その他 : 定額給付金基金、寄付文化創造フォーラム
6月30日、定額給付金基金(東京都 事務局:NPO法人チャリティ・プラットフォーム)は、東京・赤坂にて寄付文化創造フォーラム「団体を超えて、みんなのために~寄付とココロを届けるプロジェクト事例の紹介と今後の施策~」を開催した。3月18日から行ってきた定額給付金基金や「僕のルール・私の理由エッセイコンテスト(JCV)」、「夢の貯金箱(日本財団)」など寄付に関する様々な事例が紹介された。
定額給付金基金は、日本ファンドレイジング協会常務理事の鵜尾雅隆氏やNPO法人フローレンス代表理事の駒崎弘樹氏、歌手・NPO法人国境なき楽団代表の庄野真代氏、大阪大学大学院国際公共政策研究科教授の山内直人氏ら、6名が呼びかけ人となり、3月18日からスタート。NPO法人チャリティ・プラットフォームが事務局を担う形で、3月5日から全国の市町村で支給が開始された定額給付金をNPOへ寄付することを呼びかけ、寄付集めを行っていた。集めた寄付金は、寄付者の希望に応じて全国各地・各分野のNPO80団体に配分される仕組み。
定額給付金基金は、4月27日に設立を記念し「定額給付金基金設立記念パーティー~定額給付金の素敵な使い道をご提案!!社会を変えるNPO・NGO、社会起業家との交流会~」を開催。一方、今回のフォーラムは定額給付金の寄付募集が6月30日までで一旦締め切られるため、これまでの定額給付金基金の活動を締めくくるものとなった。
フォーラムでは、まず、てんつくマン(軌保博光)氏が「1人の100歩より、100人の1歩で世界を変えよう」と題して、基調講演を行った。お笑い芸人として成功した後、路上詩人として資金を貯め、映画「107+1~天国はつくるもの~」を製作するなど、自身の経歴をユーモアを交えつつ紹介。てんつくマン氏が関わってきた「NGO MAKE THE HEAVEN」や「豪快な号外」、「Wonderful World 植林 Festival」といった様々な活動における個性的な寄付・募金集めを解説した。活動においては「1人の100歩より、100人の1歩」という言葉に代表されるように、未経験者や無関心層を惹きつけ、気軽に参加できることを重視。海外での植林活動を行う「Wonderful World 植林 Festival」では、1円玉募金を実施中だが、募金活動参加者を男性は「一円マン」、女性は「一円レディー」、団体は「一円レンジャー」と名付け、紹介。また、募金目標金額を5円玉で距離換算し、「目標金額まであと100m!」と表現するなど、分かりやすく楽しい寄付集めの実例を紹介した。
(フォーラムの模様 6/30)
続いてのパネルディスカッションでは、まず各団体取り組み事例が紹介された。
日本財団総務グループ ファンドレイジングチーム 担当リーダーの森啓子氏は「夢の貯金箱」を紹介。助成財団として寄付文化の普及やCSR(企業の社会的責任)活動の推進に取り組んでいることを説明。「夢の貯金箱は、日本財団が寄付を集め、ホスピス活動や犯罪被害者支援活動、ホームレス支援活動を行うNPOを支援するプロジェクト。通常の一般寄付をはじめ、遺言寄付、香典寄付、贖罪寄付など様々なシーンでの寄付を呼びかけている」と述べた。また、販売する飲料1本につき10円が夢の貯金箱に寄付される「夢の自動販売機」についても触れ、「1000台を目指し、頑張っていきたい。」と意気込みを語った。日本歯科医師会と協力した歯科撤去金属のリサイクル・寄付プロジェクト「TOOTH FAIRY」も紹介された。最後に「日本財団はNPOの皆さんとのコラボレーションを積極的に展開していくつもりだ。ぜひ、共に社会を変えていきましょう。」と呼びかけた。
認定NPO法人世界の子供にワクチンを日本委員会(JCV)事務局次長の江礼子氏は「『僕のルール私の理由』エッセイコンテスト」を紹介。非常に著名となった、予防できる感染症で亡くなる子供達のためワクチンを送る活動を続ける一方で、大きな視野を持ったボランティア活動や寄付の推進にも取り組んでいることを説明した。その具体的取り組みが昨年からスタートした「『僕のルール私の理由』エッセイコンテスト」。寄付する際のルールとしては、公共広告機構(現ACジャパン)で放映された福岡ソフトバンクホークス和田毅投手の「1球投げるごとに10人分のワクチンを寄付する」が有名。最近では個人に限らず、企業・団体でも何らかのルールを設けて寄付することも増えてきている。そのような中、昨年JCVへの寄付に限らず、自分が寄付した際の理由や想いを400字以内で募集したところ、394通の応募があったという。「今年も第2回として、7月1日~9月30日の間募集を行っているので、皆さんもぜひ応募してください。」と呼びかけた。
定額給付金基金事務局/NPO法人チャリティ・プラットフォーム理事長の佐藤大吾氏は「定額給付金基金」を紹介。定額給付金基金誕生の経緯を振り返った後、3月18日から6月30日までで、総額6,342,461円(2,648口)の寄付が寄せられたことを報告した。「この口数・総額をどう評価するかは、なかなか難しいところ」としながら、「『12000円でできること』をまとめ、寄付を体感できるようにした点や、寄付者からのメッセージを掲載し、寄付に込められた想いの見える化を実現した点、多くの企業から協賛をいただけた点は良かったと思う。」と述べた。今後の課題としては「参加したNPOとじっくり企画を検討する時間がなかった点や、基金の活動を周知するネットワークやチャンネルが不十分だった点、目標参加人数1万人を達成できなかった点」を挙げた。全体の実績としては、クレジットカード経由の寄付が約6割を占め、分野別では「子どもをささえる」が最多だった。
(フォーラムの模様 質問に答える江崎氏 6/30)
その後の議論では、呼びかけ人の日本ファンドレイジング協会鵜尾氏がファシリテーターとなり、議論が展開された。参加者との意見交換では、寄付集めにかかるコスト(特に人件費)と寄付者の意識が話題に。森氏は「夢の貯金箱では、人件費などは日本財団が負担し、寄付金は全額NPOへ支援される。」と述べ、江崎氏は「寄付者の中には、全額がワクチンに使われると思う方もいる。」と指摘。鵜尾氏は「日本は寄付を集める経費(ファンドレイジング・コスト)はもちろん、活動にかかる人件費について世界一厳しい国だと思う。」と返し、「今までは、寄付や寄付金の使途に関して議論することが一種のタブーになっていた。今後は幅広い議論が必要になるだろう。」と寄付者とNPO双方が寄付について議論する必要性を訴えた。
定額給付金基金のサイトは下記。寄付者のメッセージなどが掲載されている。
http://www.charity-platform.com/kikin/
てんつくマン(軌保博光)氏のオフィシャルサイトは下記。
http://www.tentsuku.com/
「夢の貯金箱」については、日本財団内の下記ページを参照。
http://www.nippon-foundation.or.jp/yumecho/
「『僕のルール私の理由』エッセイコンテスト」については、下記特設サイトを参照。前回の受賞作品が掲載されている他、オンラインでの応募も可能となっている。
http://bokururu.jp/