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その他ニュース

2009年08月21日 19:00

その他 : 社会的企業・社会起業家支援イベント続々と

 社会的企業や社会起業家への注目が高まり、支援の輪が広がっている。社会起業家支援委員会(代表:鶴田浩之)は、全国各地で「社会起業支援サミット2009」を開催中。NPO法人ソーシャル・イノベーション・ジャパン(代表理事:日野公三)は、9月4・5日に「第5回ソーシャル・アントレプレナー・ギャザリング」を開催。チャレンジ・コミュニティ・プロジェクト(事務局:NPO法人ETIC.)も9月19日にイベントを開催する。

 

 社会的企業・社会起業家に関しては、様々な捉え方や定義があるが、NPO法人ソーシャル・イノベーション・ジャパン(SIJ)の運営する「Social Ecoo( http://www.socialecoo.jp/ )」によれば、「社会的企業とは 環境、福祉、教育など、今ある社会的課題に多様な形態で取り組む事業体」。
具体的には、「社会的企業は1.社会性 2.事業性 3.革新性という三つの要件」があるとされている。また、「事業の展開にあたっては、NPOや営利企業、組合等様々な形態がとられますが、対象とする社会的課題や制度(国/地域によって異なります)に依存して、それに取り組むにあたって相応しい形態が選択されます。 」とされ、法人格や組織形態などはそれぞれ様々で、多様であることが述べられている。すなわち概ね、社会的企業とは、営利・非営利など形態に関係なく、社会性・事業性・革新性を持って、社会的問題・課題に取り組む組織といってよいだろう。

社会的企業は、ソーシャル・エンタープライズ(Social Enterprise)やソーシャル・ビジネス(SB:Social Business)と呼ばれることも多い。事業における地域性を重視している際には、コミュニティ・ビジネス(CB:Community Business)と呼ばれることもある。

社会起業家については、社会起業家支援委員会(CCC)によれば、「社会起業家とは 社会問題の解決のためにビジネスの手法を用いる人たち」。具体的な説明として「(社会)問題の解決には、多くのコストや時間がかかり、解決に従事するスタッフの人材や、彼ら自身が生活するための人件費が必要です。社会問題の解決のためにビジネスの手法を利用し、自ら収益事業を興すことで問題解決のための持続可能なモデルを構築し、様々な社会問題の早期解決に努めているのが、社会起業家なのです。」と説明している。

狭義には、起業して社会的企業を運営・経営している、または社会的企業を起業しようとしている人々と捉えることも可能であるし、広義には、社会変革に向けた起業家精神を持った人々と考えることもできる。捉え方は個人・団体により、様々なものとなっている。
社会起業家は社会(的)企業家とも表記され、ソーシャル・アントレプレナー(Social Entrepreneur)と呼ばれることも多い。

社会起業家や彼ら彼女らによる社会的企業双方に対して、ソーシャル・ベンチャー(Social Venture)という用語も使用されている。

このような社会的企業・社会起業家は、以前から注目されていた。ここ数年の活躍により、一層注目が集まると共に、社会的企業・社会起業家を支援するための取り組みも増えてきている。

●全国各地の大学生を中心とした任意団体である、社会起業家支援委員会は、全47都道府県での開催を目標に「第2回 社会起業支援サミット2009」を7月から開催している。昨年、東京・早稲田大学で開催された第1回サミットには、約300名が参加。今年のサミットでは、社会起業家向けのセミナー・市民向けの社会起業家紹介シンポジウム・社会起業家と市民とのカフェミーティングの3部構成で、市民との交流を図り、認知の拡大や支援の仕組みづくりを狙う。

7月12日に関西学院大学で開催された兵庫県を皮切りに、8月20日までで14都道府県にてサミットを開催。地元の大学生がボランティアで企画・運営を行い、各地とも盛況だ。8月7日に東京・早稲田大学で行われた「社会起業支援サミット2009 in 東京」では、久米繊維工業株式会社 代表取締役社長の久米信行氏が「ブログを使って社会をつなげる インターネットで社会起業PRとパートナー開拓」と題して、インターネットを活用した広報をレクチャーした。続いて、市民・学生など約300名が都内の下記社会起業家10団体による、各団体15分のプレゼンテーションに参加。

