No.049 『NPO法人の存在意義は市民社会の構築にある』(2003/04/22配信)
バックナンバーの情報は配信当時の情報です。
現在では情報が変化している可能性があります。ご注意ください!
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シーズ=市民活動を支える制度をつくる会
■2003-04-22■
■No.049 NPOWEB Mail Magazine
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NPOWEB大学を開校しました daigaku.npoweb.jp
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2003年3月4日、NPOに関心がある全ての人に、
多くの人がより強力に市民活動をできるように
シーズ=市民活動を支える制度をつくる会が、NPOWEBに加えて、
新たなNPO総合学習サイト「NPOWEB大学」を開校いたしました。
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—事務局より—
公益法人制度改革が混迷している。NPOサイドの強い反発で、現在進められている
改革からは、とりあえずはずされることにはなったが、まだ「将来的には新しい法人制
度に発展的解消の可能性が高い」との位置づけだ。たとえ、発展的解消とならなくても、
公益法人に関する税制は、NPO法人にも適用される可能性が高い。公益法人側も現在
の案に反対する意見が強くなってきている。しかし、一方で、公益法人に関する制度
に問題があるのも事実だ。改革は必要である。それだけに、性急にならず、腰を据え
た議論をすることが求められている時ではないだろうか。(M)
─◆INDEX◆───────────────────────────────
★メルマガ・コラム 『NPO法人の存在意義は
市民社会の構築にある』(松原明)
★見逃せない!注目のニュース 公益法人改革、与党協議が混迷 ほか
★トクトクNPOサポート情報 山梨メセナ協会 松下国際財団 ほか
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★☆★☆メルマガ・コラム★☆★☆
『NPO法人の存在意義は市民社会の構築にある』
▼NPOは無資本会社?
NHKのニュース番組を見ていて驚いた。
NPOに関する5分程度の特集があったのだが、そこで、「NPO法人のメリットは、
資本金なしで法人が立ち上げられることです」と解説されていたからである。
その特集では、会社を中途退職した人が、介護の事業をおこそうとして、有限会社
かNPO法人かのどちらにするか考えたが、「資本金がいらないから」ということで、
NPO法人を選んだという話を紹介していた。
NPO法人は、無資本で手軽につくれる「新しい会社の一種類」という認識なのだろ
う。「起業」を特集した情報誌でも、同じような特集をよく見かける。「NPOで独立
を」「個人事業を発展させてNPO法人に」「注目の起業スタイル・NPO法人」といっ
た見出しがそこには踊っている。NPO法人は、会社と同じように、独立して生計を立
てていくための道具として捉えられているのである。
さらに、このようなトレンドを後押ししているのが、政府による「コミュニティビ
ジネス」の振興政策だ。
政府によると、コミュニティビジネスとは、「市民が介護、育児、環境保護などの
地域の様々な課題をビジネスチャンスと捉え、ビジネスの手法で解決してゆくこと」
であるとされている。「コミュニティビジネスとは、ボランティア活動、市民活動と
は異なる」と念押ししている政府の調査報告書もある。
そして、このコミュニティビジネスの有力な担い手として、政府が期待しているの
がNPOなのである。
このような状況は、私みたいに、市民活動の制度的基盤として、NPO法を推進して
きた者からすれば驚くばかりである。
▼市民活動の意義
もともと、NPO法は、阪神・淡路大震災を契機として、ボランティア活動や市民活
動の一層の推進を目的に法律制定の機運が高まった。法律名も、当初は、「市民活動
促進法」という名称で立案され、国会に提出された。それが、審議の中で「市民とい
う言葉はよろしくない」という政治的な批判が出て、名称を「特定非営利活動促進法」
と変えたという経緯はよく知られているところだ。
当時は、「名前は変わっても中身は変わらない」と言われていたのだが、やはり、
「名は体を表す」ということか。今では、「NPOはコミュニティビジネスの担い手で、
それは市民活動やボランティア活動とは異なる」とまで言われるようになってしまっ
た。
もちろん、制度が、その立法趣旨を超えて広く使われることはよくあることだし、
悪いことではない。しかし、立法趣旨が曲げられてしまうのは問題である。
いや、立法趣旨が曲げられることも、この際大したことではないと言ってよい。
もっと根本的な問題は、NPOの大きな可能性が狭められてしまうことにある。
そもそも、市民活動やボランティア活動の重要性というのは、様々な社会的課題を、
ビジネスの手法だけでない多様な手法を用いて解決していくところにある。
とりわけ、社会的課題に人々や団体を関係づけ、自発的なさまざまな参加を促して、
