No.067 今回のコラムは認定NPO法人制度(2004/09/17配信)
バックナンバーの情報は配信当時の情報です。
現在では情報が変化している可能性があります。ご注意ください!
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シーズ=市民活動を支える制度をつくる会
■2004-09-17■
■No.067 NPOWEB Mail Magazine
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—事務局より—
約1ヶ月ぶりのメールマガジン発行となりました。いかがお過ごしですか。
日中はまだ汗ばむ陽気でも、朝に夕に秋の気配が感じられるように
なってきましたね。
そういえば先日友人宅から、美味しいぶどうが届きました。
もう秋だな〜と感じます。(S)
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★メルマガ・コラム
『どうする認定NPO法人制度?』(松原明)
★シーズからのお知らせ!
NPOWEBの見どころ 特集!!「寄附・会員集めのABC (1)」始めました
★見逃せない! 注目のニュース
特区で、5人以上でNPO法人の設立可能へ ほか
★トクトクNPOサポート情報
福祉医療機構 日本財団 子どもゆめ基金 ほか
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★☆★☆メルマガ・コラム★☆★☆
『どうする認定NPO法人制度?』
▼効果がなかった昨年の改正
認定NPO法人制度が、相変わらず使えないと評判だ。
「認定NPO法人」というのは、NPO法人のうち、一定の認定要件を満たして
いるとして国税庁に認定を受けた法人のことである。
個人や法人は、認定NPO法人に対して寄附をした場合、その寄附金は一定の
金額まで所得から控除されたり、損金扱いにできる。個人や法人は、認定NPO
法人に寄附をしやすくなり、逆に言えば、認定NPO法人になれば寄附を集めや
すくなる。
福祉や子育て支援、国際協力、環境保全などの分野で、これからますます活
動が期待されているNPO法人を財政的に支援するために、2001年10月か
ら制度がスタートしたものだ。
しかし、スタートをしたはいいものの、いっこうに利用が増えない。
NPO法人が全然認定申請を出さないのだ。
制度がスタートしてまる一年経った2002年9月末時点で、認定への累計
申請数は18件。認定を受けた法人はわずか8件にすぎなかった。当時NPO法
人の数は、全国で8315法人あったので、申請率は全体の0.2%。認定法
人率は全体の約0.1%という惨状だった。
「認定要件が厳しすぎる」という批判を受けて、政府は、2003年4月に
認定要件を一部緩和。これで少しは増加するのではと予想されたのだが、期待
は大きく裏切られた。
今年8月末時点で、申請件数は累計で56件。認定NPO法人の数はまだ24
法人でしかない。一方NPO法人の数は増え続け、すでに1万8千法人を突破し
た。申請率は全体の約0.3%。そして、認定法人率は全体の約0.1%と
いう状況だ。この数字は改正前とほとんど変わっていない。
昨年の改正は完全な空振りだったといえるだろう。
▼現実を踏まえていない認定要件
問題は、認定要件があまりにもNPO法人の実態とかけ離れていることにある。
認定要件で、一番難しいとされているのが、「法人全体の収入の5分の1以
上を寄附金・助成金等が占めていなければならない」という要件だ。自民党が
実施したアンケートをとると、NPO法人の85%はこの要件を満たせないと回
答している。
NPO法人は、まだ制度としても実態としても誕生したばかりのものである。
信用も会員もまだまだ乏しい。それで寄附がなかなか集まらないから、税制で
支援して寄附集めをしやすくしようという目的で、そもそも認定NPO法人制度
ができた経緯がある。
