その他 : マニフェスト向け要望書を各党に提出へ
6月15日、NPO/NGOに関する税・法人制度改革連絡会は、次期総選挙での政権公約(マニフェスト)に向けた「特定非営利活動法人(NPO法人)制度に関する要望書」をまとめた。特定非営利活動促進法(NPO法)や認定NPO法人制度の改正などを要望するもの。今後、各党に要望書を提出していく予定。
NPO/NGOに関する税・法人制度改革連絡会(以下、連絡会)は、1999年に設立された全国41のNPO支援センターの全国ネットワーク。NPO法改正や認定NPO法人制度の改正について、NPO側の意見をまとめたり、各地での制度改正の運動を展開している。シーズは世話団体の1つを務めている。
連絡会では、NPO議員連盟(NPO議連)や内閣府、財務省などに対して、NPO法や認定NPO法人制度に関する政策提言(アドボカシー)活動を行っている。衆議院・参議院選挙時においては、各党の政権公約(マニフェスト)にNPOや市民活動に関する政策が盛り込まれるよう、要望活動も行っている。
今回、連絡会がまとめた要望書は、来たる衆議院選挙(総選挙)に向けた各党のマニフェスト作成に対して、NPO側の要望を伝えるもの。衆議院は、解散による任期満了前の選挙、また、任期満了(平成21年(2009年)9月10日)に伴う選挙が予想されているため、この時期での要望書作成を行った。
連絡会は、要望書の中で、「特定非営利活動促進法(NPO法)は、議員立法として1998年成立・施行されました。現在では、全国各地で約3万8千の特定非営利活動法人(NPO法人/特活法人)が認証を受けています。福祉や教育、環境保全、国際協力、まちづくりなど様々な分野で活躍しています。」とNPO法の意義と成果を強調。
「内閣府の世論調査では、国民の8割が『市民活動は大切である』と答えています。また、国民の4割が『ボランティアなどでNPOの活動に参加したい』と答えています。」とし、NPO・市民活動に対する国民の評価と参加意欲を指摘した。
また、NPOの社会への貢献について、「地域コミュニティの再生や社会的弱者の支援、多様な公共サービスの提供などで、行政・企業と協働・連携しながら、日々、社会に貢献しています。」とし、「今後の日本社会においても、NPOや市民活動はますます重要性を増していくと考えています。」とこれからの日本社会におけるNPO・市民活動の重要性への見解を述べている。
NPO法人制度については、「一方で、急速に変化する社会問題や災害発生時の素早い対応のため、NPO法人には迅速な設立・運営が求められています。」と、現状の問題点を指摘。「一連の公益法人制度改革なども踏まえ、NPOの健全な発展を促進するため、市民活動を支える基盤であるNPO法人制度をより使いやすく、透明性の高い制度へ改正していく必要があります。」と述べ、昨年12月にスタートした新公益法人制度なども踏まえ、制度改正が必要であるとしている。
認定NPO法人制度については、「内閣府の調査では、NPO法人の約7割が『活動資金が不足している』と答えています。しかし、NPO支援税制である認定NPO法人制度は開始後7年を経た現在でも、認定を受けたNPO法人はわずか93法人、約3万8千あるNPO法人のわずか0.24%(2009年6月1日現在)に過ぎません。」と、ほとんどの団体が支援税制の対象となっていない現状を指摘。
その上で、「より多くのNPO法人が支援税制を受けられるようにするため、認定NPO法人制度を大幅に緩和していく必要があります。同時に、個人や企業によるNPOへの寄付を促進するため、寄付税制の大幅な拡充も必要です。」と述べ、寄付の受け手側に関する認定NPO法人制度の更なる改革と共に、寄付の出し手側に関する寄付税制の大幅な拡充も必要であると訴えている。
その上で、具体的な要望事項としては、下記2点(計12項目)を挙げている。
一.市民の自発性に基づき活動するNPOの社会貢献活動を支援し、より信頼性の高い制度にするため、特定非営利活動促進法(NPO法)の改正を行うこと