問題を社会的に解決していく手法は、ビジネスにはない手法である。
環境や福祉、人権、国際協力といった分野における課題は、単にサービスを提供す
るだけで解決できない問題が多い。たとえば、障害者が町で暮らしていこうとする場
合、事業者による介助のサービスがあるだけでは不十分である。障害者が移動しやす
いような道路や交通機関の環境整備、学校や商店・スーパーでの対応、そして人々の
日常的なつきあい方自体が、障害者が暮らしていけるように変わっていく必要がある。
そのためには、学校での子供たちや親、商店街などの経営者、住民などの意識が問わ
れることになる。
循環型社会をつくっていこうとして、リサイクルを推進するためには、町の住民自
身がゴミ問題を勉強し、自ら主体的にゴミを分別し、きちんと捨てたり再利用したり
するという意識の変革が必要になる。
このように、人々を社会的課題につなげ、それに主体的に取り組んでいけるように
するには、ビジネスの手法だけでは決して達成できないだろう。
▼新しい市民社会とは
もちろん、社会的課題を解決するためにビジネスの手法を使うことを否定するわけ
ではない。寄附や会費、事業収入などで収入を得て、社会的サービスを提供していく
市民活動が、経済的主体としての側面を持つことも当然である。だから、雇用の担い
手にもなるし、側面から見れば、ビジネス的な活動をしていくことも少なくない。収
支を管理し、人を雇うという経営を必要とする「事業」である以上、起業といった側
面もあることも事実だ。
しかし、NPO=ビジネスでは決してない。また、NPOは「資金なしで立ち上げら
れる会社」でもないのである。「側面」と「本質」を取り違えてはならないのである。
同時にNPOの意義も矮小化してはならない。
NPOの意義は、個々のNPOを中心に作り出される公共的な社会的領域にある。障
害者問題に関心を持つ人々のゆるやかなネットワークや、障害者と共生をめざす人々
の意識の中にそれは存在する。環境でも、人権でも同じである。そして、その領域は、
福祉国家のシステムとは違い、行政がその中心にないような構造をもっている。
行政がすべてのサービスや社会的問題解決の責任者となるのではなく、そのような
社会的領域では、行政も企業もNPOもそれぞれの役割を分担して、課題に取り組むよ
う要請される。
そして、そのネットワークと領域を維持し、拡大・強化していくことがNPOの本来
の使命である。
このような社会的領域が、今日、新しい「市民社会」と呼ばれているものに他なら
ない。
どうやら、今まで、NPOという事業体の内部ばかりに目がいきすぎて、NPOが生
み出す市民社会というシステムがおざなりにされすぎたようだ。
今一度、初心に戻って、NPO法制定の意義について議論すべきときかもしれない。
(松原明)
「ガバナンス 2003年1月号」より一部加筆修正して転載
※「ガバナンス」は、(株)ぎょうせいが発行している自治体職員・NPOワーカーな
どを対象とした月刊誌です。松原は、『Visions of NPO』というタイトルで、月一回
連載をしています。
「ガバナンス」についてのお問い合わせは、(株)ぎょうせい 03-5349-6666まで
★☆★☆見逃せない!注目のニュース★☆★☆
NPO News ◆……………………………………………………………………………………
改革特区でNPO活動拡大へ
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政府は、4月17日、地域を限って規制を緩和・撤廃する構造改革特区の第一弾認定
を発表した。NPO関連特区としては、NPO法人への農業経営の容認を行う千葉県等や
須玉町(山梨県)、NPOによる福祉輸送サービスの拡大を行う大和市、枚方市、岡山県、
熊本県等が認定された。
▽詳細はシーズホームページで!
https://www.npoweb.jp/
ニュースコーナー中、4月21日のNEWSにて紹介
NPO News ◆……………………………………………………………………………………
公益法人改革、与党協議が混迷
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公益法人制度改革で、与党3党の議論が混迷している。自民党は、中間法人と公益法
人を一本化して「非営利法人」とする独自案をまとめ、原則課税とする案を与党3党の
協議で示したが、公明党などが反対しているという。17日開かれた公益法人協会主催
の緊急集会で経緯について報告された。
▽詳細はシーズホームページで!
https://www.npoweb.jp/
ニュースコーナー中、4月18日のNEWSにて紹介
NPO News ◆……………………………………………………………………………………
3月中の認定申請は1件
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国税庁の調べで、2003年3月中の「認定NPO法人」の申請件数は1件であったことが
わか った。また、認定申請後に審査を受けていた法人(一件)が申請の取り下げをして
いたこともわかった。同月中には新たな認定は出ておらず、認定NPO法人に関する全国
の国税局への相談件数は35件であった。
▽詳細はシーズホームページで!