それなのに、認定を受けるためには「最初から寄附が集まっていなければダ
メ」というのでは本末転倒だ。
次に、難しいとされる要件が、継続して同じ人にサービスを提供する活動が、
法人の活動の過半を占めてはならないというものだ。「同じ人にサービスを提
供することは、公益活動ではなく、共益活動だから」というのが、財務省の言
い分である。
しかし、高齢者の介護や障害者の支援をしようとすれば、継続してサービス
を提供しないでどうして支援活動ができるのか。継続的でニーズを踏まえた家
事援助や介助のサービス提供こそが本来求められるはずのものである。「共益
活動」というものでは決してない。これでは福祉団体は、絶対認定を受けられ
ない。
一事業年度ごとに各認定要件を満たさなければならないという「単年度主義」
による審査も、問題になっている要件だ。たとえば、「一事業年度に受けた寄
附金の7割を目的事業にその年度中に使わなければならない」という要件があ
る。実際あった話だが、あるNPO法人が、認定申請をしたいと考えていた。と
ころが、年度末の3月に、ある企業がどんと多額の寄附をしてくれた。その年
度中に7割使い切らないと認定要件を満たせなくなってしまう。しかし、政府
の公共事業じゃないし、年度末にお金が余ったからといきなり事業をたてて使
い果たすなどということは、できるわけはない。企業も、年度末だから寄附を
くれたわけで、翌年度まで寄附を待ってとはいえない状況がある。結局、泣く
泣く申請を断念せざるを得なかったという。
寄附を集めやすくするための制度が、逆に寄附を受けにくくするような要件
になっているわけだ。
他にも、NPO法人からすると、きわめて理不尽な要件が多数ある。
▼認定要件は抜本的に改正を
政府は、さすがに問題と思ったのか、来年度税制改正に向けて、認定要件の
緩和の検討に入った。
内閣府、外務省、厚生労働省の3省は、財務省に対して、来年度に向けて、
認定NPO法人制度の緩和を要望する予算要求を提出。「総収入のうち寄附金が
5分の1以上」という要件や、共益活動に関する制限の緩和などが議題に上っ
ている。
しかし、要望を見てみると本格的とはまだまだ言い難い。その上、要望して
いるすべての要件が改正されるかというと「それは難しいだろう」との政府関
係者の弁。「一つか二つ取れればいいのでは」とあまり期待できない話をする。
どうやら「少しずつ改善していけばいいのでは」という甘い考え方が根本にあ
るようだ。
しかし、そんなことでは、この世の中の変化のスピードについていけないと
いうことが分かっていない。
それとともに問題なのが、「NPOがなぜ申請できないか」ということを政府
が理解していないのではないかと思えることである。
政府は、認定要件が、まっとうな経理もできないNPO法人の実態にとっては
「厳しすぎる」のだろうと思っている。認定要件は悪くはないが、NPO法人が
力不足だから仕方ない、という見方だ。しかし、本当は、認定要件そのものが、
「理不尽で、実態にもあっていなく、矛盾しており、理念がかけらもない」と
いうものであることだ。
さらに、多数ある認定要件のどれか一つ二つが問題というわけではなく、す
べてが問題であり、その問題がからまりあって認定要件がいっそう理不尽にな
っていることが、最大の問題なのである。
認定要件の一つや二つを直して事足れりとするようでは、また改正しても効
果がないという結果になりかねない。
認定要件は、NPO法人の実態にも理念にもまったくそぐわないものになって
いるという認識を持って、抜本改正をする必要がある。
(松原明)
★☆★☆シーズからのお知らせ!★☆★☆
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NPOWEBの見どころ
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★ NPOWEBは、今、特集ページが充実しています。新連載が始まりました!
