No.030 『予算準拠は止めよう』(2002/04/19配信)
バックナンバーの情報は配信当時の情報です。
現在では情報が変化している可能性があります。ご注意ください!
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シーズ=市民活動を支える制度をつくる会
■2002-04-19■
■No.030 NPOWEB Mail Magazine
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—事務局より—
2000年12月より「NPOWEB Mail Magazine」の発行を始めてから、約1年4ヶ月にな
ります。早くも30号を発行することができました。 \(^_^)/ バンザーイ
これからも頑張ってメールマガジンの発行をしていこうと思いますので、どうぞよろし
くお願いします。もしお知り合いの方で登録ご希望の方がいらっしゃったら、ぜひぜひ紹
介して下さい。(S)
3月から4月にかけて、加藤紘一氏、辻元清美氏というNPO法やNPO支援税制を積極
的にリードしてきた議員が次々と辞職されていきました。加藤氏、辻元氏とは、議連の会
合やシンポジウムなどでなんどもNPOについて話し合ったものでした。それだけに、残念
で、胸中極めて複雑な日々が続きました。ちょっと睡眠不足です。(M)
─◆INDEX◆───────────────────────────────
★メルマガ・コラム 『予算準拠は止めよう』
★見逃せない!注目のニュース 3月に1件不認定出る ほか
★トクトクNPOサポート情報 キリン福祉財団 ユニベール財団 ほか
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-< ちょっとお知らせ> -・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・
シーズのキャラクターフクロウが、なんと“木彫り”になって、初おめみえです!!
みんな、見てね。→http://www.npoweb.gr.jp/0001/hinode.html
-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・Wowooo….
★☆★☆メルマガ・コラム★☆★☆
『予算準拠は止めよう』
今、NPO法改正が国会で議論されている。
そこでの一つの論点が、NPO法の「予算準拠主義」にかかわるものだ。
NPO法は、第27条第一項で「収入および支出は予算に基づいて行うこと」と定めている。
これが「予算準拠主義」と呼ばれているものだ。
簡単にいうと、年度が始まる前に、予算を立て、その予算を基準に収入や支出を管理して
いくという組織運営の規定である。
予算にない支出は原則できないし、予算にない収入も求めない。そして、予算で定められ
た支出額を超えて支出することもしてはいけない。
社団法人や財団法人といった公益法人の会計は、この「予算準拠主義」を採用している。
NPO法の立法過程でも、NPO法人が公益法人等の一種であることから、予算準拠主義が法
律に盛り込まれた。
しかし、この手法、NPOの経営にとって大きな障害となるとして、シーズをはじめ多くの
NPO法人やNPOに関係する会計士などが、改正に際して予算主義条項の削除を求めている。
「なぜ削除を求めるの?予算を立てて守るのは当たり前じゃないの」と言われる方もいる
かもしれない。
もちろん、削除を求めているからといって、「NPO法人は予算を立てなくてもいい」と言
っているわけではない。
問題は、予算に「基づいて」収入・支出をしなければならないとされることにある。さら
に、多くのNPO法人が所轄庁の定款例などに基づいて、予算の承認や予算変更の承認を総会
の議題としてしまっている。
シーズでは、「所轄庁の定款例は検討なしに採用しないように」とアドバイスしているが、
うっかりして「予算およびその変更は総会でする」などと定めてしまうと、さあ大変だ。
まず、律儀に年度前に予算の承認を得ようとすると、年度が始まる前に予算を決定する総
会を開き、年度が始まって3ヶ月以内に決算・事業報告を承認する総会を開くという2度総
会を開かなければいけなくなる。これは法人にとっては負担が大きい。
もちろん、 これを避ける手法として、所轄庁のマニュアルでは、「やむを得ない理由によ
り予算が成立しないときは、理事長は、理事会の議決を経て予算成立の日まで前事業年度の
予算に準じ収入支出することができる」としているが、「やむを得ない理由」がなければな
らないし、「前事業年度の予算に準じ」なければならないため、新しい事業などができない
こととなる。
また、所轄庁のマニュアルでは、「予算中に予備費を設けることができる」としているが、
期首に収入が確定していないことが多いし、収入の科目も確定していないことがある。その
場合、予備費という方法では対応できない。さらに、大きな災害などが起こった場合は、予
備費というよりも予算全体の組み替えが必要となる。総会の決議が必要となれば、柔軟な対
