その他 : NPOの悩みは資金不足、長野県調査
4月3日、長野県は昨年県内のNPO法人に行った活動実態調査結果を公表した。8割のNPO法人が法人化を評価する一方で、4割の法人が「資金不足」に悩み、県に対して6割の法人が「助成金等活動資金の提供」を求めている。また、9割の法人が企業・行政との協働に前向きな姿勢を示している。
今回の調査は、長野県生活文化課NPO活動推進室が、2008年(平成20年)3月末までに認証・登記された県内のNPO法人699法人を対象に行ったもの。法人の概要、管理・運営、スタッフ構成、広報活動、借入金の状況、活動状況、協働活動、県の支援等の8項目について調査。2008年10月~12月にかけて、郵送によるアンケート調査として実施され、392法人から回答を得た。回収率は56.9%。
NPO法人化について、「大変良かった」(16.3%)と「まあ良かった」(65.3%)の合計約8割の法人が評価。法人化のメリットとしては、「社会的信用が増した」と回答した法人が6割と最も多く、次いで「個人と団体の責任の区分が明確化した」(38.3%)、「補助金が受け易くなった」(32.1%)となっている。
一方で、法人化のデメリットとしては、5割強の法人が「確定申告・事業報告書等書類作成が面倒」を挙げ、次いで「会計処理が負担」(38.0%)、「税金が負担」(26.5%)、「総会等会議開催が負担」(26.0%)の順となっている。
会員数について、正会員数の平均は個人37人、団体4団体で、合わせておよそ40。賛助会員などその他の会員数の平均は、33となっている。
法人名の看板・表札については、6割が設置と回答。事務所は「役員の自宅に事務所を設置」と「民間の賃貸物件に事務所を設置」が3割ずつだった。
広報活動の方法として、4割の法人が「ホームページ」と回答し、最も多かった。
借入をしたことがある法人は4割強に上り、借入先は「金融機関」(58.7%)が最も多く、「法人関係者」(43.6%)と続き、設立5周年を迎えたNPOバンクである「NPO夢バンク」も13.4%と存在感を示した。
活動する中での悩み、課題では、4割(37.5%)の法人が「資金不足」に悩み、「事務処理が負担」(32.7%)、「特定の役員や社員に作業が集中」(32.1%)、「新規会員の確保」(30.1%)と続き、以下「税金が高い」、「活動のPR不足」、「役員会員の高齢化、後継者不足」、「補助金、助成金が受けられない」の順となっている。「会計、税務、法務等を行うのに負担がかかる。それらを行う専属スタッフを置きたいが、資金がない。」などの声もあり、NPO法人が活動資金不足に悩む現状が、改めて浮き彫りとなった。
こうした状況を反映し、県に望む支援施策では、資金面での支援が強く望まれており、6割(58.4%)の法人が「助成金等活動資金の提供」を、4割(41.8%)の法人が「県税減免等支援税制の拡充」を希望している。他にも「民間や自治体等の助成金の情報提供」(35.7%)、「NPO法人向けの研修」(26.8%)などが上位であった。
また、希望する研修内容をたずねると、「助成金獲得」(55.2%)と「会計処理」(53.3%)を半数以上のNPO法人が資金関係の内容を希望した。次いで「経営マネジメント」(47.6%)、「税務関係」(44.8%)となった。
企業や行政との協働については、、「すでに協働している」(61.5%)が最も多く、「今後協働をしたい」(29.6%)と合わせて約9割超の法人が、協働に前向きな姿勢を示している。
「地域に根ざした活動だが、一体感がまだ形成できていない。行政との協働により、住民と一体になって活動していくことが、これから求められてくると思う。行政と協働の理解を深めたい。」との声や「NPO制度の確立により、各種の活動に対する支援策を受け、また協働などの各種活動は容易になった。活動従事者の意気も高揚し、その活動にも積極性が生じている。」など協働に肯定的・積極的な意見もある一方で、「現在行政が直接行っている事でも、NPO法人に任せられるところはどんどん資金付きで任せる。又NPO法人の活動で公の利益にかなう場合は資金的に援助してでも行うべき。」との協働の際の資金的な配慮を求める声もあった。
調査結果の詳細は、長野県NPO活動推進室「長野県 NPO ・ ボランティア情報コーナー」を参照。
http://www.pref.nagano.jp/kikaku/npo/menu.htm