その他 : 足立区、NPOへ寄付で定額給付金を住民税控除
東京都足立区は、定額給付金を、区の基金を通じて、NPO法人や社会福祉法人などへ寄付した場合、一定の金額を住民税から控除(差し引く)制度を設ける方針を明らかにした。3月の定例議会で、提案する予定だ。
定額給付金は、総額2兆円規模で、1人1万2千円、18歳以下の子どもと、65歳以上の高齢者には、さらに8000円が上乗せされることになっている。
この定額給付金を盛り込んだ第二次補正予算案は、13日の衆議院本会議で可決された。早ければ1月中にも成立する見込みだ。
足立区では、区民が、この定額給付金を、区が設立する基金を通じて、NPO法人、社会福祉法人、公益法人、環境や教育などの分野で活動する団体等に寄付をした場合、一定の金額を住民税から控除(差し引く)ことができる制度を設け、区民に、寄付を呼び掛けていくことを明らかにした。昨年末、NHKニュースで公表された。
具体的には、区で基金を設立し、区民が、この基金に寄付した場合は、区に寄付したものとみなして、住民税を一定の金額まで控除できるようにする仕組みを創設する。そして、この基金から、NPO法人や社会福祉法人、その他の公益団体に、助成をするというものとなる予定だ。区民が、寄付先の団体を指定できるようにもしたいとしている。
同じような基金の仕組みは、杉並区や新宿区などですでに実施されているが、定額給付金を対象としようというものは、足立区によると、他にはまだないということ。
定額給付金自体は、所得税、住民税とも、非課税とする方針を、政府は昨年末決定した「税制改正の大綱」で示している。
そのため、厳密にいえば、定額給付金それ自体が寄付控除の対象となることはないが、足立区としては、なんらかの仕組みをつくり、定額給付金に相当するような金額を住民税控除の対象となることがわかるようにするなどしていきたいとしている。今後、制度の設計を詰めていき、3月の区議会で成立を図りたい考えだ。
足立区の近藤弥生区長は、NHKの取材に対し、「給付金を一つのきっかけとして新たな寄付金制度の仕組みを作り、社会貢献につながる活用方法を検討したい」と語った。
また、足立区の担当者は、「米国では、NPOが寄付で自立的に活動している。このような制度で、日本でも、NPOが自立して活動できるよう、寄付文化が確立するきっかけとなるといいと考えている」と述べている。
NPOの側でも、「定額給付金で寄付を」と呼び掛ける動きがはじまっており、今後、自治体やNPOなどで、定額給付金の使い道を、NPO活動に活用する提案が増えてくると思われる。