応ができなくなる。
もともと、NPO法人の活動は、災害救援や難民支援などをはじめ、福祉や社会教育でも、
突然の災害や戦争、利用者が増えたり、ボランティアからの提案、社会状況の変化(新しい
自治体の施策が打ち出されたりすること)によって、柔軟に活動を変更していくことがほと
んどである。
予算準拠主義は、このような柔軟な活動に対して制約となる。
だいたい、予算準拠主義を採用してきたのは政府や公益法人だが、これらの団体は、期首
に一定の収入や事業が確定していて、それをどう運用・執行するかという静的な事業が中心と
されている。
一方、NPO法人は、期中に会費、寄附金、助成金、補助金、対価収入などを得て活動してい
く動的な事業を行っている法人がほとんどである。
年度当初においては、その多くは(補助金や助成金においてさえ)未確定な要素が多い。
また期中に新に申請できる助成金なども多くあり、期首に計画が立てられないことがしばしば
ある。対価を得て行う事業でも、利用者が増えると収支とも増えることになる。
しかし、当初から予算に縛られ予算に則って活動していると、このような状況に対応できな
くなる。
NPO法人の場合は、期中の予算変更が一般的であって、期中の予算変更が小規模であるか、
補正的なものである政府や公益法人とは大きく違う。むしろ企業に近い。
もともと予算準拠主義は、公益法人の活動を行政が監督する手法として取り入れらた側面
が大きい。予算で活動を事前チェックし、それを守らせるという性格の代物である。
一方、公益法人制度ではなく、NPO法が作られた背景には、行政の監督によらない民間の
自由で自発的な社会貢献活動を促進するというものであった。
こう考えると、予算準拠主義は、NPO法の立法趣旨に合わない。
さらに、NPO法人の活動は、様々な状況変化に対応する必要があることから、予算通りに
支出を行うことは、本来目的を達成することを保障しない。それにも拘わらず、予算準拠を
法律に定めるということは、予算さえ守っていればよいという誤ったメッセージを法人の運
営者に与える危険が大きい。
企業などは決算書類だけで、経営者の結果責任を明確にしているのと大きく違って、NPO
法人の運営責任者の結果責任に対する認識を狂わせてしまうことになるわけだ。
また、収支予算は、単年度志向を助長するため、法人の運営をかえって不効率にする危険
もある。
そして、予算準拠主義が法令で定められているために、公益法人会計を利用するべきであ
るという誤ったメッセージを会計担当者や運営責任者に与えるという問題も発生している。
企業では、予算はもちろん立てるが、状況の変化によって経営者が柔軟に変更していって
いくのが当たり前だ。
商法でも、株主総会での議決事項に予算などをあげていない。
NPOは、民間の自由な、そして稼ぎながら活動を紡ぎだしていくという団体である。
予算準拠主義は、早急に撤廃すべきである。
※このコラムを作成するのに当たり、公認会計士の水口剛さんと赤塚和俊さん、税理士の早
坂毅さんから貴重なご意見をいただきました。ありがとうございました。
(松原明)
= < ^0^ > ここで、ちょっと、NPOWEBの見所を2つご紹介します < ^0^ > = = = = =
(1)4月8日にシーズが行った「NPO法人税務セミナー」の報告を掲載しました。
今すぐクリック→http://www.npoweb.gr.jp/0802/report47.html
(2)4月12日に行われた「NPO/NGOに関する税・法人制度改革連絡会第1回総会」
の様子を報告しました。
今すぐクリック→http://www.npoweb.gr.jp/0802/report48.html
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★☆★☆見逃せない!注目のニュース★☆★☆
NPO News ◆……………………………………………………………………………………
塩川財相「実態を見て改善を検討」
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3月28日、塩川財務大臣は、認定NPO法人制度について「運用の面で厳しすぎる」
という認識を示し、「運用の実態を見て、改善すべきところは改善したい」と述べた。
参議院の財政金融委員会で公明党の山本保議員の質問に答えた。
▽詳細はシーズホームページで!
http://www.npoweb.gr.jp/
ニュースコーナー中、4月17日のNEWSにて紹介
NPO News ◆……………………………………………………………………………………
3月に1件不認定出る
……………………………………………………………………………………………………◆
4月15日、今年3月中の「認定NPO法人」に関する申請状況が国税庁の調べで
あきらかになった。それによると、3月中の認定申請は1件、認定申請の相談件数は
全国で30件、不認定が1件、申請取り下げが2件となっている。
▽詳細はシーズホームページで!