https://www.npoweb.jp/special_list.php3
【1】特集!!「寄附・会員集めのABC(1)」を始めました。
ナビゲーターは轟木洋子(とどろきひろこ)です。
昨年は米国の寄附事情について連載し、ご好評をいただきました。
( https://www.npoweb.jp/special/special_info.php3?article_id=1108 )
今回は上手に寄附や支援的な会費を集めておられる日本のNPOをインタビュ
ーし、少しゆっくりめのペースで6回ほどご紹介していきます。シリーズの中
には、寄附をくださる企業側の方のお話も入れる予定です。
どうぞ、ご期待ください。
ナビゲーターからのメッセージを読む?→
https://www.npoweb.jp/special/special_info.php3?article_id=1786
シリーズ第1回目は、高知市内にある「NPO法人高知こどもの図書館」です。
読んでみる?→
https://www.npoweb.jp/special/special_info.php3?article_id=1787
【2】イベント報告「釧路市民活動センターオープン記念講演」を更新。
釧路市が市民団体の協議会に運営を委託する、いわゆる「官設民営」型のサ
ポートセンター「釧路市民活動センター」が、8月29日にオープンし、事務局
長の松原がオープン記念講演をしました。その様子をまとめました。
読んでみる?→
https://www.npoweb.jp/0802/event_houkoku.php3?article_id=1796
★☆★☆見逃せない!注目のニュース★☆★☆
NPO News ◆……………………………………………………………………
NPO連絡会が公益法人改革で意見書 (9月11日のニュース)
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NPO/NGOに関する税・法人制度改革連絡会は、9月10日、内閣官房行
政改革推進事務局に対し、「公益法人制度改革の具体化に関する意見」を提出
した。創設される非営利法人制度は非配分を原則とし、中間法人制度との統合
は前提としないことを求めている。
▼このニュースを詳しく読む?
https://www.npoweb.jp/m_news_info.php3?article_id=1792
NPO News ◆………………………………………………………………………
自民調査、85%がPSTが問題 (9月8日のニュース)
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9月8日、自由民主党は、今年5月から7月にかけて実施した、認定NPO
法人制度に関するアンケート調査の結果を公表した。分析結果によれば、現在
の認定要件のうち、日本版パブリック・サポート・テスト(PST)、共益性排
除(会員等対象の活動が半分未満)の要件緩和や、認定有効期間の伸長などの
規定を改正することによって、現在の10倍の法人が認定を受けられるように
なると見込んでいる。
▼このニュースを詳しく読む?
https://www.npoweb.jp/m_news_info.php3?article_id=1789
NPO News ◆………………………………………………………………………
NPO活動推進自治体フォーラム詳細決定 (9月3日のニュース)
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NPO活動推進自治体フォーラム千葉県大会(10月19日、20日に幕張新都心
にて開催)の詳細が明らかになった。大会テーマは、『NPOとともに築く21
世紀の地域社会−−いま、競い合う時代 NPOとの協働のあり方を問う』。
1日目は岩手県、滋賀県、静岡県、千葉県、横浜市の5つの首長によるセッシ
ョンが行われ、2日目は5つの分科会に分かれ、NPO施策の現状と課題につい
て議論を深める。
▼このニュースを詳しく読む?
https://www.npoweb.jp/m_news_info.php3?article_id=1777
NPO News ◆………………………………………………………………………
特区で、5人以上でNPO法人の設立可能へ (8月26日のニュース)
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政府は、現行のNPO法で10人以上の「社員」を有することを義務付けて
いる認証要件を、構造改革特区に限っては、5人以上であれば認証されるよう
に緩和する方針を固めた。政府は9月にも正式決定し、2005年の通常国会
で構造改革特別区域法を改正して、この特例を盛り込む予定。
▼このニュースを詳しく読む?
