その他 : 低炭素社会へ制度づくりを。請願署名に5万人
環境NPO/NGO51団体で組織する「MAKE the RULEキャンペーン」実行委員会は、持続可能な低炭素社会を実現するための制度づくりを求める請願署名が、1月7日までに55,010筆に達したと発表した。キャンペーンは2008年8月から開始。9月には具体的な制度として「気候保護法(仮称)」骨子案を発表。3月5日には議員会館内イベントも開催する。
「MAKE the RULEキャンペーン」は、二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスの削減目標を定め、その目標達成のために温室効果ガスを確実に減らす制度づくりを求めるもの。
以下の2点を目標に、2008年8月からスタートした。
1. 京都議定書の目標である6%削減を守り、日本でのCO2などの温室効果ガスの中長期的な削減目標を定めること。
・2020年には1990年のレベルと比べて30%の削減をすること
・2050年には1990年のレベルと比べて80%の削減をすること
・2020年には一次エネルギー供給の20%を再生可能エネルギーにすること
2. 温室効果ガスを確実に減らすためのしくみ(ルール)を作ること。
・CO2を減らす人・企業が報われ、CO2をたくさん出す人・企業には相応の負担を求める経済社会にすること(炭素税・排出量取引制度など)
・再生可能エネルギーを大幅にふやすしくみをつくること(固定価格買取制度など)
2009年3月2日現在、環境NPO/NGO51団体が実行委員会を組織し、全国各地の103団体が賛同。また、キャンペーンの呼びかけ人として、タレントのルー大柴氏やプロスキーヤーでNPO法人グローバル・スポーツ・アライアンス理事長の三浦雄一郎氏、NPO法人環境エネルギー政策研究所所長の飯田哲也氏ら20名が協力している。
キャンペーンでは、キャンペーンへの賛同やブログ・ウェブサイトでの広報、請願署名、学習会の開催などを呼びかけ、多くの市民・NPO/NGOが参加している。
また、2008年9月には実行委員会の中に設置された気候保護法案委員会が、持続可能な低炭素社会を実現するための具体的制度として、「気候保護法(仮称)」骨子案を策定・発表した。
骨子案には、「中長期目標の設定」や「炭素に価格をつける仕組みの導入」、「再生可能エネルギーの固定価格買取制度の導入」などが盛り込まれている。
実行委員会は、
「既に『地球温暖化対策に関する法律』という法律があるが、これは直近の京都議定書の6%削減約束を守ることだけを目的としたもので、その先の日本がめざしていくべき低炭素社会のビジョンがない。また、温室効果ガスを削減する仕組みもない。法律で、中長期の目標を設定することと削減のしくみとして、CO2に価格をつけることは、温暖化対策の柱としてとても重要。」
として、「気候保護法」骨子案を提案した背景と意義を説明している。
併せてキャンペーンでは、持続可能な低炭素社会を実現するための制度づくりを求める声を、国会両院に届け、法律制定につなげるための請願署名も集めている。
請願署名は何段階かに分けて、実施されているが、第二次締め切りの1月7日までに既に55,010筆に達した。実行委員会では次の第三次締切(2009年3月20日)までに50万筆の署名を集めることを目標にしている。政治状況を見ながら、今国会(第171回)への提出を検討中。
請願署名をするには、キャンペーンサイトから署名用紙をダウンロードし、自著で、名前・住所を記入して、キャンペーン事務局まで「郵送」する。これは請願法第2条で「請願は、請願者の氏名(法人の場合はその名称)及び住所(住所のない場合は居所)を記載し、文書でこれをしなければならない。」と定められていることによるもの。
衆議院によれば、「自著でも署名用紙をファックスで送ったものや、郵送しても氏名・住所がゴム印によるものなどには本人の押印が必要」であり、押印がない場合は正式な署名と認められない。
例えば、署名を行い用紙をファックスで送信した市民が、署名の取りまとめ先まで出向いて、自分の署名に押印すれば、正式な署名と認められるが、これは非現実的だ。実質的には、請願署名を実施する多くのキャンペーンで、今回のように「ウェブサイトから署名用紙をダウンロードし、自著で、名前・住所を記入して、取りまとめ先へ郵送する」という形が採用されている。
MAKE the RULEキャンペーン実行委員会の桃井氏は、
「科学者の予測以上に進行する地球温暖化の危機。一人ひとりの「エコ活動」だけでは間に合いません。社会のしくみを大きく変えないと。
キャンペーンでは、若い世代を巻き込み、署名活動や地域セミナーを中心に展開中です。著名人にも名を連ね協力していただいていますが、署名の目標数100万人までにはまだまだ遠い道のりです。
社会を変える大きなムーブメントを作りたいと思っていますので、ぜひ皆さんもまずは署名からご参加ください。」
と呼びかけている。
3月5日には以下のような「第1回議員会館内イベント 『30%削減』を日本の中期目標にしよう!」も開催する。
—————————————————-
■日時:3月5日(木)15:00~16:30
■場所:参議院議員会館第6会議室
■参加費:無料
■主催:MAKE the RULEキャンペーン 法案委員会
■プログラム(予定)
1.「MAKE the RULEキャンペーン」とは?
