その他 : 新制度3か月、一般社団法人585法人が新設
シーズが行った法務省への情報開示請求により、一般社団・財団法人の2009年2月分の新設数が明らかになった。開示された情報によると、一般社団法人の新設数は180法人、一般財団法人の新設数は25法人となっている。前月に比べ、一般社団法人の新設数は、ほぼ横ばい。一般財団法人の新設数は40%の大幅減だった。
今回明らかになったのは、新公益法人制度が施行され、3ヶ月目となる2009年2月分の一般社団・財団法人の登記状況を示す「平成21年登記統計集計結果表(商業法人登記等結果表)」の「一般社団法人(2月分)」と「一般財団法人(2月分)」。設立、従たる事務所設置、事務所の移転、解散、清算人に関する登記、登記事項の変更,消滅,廃止、登記事項の更正、登記の抹消、その他の全9つの区分の登記数が記載されている。ここでの「設立」が任意団体などが新たに一般社団・財団法人を設立した新設数に相当する。
これによると、一般社団法人の新設数は180法人であった。一方で解散数も33法人存在した。一般財団法人の新設数は25法人であった。一方で解散数も10法人存在した。
前月と比較した結果及び累計新設数は以下の通り。
2008年12月/2009年1月/2009年2月/累計
一般社団法人:243法人/162法人/180法人(11%の増加)/585法人
一般財団法人:45法人/42法人/25法人(40%の減少)/112法人
今回は、一般社団法人の新設数は堅調で、前月からやや持ち直している一方、一般財団法人の新設数の落ち込みが目立つ結果となった。
これまでの開示情報から、新公益法人制度施行後3ヶ月間の累計新設数も明らかとなった。全国で一般社団法人は585法人が新設、一般財団法人は112法人が新設された結果となった。
従来は設立に主務官庁の許可が必要であった社団法人・財団法人に関する制度(公益法人制度)は、準則主義により、公証人による定款認証と登記所での登記だけで簡単に法人格を取得できる「一般社団法人」及び「一般財団法人」と、第三者機関の公益認定等委員会などによる公益性の認定を受けた「公益社団法人」及び「公益財団法人」からなる制度(新公益法人制度)へと改革された。
旧中間法人法に基づき設立された有限責任中間法人は2008年12月1日に一般社団法人へ自動的に移行した。旧有限責任中間法人は「一般社団法人」という言葉を含む名称へ定款を変更し、そのことを登記しなければならないとされている。しかし、登記統計としては「登記事項の変更,消滅,廃止」としてひとくくりにされるため、どのくらいの旧中間法人が名称変更したか把握することができない。法務省によると、現段階で「一般社団法人」という名称の法人がいくつ存在するか把握するのは困難とのこと。解散数にも、これら旧中間法人から移行した一般社団法人が含まれていると考えられ、一般社団法人数の定量的把握を困難にしている。
新制度施行後3か月の結果を見て、公益法人制度改革にも詳しいシーズ事務局長の松原は、
「思ったより両法人とも増加していないようだ。制度の周知が進んでいない現状が反映されているのではないか。一般社団・財団法人は情報公開が少ないので、どういう団体が法人になっているのかが、市民には分かりづらいのも課題だ。
旧公益法人の社団・財団法人(特例民法法人)に関しては、5・6月の総会や理事会で今後の方向性が決まってくると思われるので、注目していきたい。」と語っている。
シーズは今後も一連の公益法人制度改革が市民活動へ与える影響を評価し、特定非営利活動促進法(NPO法)の改正や認定NPO法人制度の改善につなげるため、一般社団・財団法人の設立数などを情報開示請求により入手し、継続的に調査していく方針。
※なお、この調査は「シーズ緊急サポート寄付」に寄せられた寄付により、実施されている。この場を借りて、会員・寄付者の皆さまに感謝申し上げたい。
https://www.npoweb.jp/modules/introduction/index.php?content_id=14