されていなくて目的の品物がみつからないような店ではだめです。また、品物の基本的な情報、例えば値段や容量などがわからない、というのでは買い物ができません。また、一番肝心なレジの場所がわからない、ということでは、そのお店で品物を買うことは不可能です。例えば、こういったような非常にひどい売り場の状況で、堂々と開店をしているお店があったとして、そこに立ち寄ったら、「一度行ったけどもう二度と来ないよ」、といった話になります。これを、ご自分の団体のサイトにあてはめてください。ウェブサイトでいえば、どこに知りたい情報があるのか、分かりづらくありませんか?リンク切れが多い、情報の内容が分かりづらい、知りたいことが書かれていない、欲しい情報がどこにあるのかわからない、説明不足で理解できない、こういったサイトでは当然ながら最終的な目的のページには到達できません。また、お店におけるレジ、すなわち、NPOに置き換えて考えると、団体の連絡先がわからないというのも駄目です。

では、実際にファンドレイジングに使えるウェブサイトとは、どういったものでしょう。ウェブサイトは目的達成の手段です。何のためにお金と時間と労力をかけて、作成しているのでしょう。目的を達成するためです。みなさんの目的、目標はファンドレイジングです。

そこで、ファンドレイジングであれば、直接の寄付、クリック募金の場所、振込先の提示など、そういった要素をきちんとそろえなくてはなりません。入会や寄付のお問い合わせ先もきちんと示さないとなりません。また、その前提となる、団体の活動への認知度の向上も重要だと思います。

しかし、そういったことを認識した上で、サイトを作っているところは、以外に少ないのではないでしょうか。さまざまな情報の影に、一番大切な目的につながる情報が隠れてしまうことがあります。重要な情報は何か、その目的は何かといったことを把握した上でサイトを作っていくことが大事です。

では、実際にどのようにしたら、ファンドレイジングに使えるウェブサイトができるのでしょう。どんなコンテンツを用意したらいいのでしょうか。

基本は、認知、興味、行動の3つです。

認知は、NPO団体のビジョン、ミッション、事業概要、組織概要、代表やスタッフ紹介です。

興味については、具体的な活動内容であったり、意義であったり、他団体の違いや、そのNPO団体の強み、資金提供のメリットを示すことが必要です。

また、最終的にユーザーの行動につながる要素としましては、イベントへの申込や問い合わせ、入会・寄付など具体的なアクションが可能となるしくみ、これらが必要です。

認知・興味・行動といった要素を、必ず意識していただいて、サイトの中に揃っているかチェックしてみてください。

また、これらの要素がサイトにあるだけでは、ユーザーにみてはもらえません。やはり情報はみていただいて、意味をなしますので、ぜひこういった認知、興味、行動といった要素を、ページ上にふさわしく配置をしていただきたいです。

そこで分類と配置が必要になってくるのですが、とにかくユーザーが分かりやすいように並べてください。迷わせてしまうサイト構造ではいけません。どこに何があるのか分からないお店では買い物をしたくないと思います。ユーザーがサイトに入ってきたときに、迷わず情報にたどりつけるように考えてください。

情報は、ユーザーの予想できる場所に置くというのが肝心です。ユーザーが、そのページに入ってきて、自分の知りたい情報が、だいたいこのあたりにあるんじゃないか、と推測できる場所に配置してください。サイトの分かりやすい場所に大事な情報の入り口がないとうまくいきません。とかく、作り手側の視点というのは、ユーザーとは異なる場合がありますので気をつけてください。

ユーザーの視点は左上から右に向かって、往復します。そういった動きを完全に無視してしまって、例えばものすごく重要なものが左下などの目立たない位置にあるのでは、せっかく情報を出しているにもかかわらず、そこまで視線を持っていけず、どこかにいってしまうかもしれません。情報の優先順位を考えて、きちんとユーザーの目にとまるように考えて情報を配置していかないと、いくら認知、興味、行動が揃っていたとしても、結局はユーザーに情報が伝わらなくなってしまいます。

また、縦長のページで、長いことスクロールせねばならないとか、もしくは、その情報にたどりつくまでに、5回も6回もクリックしないとだめだということが往々にしてあります。こういったクリックやスクロールが、ユーザーにとって非常に苦労が多くて大変なものであるという認識を持っていただいて、なるべく少ない労力でユーザーの方が欲しい情報にいけるように考えてサイトを設計していただきたいと考えております。