(平田仁子・気候ネットワーク/MAKE the RULEキャンペーン)
2.中長期目標を定める法律を作る意義とは?
(1)イギリスの動向とNGOの活動 ”The Big Ask” (瀬口亮子・FoE Japan)
(2)法制度と政策から見る世界のトレンド (浅岡美恵・気候ネットワーク)
3.首相官邸の中期目標検討委員会へのNGOコメント (山岸尚之・WWFジャパン)
4.国会議員からのコメント(依頼中)
司会:藤村コノヱ(環境文明21)
※事前申し込みは不要。直接会場(参議院議員会館入り口で入場券をお渡しします)へ。
—————————————————-
MAKE the RULEキャンペーンの詳細は下記、公式ウェブサイトを参照。
呼びかけ人や賛同団体一覧の閲覧、請願署名用紙や地域アクションマニュアルなどのダウンロードもできる。
http://www.maketherule.jp/dr5/
請願については、例えば衆議院の下記ページを参照。
http://www.shugiin.go.jp/index.nsf/html/index_tetuzuki.htm
実際に今国会(衆議院)に提出されている請願は下記ページで確認できる。
http://www.shugiin.go.jp/index.nsf/html/index_seigan.htm
MAKE the RULEキャンペーン気候保護法案委員会が策定した「気候保護法」骨子案は下記
+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
「気候保護法」骨子案
1.目的
気温上昇を産業革命前のレベルから2℃未満に止めることができるよう大気中の温室効果ガス濃度を安定化させるための日本の中長期の目標を設定し、それを実現する仕組みを導入する。また、省エネを進め再生可能エネルギーを導入することで温室効果ガスの排出を削減し、地域の活力を育みながら、持続可能な低炭素社会を創出する。
2.京都議定書第1約束期間の目標の達成
2008~12年までに国内対策を中心に京都議定書基準年(1990年)比6%削減を達成する
3.中長期目標の設定
・温室効果ガスについて、下記の目標を設定し、その達成に向け着実な排出削減を進める
2020年までに、1990年比30%削減
2050年までに、1990年比80%削減
・2020 年までに、一次エネルギーの20%を再生可能エネルギーにする
4.炭素に価格をつける仕組みの導入
下記を2009年に法制化し、2010年に実施できるよう制度整備を行う
(1)国内排出量取引制度の導入
一定規模以上の事業所に、排出上限枠を設けた国内排出量取引制度(キャップ&トレード型)を導入
(2)炭素税の導入
課税の価格インセンティブ効果によってすべての主体において排出削減を促進
5.再生可能エネルギーの固定価格買取制度の導入
6.気候変動への適応計画の策定と実施
気候変動による自然災害、農業など第一次産業の被害、人の健康や生態系への影響などに対処する適応の対策を総合的に策定し、計画的に実施する
7.地域の実情に即した、排出削減などの緩和や適応のための取組みを促進する仕組みの導入
8.温室効果ガス排出情報の公開
一定規模以上の事業所に対して、燃料別などの詳細な温室効果ガス排出量や関連する生産量・活動量の報告を義務付け、公表
9.取組みの監視・市民参加の仕組みの導入
・独立した機関を設け、毎年の取組みの進捗状況の監視と勧告の権限を付与
・政策決定・立法プロセスへの実質的な市民参加の仕組みの導入(情報公開・意見提出・プロセスへの参画)
10.国際的な取組みへの日本の積極貢献
世界での大幅削減に向けた国際合意形成に積極的に貢献し、途上国支援に積極的な役割を果たす
+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++