・特定非営利活動法人ファザーリングジャパン
・シゴトノアトリエ
・特定非営利活動法人CANVAS
・株式会社とれいす
・株式会社リリムジカ
・楽患ナース株式会社
・株式会社ミチコーポレーション
・株式会社エコトワザ
・特定非営利活動法人NPOカタリバ
・株式会社ファンドレックス


(サミットの模様 参加者の意見を聞くファンドレックス吉田氏 8/7)

NPO法人NPOカタリバ理事の稲葉隆久氏は「カタリバは、現代に失われつつある生徒と先輩の『ナナメの関係』を活かしたキャリア教育プログラムを行っている。カタリバでは、実際に高校に行って高校生と接するボランティア約4000名をキャストと呼んでいる。現場でキャスト自身が問題発見をして解決を模索していく意味で、私は、キャストの4000人それぞれが社会起業家と思う。ぜひ、キャストになってください。」と呼びかけた。
株式会社ファンドレックス取締役の吉田憲司氏は「日米で市民の寄付額には大きな開きがある。寄付税制や寄付文化の違いも大きいが、団体側も寄付を集める際に、自分たちの潜在的な力を発揮できていない。ファンドレックスは、そういったNPOなどに対して寄付集め(ファンドレイジング)のコンサルティングを提供するなど、善意の資金循環を支援している。」と語った。


(カフェミーティングの模様 8/7)

その後のカフェミーティングにも約100名が参加し、社会起業家を囲みながらの和やかな交流を楽しんでいた。

社会起業支援サミット2009 in 東京運営委員会代表の駒澤大学江口晋太朗氏は「今回のサミットは、市民の方に社会起業家を知ってもらい、彼らを通じてその背後にある社会問題を知り、当事者意識を持って、考えてもらいたいと思い、企画した。」と開催趣旨を語った。「自分も、高校生を対象とした就業についての教育分野で社会起業を計画している。今日のサミットが何らかの『きっかけ』になれば、嬉しい。」と振り返っていた。

8月23日には愛知県と福島県、24日には千葉県でも開催。千葉県での「社会起業支援サミット2009 in 千葉」では、前千葉県知事の堂本暁子氏の講演や、6月に31歳で当選を果たした千葉市長の熊谷俊人氏によるビデオ講演が予定されている。

社会起業家支援委員会のサイトは下記。各サミットの概要などを掲載、参加申し込みもオンラインで受付中。
http://www.cccjp.org/

「社会起業支援サミット2009 in 東京」のブログは下記。当日の模様が掲載されている他、登壇団体へのインタビューなども見ることができる。
http://ccctokyo.blog35.fc2.com/

●社会的企業家によるソーシャルビジネスを支援する組織、NPO法人ソーシャル・イノベーション・ジャパン(SIJ)は、9月4・5日に「第5回ソーシャル・アントレプレナー・ギャザリング」を開催する。

日本でもコミュニティ開発・障害者雇用・高齢化社会・青少年教育・途上国支援・環境問題等の社会的課題に、ビジネスとして取り組む動きが広がりつつある。これを更なる発展に繋げていくため、SIJは、2005年より毎年、社会的企業の全国大会「ソーシャル・アントレプレナー・ギャザリング」を企業、NPO/NGO、政府、研究機関、メディア等多様なセクターからの参加を得て開催(2008年度参加者数は約370人)。今年度も第5回ソーシャル・アントレプレナー・ギャザリングが開催される。

六本木ヒルズにて9月4日~5日の2日間にわたり、社会的企業家が全国から一堂に会する。開催概要は下記の通り。
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「第5回ソーシャル・アントレプレナー・ギャザリング」
【日  時】
1日目:2009年9月4日(金)12時30分~20時15分
2日目:2009年9月5日(土)10時00分~16時45分
※1日目夜塾まで参加の方は~22:30、2日目クロージングパーティまで参加の方は~19:15(予定)
【場  所】アカデミーヒルズ40(六本木ヒルズ内)
【主  催】特定非営利活動法人ソーシャル・イノベーション・ジャパン