では、実際にどのような方法でサイトに情報を提供し、集客を行い、そしてまたユーザーを誘えばよいのでしょうか。

大切な要素として、まずは集客。次に回遊。すなわちひとつのサイトの中を見て回ること。そしてコンバージョン。この3つの要素があります。

集客。当然ながらお客さんを呼んでこなければ見ていただけません。また、せっかく呼んできたユーザーが、回遊せず帰ってしまうようでは、目的は絶対に達成できません。そして入会案内であるとか、寄付受付、採用情報などのコンバージョンですね。これら3つの要素を考えて、ひとつひとつクリアしていかないと、本当に使えるサイトにはなりません。

まずは集客方法についてご説明します。分かりやすい例でいうと、メールマガジンです。こちらの方は、ダイレクトメールと違ってそんなにお金もかかわらず、多くの人に情報を発信できるので有名な手法だと思います。

また、それ以外にもSEOというものが最近は非常に人気が出ております。一体何かというと、検索エンジンに対しての最適化ということになります。こちらのほうは、ある特定の検索キ-ワードにおいて、そのサイトがなるべく検索順位が上位に表示されるようにすることです。あるサイトを訪問する際、何かしら自分の興味のあるワードを検索エンジンに打ち込んで、その結果、訪問する人は多いはずです。もともとその言葉に対して興味をもって入力されていますから、状況によっては、それなりにモチベーションを持って訪問されることになる。サイトの中でモチベーションをさらにアップしていただいて、ファンドレイジングにつなげることができるかもしれません。

そのほかに、リスティング広告というものがあります。こちらは、なかなかきき覚えがない方もいらっしゃるかもしれませんが、これは例えばグーグルやヤフーである特定のワードを検索した際に、例えばグーグルだったら、右端にスポンサーリンクというものが表示されたりします。あれはひとつの広告手法で、ある特定のワードに対してキーワード広告が出されます。最近は、人気です。かならずしも高価ではなく簡単に出来ることなので、一度調べてみてください。

特に注目していただきたいのは、SEOです。具体的な手法に関しては、実は、本屋さんででている本であるとか、ウェブ上で検索していただくと驚くほど無料で情報がとれますから、ぜひご覧いただければと思います。なにしろ、自力でできて、費用がかからずに、ある程度の検索順位が確保できるのですから、ぜひ今後、挑戦してください。

ただし、SEO対策、もしくはメルマガ等でリンクをはって実サイトに呼び込む際に、表現は悪いのですが、だましのような形でサイトに誘導することが多くありますが、それは最終的には逆効果になります。怒って二度と来ないことになります。だますつもりではなくても、実際、情報の質を考えてみたときに、うちの団体はこういうことをやっていますよ、とうたってユーザーがそのサイトにきて、そこで、実際にサイトの下のほうにこういった活動内容が書いてあったとしてもトップページから全くその情報が伝わらなければ、ユーザーにしてみれば、「おかしいな?」、だまされた、と思われてしまうこともあります。

ランディングページという言葉がありますが、ユーザーが最初に訪れるページのこととです。必ず呼び込むときの言葉と、対応するページが対になっていて、ユーザーさんを裏切ることのないようにきちんと情報を整えて、配置、発信していただければと思います。集客方法に関しましては、代表的なところは、これらを押さえれば問題ないかな、と思います。

次に、サイト内の回遊ついて。回遊については、いかにして遷移してもらうか、ということです。どのようにして回遊をはかるかというのは、まずは分かりやすいナビゲーションが肝心です。よいサイトにいくと、上の部分とか真ん中にメニューがちゃんと並んでいて、何がどこにあるのか、分かりやすくなっています。ああいった要素をナビゲーションといいます。基本的に変わらないナビゲーションです。また、サイト内のどこにいっても、そこにあって分かりやすい。いつでもどこでもトップページに帰ったり、どこへいけるのかが分かるというのがグローバルナビゲーションです。他にも、単純なリンク。文字がリンクになっているのに、それが単純なものなのか押した時にアクションがあるのか分からない、というようなものがあったりします。そこで分かりやすいリンクを心がけましょう。

少し大きめのサイトになりますと、ページの内容が複雑になって、さまざまな情報が詰まっていると思います。そうした時に、普通のナビゲーションだけでは、ユーザーが困るので、サイト内検索やマップも用意していただければと思います。サイト内の検索機能というのは、とても有効です。