http://www.npoweb.gr.jp/
ニュースコーナー中、4月15日のNEWSにて紹介
★☆★☆シーズからのお知らせ!★☆★☆
「NPOWEB Mail Magazine」読者の皆様へ。
インターネット上で猛威をふるっているウィルスメールですが、ますます形態を
進化させてネット上を行き来しています。
一読者の方より「npoweb@abelia.ocn.ne.jp」からウィルスメールが届くという
ご報告をいただきました。これは、シーズから配信されたものではありません。
購読者の方の中に、「W32.Klez.E」というウィルスに感染したパソコンをお使いの
方がいらっしゃいますと、ウィルスが勝手にそのパソコンに登録されているメール
アドレス(たとえばnpoweb@abelia.ocn.ne.jp)を差出人にしあげてメールを他者に
配信するという悪さをしているようです。
メールマガジン購読者の方におかれましては、下記URLを参照して頂き、セキュ
リティ対策・ウィルスチェックなどを行って頂きますよう、お願い申し上げます。
情報処理振興事業協会セキュリティセンター
http://www.ipa.go.jp/security/topics/newvirus/klez.html
シマンテック社
http://www.symantec.com/region/jp/sarcj/data/w/w32.klez.e@mm.html
トレンドマイクロ社
http://www.trendmicro.co.jp/vinfo/virusencyclo/default5.asp?VName=WORM_KLEZ.E
「NPOWEB Mail Magazine」配信担当者
★☆★☆トクトクNPOサポート情報★☆★☆
★4月5日、8日、10日、11日、12日、15日、16日、17日、18日更新の助成金情報です。
●新宿区都市計画部 平成14年度まちづくり団体運営補助金 (4月19日締切)
●新宿区福祉部高齢者福祉計画課 平成14年度高齢者福祉活動基金助成事業 (4月19日締切)
●神奈川県立かながわ女性センター 平成14年度市民団体等企画事業 (4月21日締切)
●(社)成年後見センター・リーガルサポート 公益信託成年後見助成基金 (4月30日締切)
●経済産業省
平成14年度先進的情報通信技術の実証事業(e!プロジェクト)公募 (5月7日締切)
●(財)安田生命社会事業団 第38回(2002年度)研究助成 (5月7日締切)
●文部科学省 「デジタルコンテンツの活用高度化事業」の企画の募集 (5月10日締切)
●(財)民事紛争処理研究基金 民事紛争処理に関する研究の助成 (5月10日締切)
●公益信託ミキモト海洋生態研究助成基金事務局
平成14年度公益信託ミキモト海洋生態研究助成基金 (5月10日締切)
●三重県 三重県文化振興基金助成事業 (5月16日締切)
●(財)佐川交通社会財団
平成14年度交通安全調査研究振興助成金(一般研究助成) (5月20日締切)
●(財)佐川交通社会財団
平成14年度交通安全調査研究振興助成金(地域研究助成) (5月20日締切)
●(財)佐川交通社会財団
平成14年度交通安全調査研究振興助成金(課題研究助成) (5月20日締切)
●公益信託富士フィルム・グリーンファンド事務局
2002年度富士フィルム・グリーンファンド助成 (5月20日締切)
●朝日新聞社 朝日のびのび教育賞 (5月21日締切)
●(財)ハウジングアンドコミュニティ財団
「知恵のネットワーキング」 地域づくり活動支援助成2002 (5月22日締切)
●北海道 平成14年度地域新産業創造活動補助事業(第一次募集) (5月24日締切)
●(財)キリン福祉財団 平成14年度キリン福祉財団公募助成 (5月31日締切)
●社会福祉法人渋谷区社会福祉協議会
平成14年度渋谷区社会福祉協議会福祉活動助成 (5月31日締切)
●横須賀市 横須賀市市民協働推進補助金 (5月31日締切)
●経済産業省
平成14年度「市民活動活性化モデル事業(市民ベンチャー事業)」公募 (5月31日締切)
●公益信託乾太助記念動物科学研究助成基金事務局
2002年度公益信託乾太助記念動物科学研究助成基金 (5月31日締切)
●公益信託増進会自然環境保全研究活動助成基金事務局
2002年度公益信託増進会自然環境保全研究活動助成基金 (5月31日締切)
●公益信託四方記念地球環境保全研究助成基金事務局
平成14年度公益信託四方記念地球環境保全研究助成基金 (5月31日締切)
●(財)在宅医療助成勇美記念財団 平成14年度在宅医療助成 (6月15日締切)
●社会福祉法人丸紅基金 平成14年度(第28回)社会福祉助成金 (6月30日締切)
●(財)住友財団 環境研究助成 (6月30日締切)
●(財)住友財団 基礎科学研究助成 (6月30日締切)
●(財)ユニベール財団
「豊かで活力ある長寿社会の構築をめざして」を基本テーマとした研究助成 (7月31日締切)
●(財)ユニベール財団
「新しい世紀の社会づくり」をテーマとした市民活動助成 (7月31日締切)
●北海道 平成14年度地域新産業創造活動補助事業(第二次募集) (7月31日締切)
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★シーズの活動は、C's会員の方々の会費と、皆様の寄付によって成り立っています。
お問い合わせは、シーズ事務局までお願いいたします。
e-mail : npoweb@abelia.ocn.ne.jp
TEL : 03-5227-2008
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