申し込み
http://www.socialinnovationjapan.org/application
問合せ
特定非営利活動法人ソーシャル・イノベーション・ジャパン(SIJ)事務局
担当:飯石、今泉 TEL:03-6820-6300 FAX:03-5775-7671 
E-mail: info@socialinnovationjapan.org
URL: http://www.socialinnovationjapan.org/
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●ETIC.ソーシャルベンチャーセンターやNEC社会起業塾を運営するなど社会起業支援を行っているNPO法人ETIC.(エティック)が事務局を務める、チャレンジ・コミュニティ・プロジェクトは、9月19日に「第二回地域若者チャレンジ大賞 ファイナルプレゼンテーション&イベント」を開催する。

「師の存在」「多様な関係性」「地域やビジネスの現場」という三大原則を満たす「チャレコミ式(長期実践型)インターン」の参加者の中から8名の地域代表プロジェクト選出。地域再生のストーリーを学生と企業経営者がプレゼンテーションを行い、審査員と会場投票によって各賞を決定し、表彰するユニークな取り組み。

開催概要は以下の通り。
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「第二回地域若者チャレンジ大賞 ファイナルプレゼンテーション&イベント」
●プログラム概要
・日 時:2009年9月19日(土) 13:00(開場12:30)-19:30
・場 所:ベルサール九段 3階イベントホール @九段下・東京
・参加費:無料
・主 催:チャレンジ・コミュニティ・プロジェクト
・定 員:500名
・主 催:チャレンジ・コミュニティ・プロジェクト(事務局:NPO法人ETIC.)
・後 援:経済産業省
●申込み
http://www.challenge-community.jp/award/apply.html
●問い合わせ
チャレンジ・コミュニティ・プロジェクト
事務局:NPO法人ETIC.(吉田、由利)
TEL:03-5784-2115 ・ FAX:03-5784-2116
E-mail: info@challenge-community.jp

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●経済産業省も社会的企業・社会起業家への支援を行っており、ソーシャルビジネス応援WEBサイト「ソーシャルビジネスネット( http://www.socialbusiness.jp/ )」を立ち上げ、「ソーシャルビジネス55選」の紹介などを行っている。

参考ニュース 「経産省、ソーシャルビジネス55選を発表」 (2009/03/02)
/2009/03/その他-経産省、ソーシャルビジネス55選を発表/

また、地域での意見交換や交流を進めるためとして、各ブロックで下記「地域コミュニティビジネス/ソーシャルビジネス推進協議会」を設置。推進協議会は各ブロックごとに、セミナーやフォーラムなどのイベントを開催している。

・北海道コミュニティビジネス・ソーシャルビジネス協議会
(事務局:財団法人北海道地域総合振興機構)

・東北ソーシャルビジネス推進協議会
(事務局:株式会社デュナミス)
http://www.tohoku-sb.jp/

・広域関東圏コミュニティビジネス推進協議会
(事務局:特定非営利活動法人コミュニティビジネスサポートセンター)
http://www.k-cb.net/

・東海・北陸コミュニティビジネス推進協議会
(事務局:特定非営利活動法人起業支援ネット)
http://blog.canpan.info/magti_cb/

・近畿ソーシャルビジネス・ネットワーキング
(事務局:特定非営利活動法人大阪NPOセンター)
http://www.osakanpo-center.com/ksbn/index.html

・中国地域CB/SB推進協議会
(事務局:社団法人中国地域ニュービジネス協議会)

トップ

・四国地域コミュニティビジネス推進協議会
(事務局:特定非営利活動法人ループ88四国)
http://shikoku-cb.net/index.html

・九州ソーシャルビジネス促進協議会
(事務局:財団法人九州地域産業活性化センター)
http://www.sofi.jp/

・しまんちゅビジネス協議会(仮称)
(事務局:特定非営利活動法人調査隊おきなわ)

社会的企業・社会起業家への注目と期待は、さらに高まるだろう。今回の衆院選のマニフェストでも社会的企業・社会起業家への支援を公約している政党もあり、政策集への掲載も多い。今後は、認定NPO法人制度の改善や、社会的企業支援税制創設などの制度的支援を期待したい。

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