1.法律の名称を「市民活動促進法」へ、法人の名称を「市民活動法人」へ変更する。
2.NPO法人の認証期間(現行4ヶ月以内)を2ヶ月に変更し、補正を可能にする。
3.運営に関する各種手続きを簡素化・迅速化する。
4.NPO法人のインターネット上の情報公開を強化すると共に、公開時の個人情報保護を行う。
5.その他、添付資料「特定非営利活動促進法の改正に関する要望書」を参照のこと
二.支え合い・助け合いの地域コミュニティ活動や国際援助活動などを活性化するため、認定NPO法人制度の大幅な改正と寄付税制の大幅な拡充を行うこと
1.認定NPO法人数の数値目標(全NPO法人の50%)を設定する。
2.パブリックサポートテストなど現行の認定要件のより一層の緩和を行う。
3.国税庁・国税局による審査体制を充実させると共に、現在の長期間にわたる審査期間(平均8カ月/最長2年)の短縮のため、審査期間を4ヶ月以内と限定する。
4.申請団体に負担を強いる現在の再認定制度ではなく、更新制度を導入する。
5.みなし寄附金制度における控除限度額を所得金額の50%へ引き上げ、みなし譲渡所得を非課税にするなど税制優遇措置のより一層の拡充を行う。
6.寄附者に対して、本年の寄附金控除で控除し切れなかった部分について翌年への繰越を認める制度(繰越制度)の導入など寄附金控除の大幅な拡充を行う。
7.認定を受けていない小規模のNPO法人に対する法人税の免税点制度(一定の収支規模までは収益事業を行っていても免税とする制度)などを創設して、小規模法人の活動を支援する。
連絡会では、今後各党への要望書提出・働きかけを行っていく予定。
とりまとめた要望書全文は以下の通り。
特定非営利活動法人(NPO法人)制度に関する要望書(PDFファイル)は下記URLを参照。
https://www.npoweb.jp/pdf/20090615Manifesto.pdf
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特定非営利活動法人(NPO法人)制度に関する要望書
2009年6月16日
NPO/NGOに関する税・法人制度改革連絡会
日頃から、貴党におかれましては、NPO活動へのご理解をいただき、その発展のためにご尽力いただいていること、深く感謝申し上げます。
特定非営利活動促進法(NPO法)は、議員立法として1998年成立・施行されました。現在では、全国各地で約3万8千の特定非営利活動法人(NPO法人/特活法人)が認証を受けています。福祉や教育、環境保全、国際協力、まちづくりなど様々な分野で活躍しています。
内閣府の世論調査では、国民の8割が「市民活動は大切である」と答えています。また、国民の4割が「ボランティアなどでNPOの活動に参加したい」と答えています。
地域コミュニティの再生や社会的弱者の支援、多様な公共サービスの提供などで、行政・企業と協働・連携しながら、日々、社会に貢献しています。今後の日本社会においても、NPOや市民活動はますます重要性を増していくと考えています。
一方で、急速に変化する社会問題や災害発生時の素早い対応のため、NPO法人には迅速な設立・運営が求められています。一連の公益法人制度改革なども踏まえ、NPOの健全な発展を促進するため、市民活動を支える基盤であるNPO法人制度をより使いやすく、透明性の高い制度へ改正していく必要があります。
内閣府の調査では、NPO法人の約7割が「活動資金が不足している」と答えています。しかし、NPO支援税制である認定NPO法人制度は開始後7年を経た現在でも、認定を受けたNPO法人はわずか93法人、約3万8千あるNPO法人のわずか0.24%(2009年6月1日現在)に過ぎません。より多くのNPO法人が支援税制を受けられるようにするため、認定NPO法人制度を大幅に緩和していく必要があります。同時に、個人や企業によるNPOへの寄付を促進するため、寄付税制の大幅な拡充も必要です。
