その他 : 税制改正要望の公募、1000者から約4千件
シーズの調査で、10月に9省庁が行った税制改正要望の一般公募の結果が明らかになった。業界団体をはじめ、企業、NPO/NGO、個人も要望を提出。経済産業省の1854件(315団体・個人)を筆頭に、合わせて約1000団体・個人から、約3850件(1省庁平均480件)の要望が寄せられた。
10月末が提出期限となった、新政権下での平成22年度税制改正要望においては、新政権の「公平・透明・納得」原則による税制見直し方針を受け、9省庁が画期的とも言える一般からの公募に踏み切った。
参考ニュース 「【情報更新】経済産業省・金融庁・総務省・農林水産省・文部科学省・財務省・環境省・厚生労働省・内閣府、税制改正要望を公募」 (2009/10/5)
/2009/10/その他-【情報更新】経済産業省・金融庁・総務/
シーズが税制改正要望の公募結果を調べたところ、募集が短期間であったにもかかわらず、8省庁合計で約1000団体・個人から、約3850件(1省庁平均480件)の要望を寄せられたことが判明。1省庁あたりの要望件数は平均480件を超えるなど、業界団体や市民の政策決定に対する関心の高さが伺えた。
しかし、各省庁とも概算の数値となるが、NPO/NGOからの要望件数は低調だった。税制改正に関しては、まだまだNPO/NGOの関心が高いとは言えないようだ。税制改正を含む、アドボカシー(政策提言)活動への積極的な取り組みに期待したい。
一方で、公表されている限りでも、下記のNPO/NGOなどにヒアリングが実施された。ほとんどの省庁で、ヒアリングは政策会議の一環として実施されたようだ。これら団体の意見は各省の要望にも反映されているものもあり、今後の行方が注目される。
・炭素税研究会(経済産業省)
・社団法人日本芸術実演家団体協議会(文部科学省)
・社団法人企業メセナ協議会(文部科学省)
・NPO法人日本禁煙学会(財務省) 他
各省庁により、要望内容の公表についてはバラつきがある。経済産業省は寄せられた全要望を公表しているのに対し、他省庁は今のところ公表に踏み切ってはいない(環境省はHPに公表予定とのこと)。大変な事務量になり、負担が大きいことは理解できるが、税制改正の透明性確保のためにも、なるべく寄せられた全内容を公表するよう要望したい。
各省庁の公募結果は以下の通り。一部は調査中、情報は随時更新。
●経済産業省(2009年10月1日~14日)
・要望件数:1854件
・要望主体(団体/個人)数:315(159団体/156人)
内NPO/NGOの数:5団体
・要望内容公表:全て公開
⇒ http://www.meti.go.jp/main/downloadfiles/zeisei22/youbou_00.html
・ヒアリング:52団体・個人
⇒ http://www.meti.go.jp/topic/data/091014aj.html
●金融庁(2009年10月2日~9日)
・要望件数:456件
・要望主体(団体/個人)数:179
内NPO/NGOの数:非公開
・要望内容公表:予定なし
(公募結果は公表 ⇒ http://www.fsa.go.jp/news/21/sonota/20091031-4.html )
・ヒアリング:なし
●総務省(2009年10月6日~13日)
・要望件数:390件
・要望主体(団体/個人)数:80
内NPO/NGOの数:1
・要望内容公表:予定なし
・ヒアリング:6団体・個人 ⇒ http://www.soumu.go.jp/main_content/000042981.pdf
●農林水産省(2009年10月9日~16日)
・要望件数:407件
・要望主体(団体/個人)数:121(89団体/32人)
内NPO/NGOの数:0
・要望内容公表:予定なし
(公募結果は公表 ⇒ http://www.maff.go.jp/j/aid/zeisei/pdf/h22_koubo.pdf )
・ヒアリング:11団体
●文部科学省(2009年10月9日~16日)
・要望件数:29件
・要望主体(団体/個人)数:16(15団体/1人)
内NPO/NGOの数:0
・要望内容公表:予定なし
(公募結果は公表 ⇒ http://www.cao.go.jp/zei-cho/gijiroku/pdf/21zen6kai7.pdf )
・ヒアリング:10団体・個人
⇒ http://www.mext.go.jp/b_menu/seisakukaigi/syousai/1286354.htm
●財務省(2009年10月13日~19日)
・要望件数:266件
・要望主体(団体/個人)数:83(49団体/34人)
内NPO/NGO数:2
・要望内容公表:予定なし
・ヒアリング:11団体
⇒ http://www.mof.go.jp/jouhou/seisakukaigi/siryou/211023siryou.htm
●環境省(2009年10月15日~22日)
・要望件数:101件
・要望主体(団体/個人)数:37
内NPO/NGO数:5
・要望内容公表:HP上にて公開予定
・ヒアリング:なし
●厚生労働省(2009年10月15日~22日)
・要望件数:約350件(約100+約250)
・要望主体(団体/個人)数:158(89+69)
内NPO/NGO数:27(各種団体含む)
・要望内容公表:予定なし
・ヒアリング:なし
●内閣府(NPO法人税制)(2009年10月19日~23日)
※現在調査中
税制改正について一般からの意見を公募したことについては、政策決定プロセスの公平性、透明性を進める試みとしては評価することができる。省庁から提出された案件に対して実際にヒアリングを行うなど、初めての試みとなる動きが積極的に見られた。
しかし、提出された要望内容の情報を公開する省庁が少ないことに課題が残る。膨大な数の要望案件の中から、税制改正要望として選定する過程が不透明になり、恣意的な意図が含まれる可能性が出てくるためだ。今後は、公募からヒアリング、要望採用までのプロセスに透明性が確保できるように期待したい。
※本ニュースの取材・編集には三井物産環境基金から助成を頂いています。
http://www.mitsui.co.jp/csr/fund/index.html