https://www.npoweb.jp/m_news_info.php3?article_id=1769
★☆★☆トクトクNPOサポート情報★☆★☆
★前回のメールマガジン発行以降に更新した助成金情報です。
括弧()内の日付は、助成金申請の締め切り日です。
・特定非営利活動法人日本都市計画家協会
まちづくり人材派遣助成事業2004 (9月20日)
・特定非営利活動法人せんだい・みやぎNPOセンター
ふくふくファンド・みんみんファンド2004年度助成金 (9月24日)
・北海道
「地域の雇用創出」モデル事業公募型プロポーザル (9月24日)
・特定非営利活動法人ひろしまNPOセンター
ひろしまNPO活動奨励賞2004 (9月27日)
・愛媛県
NPOとの協働事業推進に係る企画提案募集 (9月30日)
・(社)全国市街地再開発協会
住まい・まちづくり活動の普及啓発に資するシンポジウムの主催団体募集
(9月30日)
・那覇市
平成17年度那覇市地域福祉基金補助団体募集 (9月30日)
・日本自転車振興会/日本小型自動車振興会
平成17年度補助事業(機械工業振興補助事業・公益事業振興補助事業)
(9月30日)
・西日本中央連携軸推進協議会
平成16年度「『交流』促進事業助成金」 (9月30日)
・(財)かわさき市民活動センター
平成16年度かわさき市民公益活動助成金 (9月30日)
・(財)千葉県環境財団
平成16年度「LOVE OUR BAY 募金」 (9月30日)
・独立行政法人国際交流基金
平成16年度海外日本語教育支援NGO助成(追加公募) (9月30日)
・川崎市
川崎市ホームレス自立支援市民事業助成 (9月30日)
・長崎市
市民活動団体補助金(追加募集) (9月30日)
・神奈川ネットワーク運動
市民社会チャレンジ基金 (9月30日)
・かながわ県民活動サポートセンター
かながわボランタリー活動推進基金21 (10月7日)
・淡海ネットワークセンター(財団法人淡海文化振興財団)
第3回(2005年)おうみNPO活動基金 (10月15日)
・日本財団
「郷土学(先人学)」事業−企画募集 (10月15日)
・(株)コメリ事業本部内「コメリ緑資金の会」
平成16年度(第15回)コメリ緑資金【コメリ出店地域(34都府県)が対象】
(10月31日)
・独立行政法人福祉医療機構
平成17年度「長寿・子育て・障害者基金」 (10月31日)
・社会福祉法人奈良県共同募金会
赤い羽根共同募金による住みよい地域づくり支援事業 (10月31日)
・ちば市民活動・市民事業サポートクラブ (NPOクラブ)
2004年度NPOクラブ市民活動支援基金「一歩くん基金」 (10月31日)
・(財)ポーラ伝統文化振興財団
平成17年度助成事業 (10月31日)
・日本財団
2005年度助成金 (11月1日)
・ひょうごボランタリープラザ内第5回ひょうごボランタリー・スクエア21実
行委員会
ボランティア・市民活動元気アップアワード (11月8日)
・(財)ポーラ美術振興財団
平成17年度助成 (11月10日)
・(社)私的録音補償金管理協会
平成17年(2005年)度公募助成(音楽・芸能文化活動への支援)
(11月15日)
・社会福祉法人新日本友の会
新日本友の会2005年度助成金 (11月30日)
・独立行政法人国立オリンピック記念青少年総合センター
平成17年度子どもゆめ基金助成金 (12月5日)
・(財)ロームミュージックファンデーション
2005年度助成対象活動公募 (12月10日)
▼詳細はシーズホームページで!
https://www.npoweb.jp/m_subsidy_categ.php3
トップページの〆切間近の助成金情報とまだまだあります助成金等情報で紹介
★前回のメールマガジン発行以降に更新したその他の支援情報です。
括弧()内の日付は、申請の締め切り日です。
・農林水産省
「農協のための情報通信技術の適用」研修参加者募集 (9月24日)
・特定非営利活動法人イーパーツ
「カラーレーザープリンタ寄贈プログラム」(東京都・神奈川県・千葉県の
非営利団体が対象) (10月15日)
・東京海上火災保険株式会社
トウキョウマリンギャラリーご利用者公募【05.4月〜05.6月利用分】
(10月31日)
・(財)ポーラ美術振興財団
若手芸術家の在外研修に対する助成 (11月10日)
・(財)ロームミュージックファンデーション
2005年度奨学生公募 (12月10日)
・東京海上火災保険株式会社
トウキョウマリンギャラリーご利用者公募【05.4月〜05.6月利用分】
(12月31日)
▼詳細はシーズホームページで!
https://www.npoweb.jp/
トップページのその他の支援情報にて紹介
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