最後にコンバージョンへの誘導が挙げられます。こちらのほうは、ファンドレイジングにつながる最後のステップです。いくらユーザーがサイトに来て、中に興味をもっても、ここで戻ってしまっては、目的を達成できません。実際にユーザーにコンバージョンする、すなわち目的のページにいっていただいて、最終的なお問い合わせをいただいたり、寄付をしていただくことを考えてみたときに、まず、目的ページへの明確な導線が必要です。簡単にいえば、ボタンやリンクが明確にユーザーさんの目に見える形で存在していること。また、例えば何かしらお問い合わせなどは、必ずユーザーの入力フォームがあると思いますが、こういった部分の使い勝手が悪いということであれば、せっかくここまでご覧いただいて、あと一歩というところで貴重なユーザーさんを逃してしまうことになりかねません。ユーザーの方が使いやすいように、あきれて帰ってしまわないように、きちんとした入力フォームを作りましょう。

寄付の場合だと、最初のサイト訪問で即実現するのは難しいと思いますが、やはりユーザーに対して、より深い事業内容の理解であるとか、信頼の獲得をする必要があります。最終的にウェブサイトだけで完結しようと思っても難しいと思いますので、きちんとウェブで事業内容の理解や信頼を獲得した上で、お問い合わせにつなげることが重要だと思います。そこで、電話番号を掲載したりとか、メールアドレスを記載したりすることとかが欠かせません。

最後にサイトを作った後に気をつけていただきたいことです。まず考えなければならないのは、意図したとおりにサイトが機能しているかを、アクセス解析を使って、効果を測定して改善していきましょう。

実際に、アクセス解析というものは、どのようにみていけばいいのかをご紹介します。まず、集客がうまくいっているのかがよくわかります。例えば、一ヶ月の間、どの日にユーザーの訪問が多かったのか、一日の中で、何時くらいに訪問が多いのかなどが分かるようになります。それ以外に、SEO対策の効果もみえます。ユーザーがどの検索エンジンでどのワードで検索して、このサイトにきたのかもみることができます。それをみていくことで、ユーザーが、何を求めてやってきているのかが理解できます。集客以外の部分では、直帰率もみてとることができます。アクセス解析というのは、簡単にいうと健康診断です。最初の目的が明確であれば、何をしなければいけないのかが分かります。

アクセス解析の無料ツールも存在します。グーグルですとか。本気でやるなら、弊社の製品がいいと申し上げたいところですが、多くの方にとってグーグルでほとんどができるかと。ただ、無料ですので自分たちでがんばらなければいけない部分もたくさん出てきます。

また、弊社の製品は本来有料ツールですが、NPOの方々向けに、無償提供プログラムも存在しますので、お問い合わせいただければと思います。

概念的なものだと難しいと思いますので、きちっとできているNPO法人のサイトの一例を実際にご紹介していきたいと思います。

まずは、セカンドハーベストジャパン。非常にコンバージョン、目的となるページが明確です。

フローレンス。コンバージョンの要素としては、採用の件数が順調です。フォーム、情報入力ですね、非常に優秀なのかな、とお見受けしております。

次は、ワールドビジョン。ユーザビリティ面や、活動内容のアピールに秀でています。使いやすさですね。文言や色使い、配置が的確であるとか。特に左上の資料請求ボタン。コンバージョンに対しての意欲が旺盛というか。ユーザーの視線がいくところに、資料請求ボタンが存在すると。情報を知りたいなと思って訪れたユーザーが、簡単に情報が得られるということです。

畑の教室は、トップページの活動内容のアピールに優れていますね。内容がすぐわかります。

ぜひ、こういったようなところをご参考にしていただければと思います。

基本的にNPOがサイトを改善していくにあたって、大きな費用をかけるのは難しいというのが大前提だと思います。解析ツールはフリーのものをご紹介いたしました。そういったようなものを活用してください。

SEO対策のイロハであるとか、アクセス解析ツールの使用方法とか、ウェブ上で情報を検索していただくと、親切に教えてくれるサイトがたくさんあります。そういったようなサイトを有効活用していただければと思います。

皆様のウェブサイトのさらなる発展を祈っております。

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終了後も、会場内では、団体のホームページの改善について杉山氏に熱心に質問する参加者の列が続いていた。        

2008年8月12日 文責:徳永 洋子(シーズ)

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