https://www.npoweb.jp/
ニュースコーナー中、4月16日のNEWSにて紹介
★☆★☆トクトクNPOサポート情報★☆★☆
★4月1日、2日、4日、7日、8日、9日、10日、14日、16日、17日、21日
更新の助成金情報です。
●文化庁
平成15年度文化ボランティア推進モデル事業 (4月23日締切)
●(財)女性のためのアジア平和国民基金(アジア女性基金)
2003年度NGO活動支援 (4月25日締切)
●長野市
平成15年度ながのまちづくり活動支援事業 (4月25日締切)
●エイボン女性文化センター
エイボン アワーズ・トゥ・ウィメン (4月29日締切)
●千葉県
「地域活性化戦略策定基礎調査事業」の業務委託に関する企画提案募集
(4月30日締切)
●あおもり県民政策ネットワーク事務局
平成15年度「あおもり県民政策研究」募集 (4月30日締切)
●(社)成年後見センター・リーガルサポート
公益信託成年後見助成基金 (4月30日締切)
●NPO法人山梨メセナ協会(山梨芸術文化支援協会)
芸術文化活動等への支援事業 (4月30日締切)
●PLANT A TREE PLANT LOVE事務局
PLANT A TREE PLANT LOVE奨励賞 (4月30日締切)
●全国中小企業団体中央会
平成15年度中小企業向けeラーニング事業公募 (5月9日締切)
●(財)日本環境整備教育センター
平成15年度「浄化槽に関する調査研究助成」(5月14日締切)
●(財)国際緑化推進センター 林業NGO等活動支援事業 (5月15日締切)
●埼玉県 平成15年度シラコバト基金助成事業 (5月16日締切)
●(財)トヨタ財団 2003年度研究助成 (5月20日締切)
●食糧庁 ごはん食推進活動支援事業 (5月20日締切)
●朝日新聞社 第5回「朝日のびのび教育賞」 (5月21日締切)
●(財)ハウジングアンドコミュニティ財団
地域づくり活動支援助成2003 (5月21日締切)
●愛知県
「平成15年度青少年健全育成モデル事業」企画案募集 (5月21日締切)
●千葉県 平成15年度千葉県NPO活動支援事業 (5月23日締切)
●(財)広島市ひと・まちネットワーク
ひと・まち広島未来づくりファンド【Hm2(ふむふむ)】第1回助成事業
(5月23日締切)
●(財)松下国際財団 研究助成 (5月30日締切)
●(社福)木下財団 平成15年度木下財団・助成 (5月30日締切)
●千葉市
千葉市地域環境保全自主活動事業補助金 (5月30日締切)
●(財)大同生命厚生事業団 地域保健福祉研究助成 (5月31日締切)
●(財)大同生命厚生事業団
サラリーマン(ウーマン)ボランティア活動助成 (5月31日締切)
●(財)日本科学協会
平成15年度「水域環境をめぐる学習活動等の成果公表支援」事業 (6月2日締切)
●中部の未来創造大賞推進協議会事務局 第4回中部の未来創造大賞 (6月30日締切)
●苫小牧商工会議所 苫小牧東部地域アイデア募集 (6月30日締切)
●厚生労働省
公益信託吉村記念厚生政策研究助成基金懸賞論文 (7月31日締切)
●みずほ信託銀行株式会社個人企画部福祉信託チーム内
公益信託大成建設自然・歴史環境基金 大成建設自然・歴史環境基金(7月31日締切)
●(財)ユニベール財団
「豊かで活力ある長寿社会の構築をめざして」を基本テーマとした研究助成
(7月31日締切)
●(財)ユニベール財団
「新しい世紀の社会づくり」をテーマとした市民活動助成 (7月31日締切)
●(社)中部開発センター 第5回懸賞論文募集 (9月1日締切)
▽詳細はシーズホームページで!
https://www.npoweb.jp/subsidy_categ.php3
トップページの〆切間近の助成金情報とまだまだあります助成金等情報で紹介
★4月2日、4日、10日更新の助成金情報です。
●県民ボランティア総合センター(特定非営利活動法人ふくおかボランティアネット)
ボランティア団体・NPO活動強化支援事業 (4月30日締切)
●(財)松下国際財団 松下アジアスカラシップ (5月16日締切)
●国立情報学研究所
NetCommons 100本プロジェクト・モニター募集 (5月30日締切)
▽詳細はシーズホームページで!
https://www.npoweb.jp
トップページのその他の支援情報にて紹介
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★シーズの活動は、C's会員の方々の会費と、皆様の寄付によって成り立っています。
お問い合わせは、シーズ事務局までお願いいたします。
e-mail : npoweb@abelia.ocn.ne.jp
TEL : 03-5227-2008
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