こうした現状を踏まえ、貴党の政権公約(マニフェスト)作成に当たっては、是非とも下記、要望事項を盛り込んでいただき、また選挙終了後はその実現にご尽力くださいますようお願い申し上げます。
要望事項
一.市民の自発性に基づき活動するNPOの社会貢献活動を支援し、より信頼性の高い制度にするため、特定非営利活動促進法(NPO法)の改正を行うこと
1.法律の名称を「市民活動促進法」へ、法人の名称を「市民活動法人」へ変更する。
2.NPO法人の認証期間(現行4ヶ月以内)を2ヶ月に変更し、補正を可能にする。
3.運営に関する各種手続きを簡素化・迅速化する。
4.NPO法人のインターネット上の情報公開を強化すると共に、公開時の個人情報保護を行う。
5.その他、添付資料「特定非営利活動促進法の改正に関する要望書」を参照のこと
二.支え合い・助け合いの地域コミュニティ活動や国際援助活動などを活性化するため、認定NPO法人制度の大幅な改正と寄付税制の大幅な拡充を行うこと
1.認定NPO法人数の数値目標(全NPO法人の50%)を設定する。
2.パブリックサポートテストなど現行の認定要件のより一層の緩和を行う。
3.国税庁・国税局による審査体制を充実させると共に、現在の長期間にわたる審査期間(平均8カ月/最長2年)の短縮のため、審査期間を4ヶ月以内と限定する。
4.申請団体に負担を強いる現在の再認定制度ではなく、更新制度を導入する。
5.みなし寄附金制度における控除限度額を所得金額の50%へ引き上げ、みなし譲渡所得を非課税にするなど税制優遇措置のより一層の拡充を行う。
6.寄附者に対して、本年の寄附金控除で控除し切れなかった部分について翌年への繰越を認める制度(繰越制度)の導入など寄附金控除の大幅な拡充を行う。
7.認定を受けていない小規模のNPO法人に対する法人税の免税点制度(一定の収支規模までは収益事業を行っていても免税とする制度)などを創設して、小規模法人の活動を支援する。
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連絡会の参加団体については、下記一覧を参照。
【NPO/NGOに関する税・法人制度改革連絡会 参加団体】 (2009年6月現在)
計41団体(北から/50音順) ※:世話団体 *:地域幹事団体
NPO推進北海道会議(北海道)*
あおもりNPOサポートセンター(青森県)
せんだい・みやぎNPOセンター(宮城県)*
杜の伝言板ゆるる(宮城県)
茨城NPOセンター・コモンズ(茨城県)
群馬NPO協議会(群馬県)
さいたまNPOセンター(埼玉県)
NPO会計税務専門家ネットワーク(東京都)
NPO研修・情報センター(東京都)
NPO事業サポートセンター(東京都)※
芸術文化振興連絡会議(東京都)
国際協力NGOセンター(東京都)※
子どもNPO・子ども劇場全国センター(東京都)※
さわやか福祉財団(東京都)
シーズ・市民活動を支える制度をつくる会(東京都)※
市民福祉団体全国協議会(東京都)
チャイルドライン支援センター(東京都)※
日本NPOセンター(東京都)※
日本国際ボランティアセンター(東京都)
まちづくり情報センターかながわ(神奈川県)
横浜市市民活動支援センター運営委員会(神奈川県)
くびき野NPOサポートセンター(新潟県)*
長野県NPOセンター(長野県)
ぎふNPOセンター(岐阜県)
浜松NPOネットワークセンター(静岡県)
パートナーシップ・サポートセンター(愛知県)
市民フォーラム21・NPOセンター(愛知県)*
大阪NPOセンター(大阪府)
大阪ボランティア協会(大阪府)※
関西国際交流団体協議会(大阪府)
市民活動センター神戸(兵庫県)
宝塚NPOセンター(兵庫県)
奈良NPOセンター(奈良県)
大和まほろばNPOセンター(奈良県)
岡山NPOセンター(岡山県)
ひろしまNPOセンター(広島県)*
NPO高知市民会議(高知県)
NPOふくおか(福岡県)
ふくおかNPOセンター(福岡県)
佐賀県CSO推進機構(佐賀県)
NPOくまもと(熊本県)*